世界の経済力のシフト

世界の経済成長の中心地が変わりました。とはいえ、西側経済が世界を席巻したのは比較的新しい現象であり、現在の状況は本質的には世界経済のリバランスだといえます。

この構造変化により世界の経済と事業活動の様相も変わり、これまで労働力と生産機能を大量に提供してきたBRICsなどの新興国は、消費を中心とした経済へと転換し始めました。こうした国が資本や人材、イノベーション技術などを輸出するようになったため、資本の流れも変化しています。

見逃せないのは、新興市場の成長と規模拡大にともなって新興国間で貿易や投資を通じたつながりが生まれていることです。しかも、これまで先進国と新興国の間や先進国間で動いていた資本の流れに比べて、拡大のスピードがはるかに速いことを認識しなければなりません。

欧米経済が世界を席巻したのは比較的最近の現象

産業界の実例

1. アジア太平洋地域諸国が輸出中心の成長から脱却

中国、マレーシア、フィリピン、ペルー、チリの各国では2012年の成長率が5%を超える一方、GDPに対する輸出比率が急速に低下しています(『PwC 2013年APEC CEO意識調査』による)。アジア太平洋経済協力(APEC)諸国の成長はこれまで、輸出にけん引されてきたのが特徴でした。

2. 新しい市場への方向転換

2030年には、アジアの中流層人口は世界の66%、中流層による消費額は世界の59%を占めるようになります。2009年のデータでは、人口は28%、消費額は23%です(注13)。こうした中流層の拡大は自動車メーカーにとって朗報です。人口1,000人当たりの自動車保有台数は、米国の765台に対し(注14)、インドが約18台、中国が約60台です(注15)。

G7とE7の購買力平価GDP(米ドル)

潜在的影響

  • これまでのグローバル企業は多くが欧米のリーダーの指揮下にありましたが、世界各地で現地プレーヤーの力が増大し、世界の多極化が進みます。その結果、競争環境の形が変わります。
  • 競争主義的な資本主義と、多様な計画経済が同時に台頭します。計画経済は、戦略的に重要な事業セクターにおいて、世界的に支持・支援を受けます。
  • 成熟市場は影響力と資本力を失い、人材にとっても企業にとっても魅力的な場所ではなくなります。政府は税制や規制を通じたインセンティブを活用したり、投資支援を行って競争力を高めることになります。
  • 地理的要因や資源の状況が変わり、そこから新しい競争が生まれます。これまでとは異なる属性の相手と競争することになります。

(注13)Mario Pezzini、「An emerging middle class」OECD Observer、2012年
(注14)世界銀行「World Development Indicators」2010年
(注15)同上

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