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女子プロゴルフ界のトップランナーとして活躍する上田桃子選手・木戸愛選手を招き、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)のパートナー・若手コンサルタントとともに座談会を実施しました。
第1部ではPwCコンサルティングのパートナーとプロフェッショナリズムやインクルージョン&ダイバーシティ(以下、I&D)について、第2部ではコンサルタントとともにオンとオフの切り替えや若手や後輩との接し方などのテーマで意見交換を行いました。本記事ではその内容を紹介します。
プロフィール
上田 桃子 選手
9歳からゴルフを始める。2005年プロテスト合格。07年、ツアー初優勝を含む5勝を挙げて史上最年少(当時)の21歳156日で賞金女王に輝いた。08年からは米ツアーに挑戦し、14年からは主戦場を再び日本に移す。24年11月、プロツアーからの一時撤退を発表。
木戸 愛 選手
10歳からゴルフを始める。2008年プロテスト合格。09年、ステップ・アップ・ツアー「マルナカレディースオリーブカップ」優勝。12年「サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント」でツアー初優勝。父親は元プロレスラーの木戸 修氏。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。本文中敬称略。
登壇者
PwCコンサルティング合同会社
パートナー, 執行役常務 Chief Human Resource Officer
片山 紀生
PwCコンサルティング合同会社
パートナー
谷川 真理
PwCコンサルティング合同会社
ディレクター
速水 桃子
片山:
PwCコンサルティングは、私たちが目指すプロフェッショナル像をPwC Professionalと定義し、そのための行動としてTrusted Leadership(信頼し、信頼されるリーダーシップ)と、Distinctive Outcomes(比類なき成果)の2つを掲げています。プロゴルファーである上田桃子さん、木戸愛さんは、プロフェッショナルとしてどのようなことを大切にしていますか。
図表1:PwC Professional
PwCコンサルティング パートナー 執行役常務 Chief Human Resource Officer 片山 紀生
上田:
まずはプロゴルファーとして期待される役割に責任感を持って取り組むこと、その上で、オンリーワンとなることが大事だと思っています。誰かのまねをするのではなく、自分なりの、自分らしい部分を追求し、それを結果につなげていきたいと思っています。
プロゴルファー 上田 桃子 選手
木戸:
「自分にはまだできることがある」という思いで挑戦し続けることを大切にしています。桃子さんはプロとしてファンの方に魅せるゴルフをしてきました。それはプロとして尊敬していることの1つで、私もそういう姿を見せられるようになりたいという一心で今も練習に励んでいます。
プロゴルファー 木戸 愛 選手
谷川:
国内外の厳しい試合で戦い続ける中で、プロゴルファーとして意識している目標を教えてください。
PwCコンサルティング合同会社 パートナー 谷川 真理
上田:
私は「日本一になりたい」という目標があり、その目標は自分が思っているよりも早く21歳の時に達成できました。これはうれしいことなのですが、その先に掲げる新たな目標を作らなければならず、それがチャレンジでした。その後は、米国ツアーで勝つ(優勝する)こと、拠点を日本に戻してからは日本のメジャー大会で勝つことを目標にしてきました。
木戸:
私はレギュラーツアーで優勝すること、勝ち星を1つでも増やすことを目標に戦い続けています。この目標にチャレンジし続けること、絶対に諦めないことを心がけています。
片山:
私たちはプロフェッショナルとして常に進化を追及しています。私自身の挑戦としては、さらなる成長を目指して大学院に通い始めました。上田さんはツアーからの一時撤退を決断して新しいキャリア形成に取り組み始めていらっしゃり、これもまさに進化を追及されていると感じます。
上田:
