
生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較 ―進まない変革グローバル比較から読み解く日本企業の活路―
本調査では日本における生成AIの導入とその効果の実態を明らかにするとともに、米国・英国・ドイツ・中国との比較を通じて、日本企業の構造的な課題を考察します。また、効果を上げている企業に共通する成功要因を抽出し、日本企業が変革を実現するための具体的な示唆を提示します。
2021-08-11
企業経営を揺るがしかねない社内の不正行為。そうした不正の情報を収集分析して法的証拠性を明らかにする「フォレンジック調査」に注目が集まっている。その精度をさらに高めようと、人工知能(AI)の活用が進んでいる。
背景にあるのが、データ量の爆発的な増加だ。以前は調査対象者のデータ全てに目を通すことも不可能ではなかった。しかし今はデジタル検索ツールを駆使しても困難になりつつある。この状況の打開にAIが活用されている。
まず、機械学習を利用したことで調査対象データの分類が飛躍的に向上した。深い知識と理解を持つ専門家の判断基準を教師データとしてシステムが学習し、調査対象データを関係があるものとないもので分類するのだ。
AIは言菓や表現のニュアンスを理解できないため、最初から高精度での分類はできないが、AIによる判断を人が確認・調整し、これをAIが繰り返し学習することで精度向上を図ることができる。ここで重要なのは、ブラックボックス化されていない説明可能なアルゴリズムを使うことだ。
また、AIをベースに開発した調査システムでは、データを特定のトピックごとに自動的に分類したり、時系列に並べたり、コミュニケーション相関図を描いたりするなど、膨大なデータをあらゆる角度から観察することを可能にする。これにより、キーワード検索で検出したデータを全て確認する従来の手法とは異なり、気になる箇所などをピンポイントで確認することで、効率的に証拠の特定につなげていくことが可能となった。
AIを用いた不正調査はさらに進化を遂げている。昨今、多くの不正調査で対象になるのがスマートフォンだ。スマホを業務で使う機会が増え、SNS(交流サイト)などのテキストメッセージをやり取りするようになったことと、カメラの高性能化でホワイトボードや手書きのメモ、重要書類などを画像として保存するケースが増えたことが背景にある。
従来、画像化された文書はキーワードで検索することができなかったため、人の目で全ての画像を調べる必要があった。コンピュータの高性能化と深層学習による画像解析技術により、100%に近い精度で手書きの文書や印刷物などの文字情報を含む画像を素早く検出することが可能となった。
こうした技術は予防など平時の対応にも浸透しつつある。既存の監視・不正検知ツールの多くはキーワードで検知しているため、誤検知も多く、人による再確認が必要。一方、AIを活用して特定の不正シナリオを検知する新しい監視ツールは検知精度も向上しており、日々のリスクマネジメントへの効果的な活用が期待される。
リスクマネジメントやフォレンジック調査におけるAIの役割は人間に代わって証拠を特定するのではなく、人間が効率的に証拠を特定するため支援をすることである。これにより、人間はデータ量増加への対応に追われることなく、本来すべき価値のある仕事に従事できるようになる。
調査の速度や効率性が上がり、人がより価値のある仕事に従事できるようになる |
深層学習などの高度なAI技術により、対象データの増加や種類の多様化に対応 |
有事だけでなく平時にも応用し、不正検知の精度向上に寄与 |
※本稿は、日経産業新聞2021年4月13日付掲載のコラムを転載したものです。見出しおよび図表は同紙掲載のものを一部修正/加工しています。
※本記事は、日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
本調査では日本における生成AIの導入とその効果の実態を明らかにするとともに、米国・英国・ドイツ・中国との比較を通じて、日本企業の構造的な課題を考察します。また、効果を上げている企業に共通する成功要因を抽出し、日本企業が変革を実現するための具体的な示唆を提示します。
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