アセットマネジメント2025

資産運用業界における変革への対応

今日の資産運用業界は、劇的に変化しています。資産運用会社やウェルスマネージャーが、業界で生き残り、成長を続けるためには、今、行動を起こす必要があります。

今日の資産運用業界は、劇的に変化しています。そしてその変化は加速しています。業界は向こう10年間においても成長を続けるでしょう。一方、資産運用会社やウェルスマネージャー自身が、業界において生き残り、成長を続けるためには、ビジネスの革命家もしくは破壊者にならなくてはなりません。今こそ行動を起こす時です。

PwCが2014年に出版した報告書「アセットマネジメント2020資産運用業界の展望」(ページ下部のリンクより閲覧可能)において指摘した業界における大きな変化は、以後、劇的に進行し、進化を遂げています。本報告書では(アセットマネジメント2020で予測した)6つのゲームチェンジャーがどのようにして4つのトレンドへと変化し、またこれらのトレンドが今後の資産運用業界のあり方、構造にもたらす変化について考察します。

業界に変革をもたらす4つのトレンド

投資家優位の動きが進み、資産運用業界の価格水準は下落

投資家優位の動きが進み、資産運用業界の価格水準は下落

運用報酬は、投資家や規制当局の圧力により下落傾向にあります。規制の強化、競争の激化、そして新規参入者は、伝統的なバリューチェーンを脅かします。低コスト商品が市場シェアを拡大することで、大規模なプレーヤーは規模の経済の恩恵を享受するでしょう。同時に、業界のさらなる統合と新しいコラボレーションが生まれるでしょう。

テクノロジーは、業界のあらゆる分野に混乱を引き起こす

テクノロジーは、業界のあらゆる分野に混乱を引き起こす

資産運用業界は、デジタルテクノロジーの面で出遅れています。現時点でどの程度テクノロジーを使いこなしているかによっても、将来の成功は影響を受けるでしょう。レースの行方はどうなるのでしょうか。

新たな成長機会の訪れ

新たな成長機会の訪れ

資産運用業界は、世界金融危機以降、資金の需給ギャップを埋めています。トレードファイナンス、P2Pレンディング、インフラストラクチャーなどのニッチ分野への投資も急速に拡大しています。老後に備えた個人貯蓄も、公的年金の不足を補完する形で拡大し、運用資産の拡大を支えています。

投資家は、特定の運用スタイルに特化したファンドよりも、自らのニーズにあったアウトカムを求める

投資家は、特定の運用スタイルに特化したファンドよりも、自らのニーズにあったアウトカムを求める

アクティブ運用、パッシブ運用、そしてオルタナティブ運用がマルチアセットストラテジーを構成し、アウトカム重視のソリューションを提供します。資産運用会社は、相応の規模でマルチアセットソリューションを提供するか、それともこれに組み込まれる特定の運用戦略を提供するかの選択を迫られます。


今こそ行動を起こす時

2008年から2009年の世界金融危機以降、規制の強化、テクノロジーの進歩、そして競争の激化が業界の変革を促進

今後数年間のうちに変革は急加速し、業界は再編を余儀なくされるでしょう。5年~10年後には全く異なったランドスケープが見えることでしょう。より少数の資産運用会社が、はるかに多くの資産をより安価に運用していると思われます。テクノロジーは、ビジネス全体において不可欠です。いくつかの会社は、アルファを獲得する新しい機会を見つけ、利益を回復するかもしれません。今こそ行動を起こす時です。

主要な予測

PwCでは、今日の金利水準と経済成長が継続することを前提に、運用資産は2016年の84.9兆米ドルから2020年には111.2兆米ドルに、その後2025年には145.4兆米ドルに達すると試算。 運用資産の成長スピードは地域によってばらつきがあります。成長は先進国では遅く、新興国では早いと予測します。


2025年までに、パッシブ運用が市場シェアを拡大し、2016年の17%から25%まで上昇。またオルタナティブ運用のシェアは、12%から15%まで増加すると予測します。しかし、アクティブ運用も60%のシェアを維持すると見込んでいます。


現在の成長率が継続すれば、業界のシェア(総資産に対する運用資産の割合)は2016年の39.6%から、2025年には42.1%に拡大すると考えられます。

業界でパラダイムシフトがおこる中、資産運用会社は、今、行動を起こさなければなりません。


変化が加速する中で、全ての運用会社が競争に勝ち残る方法を選択しなければなりません。大規模なプレーヤー、もしくはニッチなプレーヤーのどちらを選択するのか。またどのように生産性を高めるのか、いずれにしても、今が行動を起こす時です。


ストラテジー

資産運用会社やウェルスマネージャーは、より柔軟な起業家でなければなりません。ある分野での成功と他の分野での失敗に備える必要があります。全ての会社は、未来のランドスケープを見通し、明確な戦略を持ち、他社と差別化を図る必要があるでしょう。差別化とコスト削減を達成するために事業構造を再編しなければなりません。時代の大きな変化に合わせて、長期的な視野に立った、大胆な取り組みが求められます。戦略的にビジネスを構築するために投資も行わなければなりません。


テクノロジー

全ての会社はテクノロジーを活用しなければなりません。テクノロジーは、会社の全ての業務分野に影響を及ぼします。AI、ロボティクス、ビッグデータ、ブロックチェーンが業界を変革しています。急速に変化するランドスケープの中で、テクノロジーが勝者を決定づけるでしょう。


人材スキル

人材を育成する伝統的な雇用モデルが変わりつつあります。業界には新しいスキルを持った人材が必要です。そのためには新しい雇用モデルを検討する必要があります。多様な人材を広く受け入れ、彼らのニーズに応えることが今まで以上に重要となるでしょう。新しい国、新しいテクノロジー、新たな販売チャネル、最先端の運用商品‐新たな挑戦において、人材はグローバルな課題です。多様な人材を率いる優れたリーダーシップも不可欠でしょう。