自動車の将来動向:EVが今後の主流になりうるのか 第4章

2019-03-07

第4章 将来の自動車の販売台数とCO2排出量の予測(あるべき規制値)

2040年の新車販売台数予測

2015年時点での世界の四輪自動車の販売台数は0.9億台(2017年0.95億台)、保有台数は12.6億台、CO2総排出量は約60億トンです。ここでは2050年に向けた新車販売台数、保有台数、CO2総排出量を予測します。

図表1は世界の新車販売台数の現状と新興国の台数予測です。新車販売台数に関して先進国の状況を見ると、日本は500万台、米国は1,800万台、欧州は2,200万台で飽和後、現在は減少傾向にあります。

人口との比率を見ると、日本は3.8%(1億3千万人に対し500万台)、米国は5.6%(3億2千万人に対し1,800万台)、欧州は3%(7億4千万人に対し2,200万台)と、飽和状態にある先進国での人口に対する新車販売台数比率は3~6%ということになります。今後、新興国の中でも人口の多い中国とインドが、GDPの伸びとともに販売台数を増加させることから、人口に対する新車販売台数比率をそれぞれ4.3%で見積もると、中国は2,800万台から5,600万台で飽和(今後の人口の大幅増は無し)、インドは400万台から3,900万台で飽和(人口は増加するも高齢化によるもので、ここでは考慮しない)、中国とインドの増加分6,300万台とその他の新興国分を含めると1.6億台まで増加し、飽和すると予測します。

台数増加要因としては、新興国の所得増加(先進国並み)影響が考えられます。一方で台数減少要因として、新興国の所得増鈍化、車両販売価格の上昇(電動化、自動化、新素材への置換)、使用形態の変化(カーシェアリング、ライドシェア)、先進国の少子高齢化が考えられます。

図表2は販売台数増加要因、減少要因を考慮した2040年の新車販売台数予測です。上振れは1.3億台、下振れは1.1億台で2040年以降飽和します。シェアリングの影響は0.2億台と大きく、シェアカー1台増で乗用車2台減、カーシェア比率は全体の18%となります。

図表3は世界の四輪車販売台数と上振れ時の予測1.3億台の内訳を国別に整理したものです。予測1.3億台の場合、中国は2040年で4,200万台、インドは2,800万台で飽和します。それ以外の国については、基本的には今後大きな変動はありません。シェアリングに関しては、中国、インドをはじめとする新興国で拡大し、その後先進国にも広まっていくと予想します。

保有台数の予測とCO2排出量への影響

次に四輪車の世界の保有台数の予測について解説します。

図表4は2050年までの世界四輪車保有台数の予測です。保有台数は、2015年12.6億台に対し、2050年20.1億台で飽和します。廃車台数は平均車齢15年で見積もりました。先進国の保有台数比率は2015年の56%から2050年の35%まで減少し、65%が新興国の保有ということになります。

2015年以降、新車の燃費改善をゼロとした場合、保有車のCO2総排出量は60億トンから95.7億トンまで増加することになります(60億トン×保有台数20.1億台/12.6億台=95.7億トン)。

再検討されるべきCO2排出量規制値

上記保有台数予測から見積もったCO2総排出量より、2050年に向けた四輪車のCO2必要低減量と規制強化案について解説します。図表5は2050年までの四輪車のCO2総排出量とCOP21パリ協定での低減目標です。

2050年目標の17億トンは2013年比で70%減の値となります。今後の販売台数増加に伴い、2050年時点でのCO2総排出量は95.7億トンまで増加すると予測されるため、82%減が必要となります。

2050年時点で17億トンのCO2排出量目標を達成するために必要な低減量を検討すると、現在の年率5%低減の規制では不十分で、年率8%まで強化しなければならないことが分かります。現時点で、2020年以降CO2規制をさらに強化する計画はどの国でも掲げられていません。それどころか、米国では規制緩和が表明され、欧州ではEV比率を拡大すると掲げているにもかかわらず、従来規制から強化するようには思えません。このような状況から、自動車から排出されるCO2低減に関して、危機的な状況と感じます。

各国はこの状況を正しく認識し、規制値を検討すべきだと考えます。この年率8%というのはパリ協定の目標との関連および根拠が明確であり、セールスミックスを検討する際の重要なよりどころとなる数値です。

執筆者

藤村 俊夫

顧問, PwC Japan合同会社

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