気候変動と資源不足

気候変動と資源不足が経済に与える影響は、ますます深刻になります。2030年までにエネルギー需要は50％、取水量は40％も増加すると予測されています（注5）。

気候変動の影響で異常気象現象が頻発したり海水面が上昇すれば、伝統的な手法による農業、漁業、狩猟が困難になったり、あるいは全くできなくなる地域も出てきます。

持続可能な解決策に対するニーズと、経済を成長させ、増え続ける人口を養うための資源確保に対するニーズの両立には、困難が伴うでしょう。環境の物理的変化によって、古くから受け継がれてきた伝統が苦境に立たされるケースもあり得ます。

2025年に予想される水不足

産業界の実例

1. 路上で充電を：電気自動車オーナーの悩み

米国では2013年、プラグイン方式のハイブリッドカーならびに電気自動車が9万6,000台以上売れました（注6）。しかし、充電スタンドはおよそ2万2,000カ所しかありません（注7）。電気自動車充電サービスやネットワークを提供するCarCharging Group、充電スタンドの場所を表示するアプリPlugShareなど電気自動車関連サービスを提供するRecargoなどの各社は、ここにイノベーションの機会があると見ています（注8）。

2. Coca-Colaと米国農務省が水資源の改善で協力

2013年、Coca-Colaと米国農務省は5年間の官民パートナーシップを締結し、米国内で水源地域の回復と保全を実施すると発表しました。米国民6,000万人以上に飲料水を供給する国有林で、10億リットル以上の水を回復することを目指します（注9）。

83億人の人口を抱える2030年の世界の需要は…

潜在的影響

  • 企業と政府にとって、戦略的関係を通じた国内外からの資源確保が今以上に重要な課題となります。
  • 食料、エネルギー、水の分布が変化し、資源をめぐる対立や政治的緊張が増加します。
  • 気候変動に関する直接的規制に加え、税制やそれに類するインセンティブによる促進策や抑制策といった間接的規制が、いずれも強化されます。
  • エネルギー不足、気候変動、資源不足に対応するため、新しい産業が生まれ、既存の産業に革新が起きます。新しい技術の開発によってこうした変化が加速します。

（注5） 「Global Trends 2030: Alternative Worlds」米国国家情報会議
（注6） WardsAuto.com 2014年1月3日
（注7） 「Alternative Fueling Station Counts by State」米国エネルギー省、2014年4月3日現在
（注8） 「Car Charging About Us」2014年2月19日閲覧、「Recargo PlugShare Overview」2014年2月19日閲覧
（注9） 「USDA and Coca-Cola Partner to Replenish One Billion Liters of Water to Nature」米国農務省、2013年9月13日、2014年2月18日閲覧

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