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経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス(適格性評価)制度を定める重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(「重要経済安保情報保護活用法」)が2025年5月16日に施行されました。施行に先立ち、「重要経済安保情報保護活用法の運用に関するガイドライン(適合事業者編)」、「重要経済安保情報保護活用法の運用に関するガイドライン(行政機関編)」及び「適正評価に関するQ&A」がいずれも5月2日付で公表されています。本コラムの連載では、両ガイドライン及びQ&Aのうち民間事業者にとり直接的に影響する項目を中心に、今後、解説を掲載します。今回は、これらの公表資料の概要について解説します。
適合事業者ガイドラインは、適合事業者の認定、適正評価の実施、重要経済安保情報の取扱い、事後の事情変更及びその他の5章から構成されています。また、適合事業者が策定することを求められる社内規程のひな型、社内研修に用いるための教育資料のひな型、行政機関と締結する契約のひな型に加え、適正評価を受けるための名簿掲載予定者への説明文書のひな型が別添として掲載されています。
いずれも、1月31日に閣議決定された「重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定に関し、統一的な運用を図るための基準」(「運用基準」)に基づき、運用基準の内容を補足、具体化するとともに、社内規程のひな型及び行政機関と締結する契約のひな型の各条項の内容を逐条解説的に説明するものとなっています。適合事業者認定を受けることを目指す民間事業者においては、適合事業者ガイドラインの内容を理解し、その具体的な各要件を自社が満たすことができるか検討を進める必要があります。
なお、各ひな型について、教育資料のひな型は、行政機関が教育資料に最低限盛り込むべきと考えるものとされ、適合事業者認定に際しては、事業者の実務を適切に解説した教育資料を認定申請書に添付して提出することが必要とされています。また、社内規程については、別添のひな型を参考にしつつ、適合事業者ガイドラインに規定された内容も参考に各事業者が策定することが想定されていますが、ひな型の内容からの変更には行政機関との協議が必要とされています。社内規程は、取締役会レベルでの決定が望ましいとされるとともに、社内規程案がほぼ原案どおりに決裁を終えられる状態でなければ受理をされない可能性が指摘されています。
教育資料及び社内規程については、ひな型を参照しつつ、事業者の実情に応じたものを作成していく必要がありますが、いずれも認定申請書に添付して提出する必要があることから、運用基準及び適合事業者ガイドラインの要件から逸脱することが無いよう、これらの理解を前提にするとともに、行政機関への説明も念頭に置いて作成を進める必要があります。
また、保護責任者や業務管理者の具体的な要件や、重要経済安保情報を取り扱う施設設備の整備状況など、運用基準において必ずしも明らかとされていなかった点にも触れられています。特に保護施設として求められる各種要件については、適合事業者認定を受けることを目指す民間事業者としては自社が充足することができるか検討を行う必要が高いものと思われます。
適正評価Q&Aは、「評価対象者向けQ&A」を中心に、適正評価全般のQ&A及び適正評価に関与する「上司等、関係者、公私の団体向けQ&A」を含んでいますが、今後、随時の改訂も予定されています。
全体として、評価対象者等への平易な解説となっていますが、運用基準やガイドラインの内容を具体的に理解する観点からも把握することが適切です(一例として、飲酒についての節度に関する二日酔いの位置づけ等)。
行政機関ガイドラインは、重要経済安保情報の指定及び保護措置、適正評価の実施、適合事業者の認定及び重要経済安保情報の提供等の3章から構成されるとともに、適合事業者ガイドラインの別添と同様の契約のひな型が添付されています。このような対象範囲からしても、各行政機関における運用のガイドラインとの性格が強く、適合事業者ガイドラインに比して、民間事業者として詳細を把握すべき点は限られているものと思われます。一方、適合事業者の子会社や協力会社の役職員が重要経済安保情報を取り扱う際の当該子会社等の適合事業者認定要件に関する考え方など、運用基準の公表段階では必ずしも明らかにされず、民間事業者が適合事業者認定を受けることを検討する際に非常に重要な点も含まれています。
本コラムでは、適合事業者ガイドライン、行政機関ガイドライン及び適正評価Q&Aの概要について解説しました。今後、これらのうち民間事業者にとり直接的に影響する項目を中心に、解説を掲載する予定です。適合事業者認定を受けることを検討する民間事業者としては、これらの公表資料を確認し、重要経済安保情報を取り扱う施設設備の整備状況をはじめとする各要件について、自社が充足することが可能か、どのように態勢整備を進めるか等の検討を進める必要があります。
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