
生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較 ―進まない変革グローバル比較から読み解く日本企業の活路―
本調査では日本における生成AIの導入とその効果の実態を明らかにするとともに、米国・英国・ドイツ・中国との比較を通じて、日本企業の構造的な課題を考察します。また、効果を上げている企業に共通する成功要因を抽出し、日本企業が変革を実現するための具体的な示唆を提示します。
2021-08-06
国連の持続可能な開発目標(SDGs)をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)が一段と重要視されている。ただ、社会課題の解決と経済的利益の両立は簡単ではなく、多くは試行錯誤しているのが現状だ。それを成功に導く上で最先端テクノロジーが果たす役割は大きい。AIの活用も徐々にではあるが進みつつある。
この分野でAIを活用する利点は主に2つある。1点目は今まで見えなかった現象が見えるようになることだ。一例が、サプライチェーン(供給網)の上流での労働環境を把握する試みだ。児童労働や長時間労働などの劣悪な労働環境にひもづくキーワードでSNS(交流サイト)のテキストや動画を調べるのである。当該労働者による投稿が必要だが、これにより人権侵害にあたるような労働を強いている現場を洗い出せる。
また、労働者の位置情報から、長時間拘束されている兆しを、労働者が声を上げなくても捉えられる。将来はこれらを含む種々のデータを分析することで、人では気がつかない人権侵害に関わるパターンをAIが発見。経営層に警告することで、人権侵害につながる恐れのある事態の発生・深刻化を未然に防ぐようになることも考えられる。
2点目はスケーラビリティ(拡張性)だ。例えば、アフリカのような広大で人口密度が低い地域での製品メンテナンスのケースである。スマホ決済の登場で集金体制が確立されても、人材を含む修理体制を築くことは難しく、事業を断念することも多かった。ここにIoT(モノのインターネット)とAIを導入することで、故障状況をAIが分析することが可能になった。現地の担当者に修理を要請するとともに簡単な修理方法を送ることで、基礎知識さえあれば修理できるようになったのだ。
これら2つの利点の貢献は大きい。これまで手つかずだった社会課題をバリューチェーン(取引先網)に取り込み検討できるようになったからだ。従来、サステナビリティは巨額のコストがかかり事業として成立するのは難しいのが定説だった。しかし様々な現象をAIによるデータ分析で可視化できるようになり、ビジネスモデルとしての構築が可能になった。
これにより企業は社会ニーズに合う事業を展開するだけでなく、経済的利益を生み出せるようになる。サステナビリティを「義務」ではなく「事業機会の源泉」と捉えられるようになるのは、経営者にとってマインドセット(思考様式)の大きな変革だろう。
国連経済社会局によると、2050年には世界の人口は100億人に達する見込みだ。この人口の食糧をどうまかない、多様なニーズや社会課題にどう応えていくか。地球資源は限界に達している。企業が先端テクノロジーを活用しこの状況を改善するために果たすべき役割は大きい。新しいビジネスゲームの中で勝ち残るために、経営者がこの状況を理解しAIなどをサステナビリティ領域に取り入れられるかどうかが肝要である。
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※本稿は、日経産業新聞2021年4月5日付掲載のコラムを転載したものです。見出しおよび記事本文、図表は同紙掲載のものを一部修正/加工しています。
※本記事は、日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
本調査では日本における生成AIの導入とその効果の実態を明らかにするとともに、米国・英国・ドイツ・中国との比較を通じて、日本企業の構造的な課題を考察します。また、効果を上げている企業に共通する成功要因を抽出し、日本企業が変革を実現するための具体的な示唆を提示します。
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