9歳でゴルフを始めて以来、技術の向上に取り組んできましたが、進化という点では技術のみでは限界があると思っています。これから先、自分はどういう人生を歩んでいきたいのだろうと考えた時に、新しい視点や違うスキルを身に付けたいと思いました。また、同年代の女性が学び経験してきたことの中には私が習得していないことも多く、それらを吸い上げることで、ゴルフの技術とは異なる部分で発信できることがあると考えました。そこに目を向けることで、プロゴルファーとしても、プロゴルファーではない私としても今までとは違う成果を出せるのではないかと考え、ゴルファーとしての活動をいったん休養する決断をしました。
木戸:
桃子さんの一時休養は寂しく感じていますが、プロゴルファーという枠を超えた人生の決断はとても尊敬できます。私はゴルフのことで頭がいっぱいですが、1人の女性としての幸せや目指したい姿を描いてみた時に、桃子さんが私たち後輩にレールを作ってくれていることを心強く感じます。
図表2:PwC Professional
谷川:
木戸さんをはじめ多くの後進に良い影響と学びを提供している点で、常に新しい目標を立て、挑戦し続ける上田さんの生き方はTrusted Leadershipを体現しているものといえますね。
木戸:
そう思います。私自身もまだ進化の途中だと思っていますので、今の自分ができることを精一杯頑張りたいと思っています。
上田:
プロゴルファーとして目指したいことと私自身が挑戦したいことが常に一致するとは限りません。キャリア形成の観点では、自分が目指したい未来が自分に合っているのか、達成可能かを考えること、また、求められていることとやりたいこと、興味と結果のバランスを取ることが今の私の悩みです。
(左から)プロゴルファー 木戸 愛 選手、上田 桃子 選手
片山:
Distinctive Outcomesの観点では、コンサルタントもプロゴルファーも結果を出すことが求められる点が共通しています。ただ、結果を出すには挑戦が不可欠であり、挑戦には失敗がつきものです。だからこそ、社内では「失敗と書いて『せいちょう』と読む」と伝え、挑戦を後押ししています。こうした失敗をどのように捉えているのでしょうか。
上田:
私たちの世界は結果が数字として明確に現れます。「この大会で勝ち、次はここで勝つ」といった目標と、その先のキャリアも考えやすいのが特徴です。ただ、必ずしも良い結果を出すことだけが重要ではないと思っています。私自身、過去の試合ではいくつも失敗があり、ある試合でのミスショットは「プロがこんなミスをするのか」とバズるくらい話題になったものもありました。今になって振り返ると、失敗したことよりも挑戦したことに価値があったと思っています。そのような経験も踏まえて、キャリア形成は成功体験と失敗体験の繰り返しだと思っています。
谷川:
挑戦を繰り返していく中ではうまくいかない時もあります。気持ちやモチベーションはどのように維持しているのですか。
上田:
最後に気持ちをつなぎ止めるのは、情熱だと思っています。私たち女子プロゴルファーは年間38試合ありますが、調子が良いと感じて臨める試合は、私の場合は1、2試合ぐらいしかありません。そのような中で残りの30試合以上を戦っていくためには、勝ちたい理由や情熱が大切です。
片山:
キャリア形成は、5年後や10年後といった中長期的な理想からバックキャストで考えるのが王道です。一方で、目の前のことにワクワクし、自分の内発的動機の源泉を見つけることも重要です。その点で、私たちPwCコンサルティングはキャリアデザインワークショップという新しい取り組みを始めました。これは周りのメンバーとのディスカッションを通じて、自分がワクワクしていることや、楽しんでいることに気付いたり、気付かせてもらったりする機会となっています。
上田:
目の前の課題や目標にどう取り組むかを考え、整理することは非常に大事です。きれいにキャリア形成していくことも大事ですが、挑戦する価値と意味を考え、その先を想像しながら、目の前のことに挑戦していくことがキャリアになるといいなと思っています。
(左から)PwCコンサルティング ディレクター 速水 桃子、パートナー 片山紀生、パートナー 谷川 真理
イベントの様子
登壇者
PwCコンサルティング合同会社
スタッフカウンシル
PwCコンサルティング合同会社
マネージャー
羽賀 日向子
PwCコンサルティング合同会社
シニアアソシエイト
リー ヤロスラブ
PwCコンサルティング合同会社
シニアアソシエイト
菊池 初音
※スタッフカウンシルは、スタッフの声をリーダーに届け、スタッフ自ら変革を推進することをミッションとするPwCコンサルティングの有志スタッフの組織。経営とスタッフ間の双方向のコミュニケーションを促進する「Insight」、キャリアについてポジティブに考える環境づくりを目標とする「Career」、誰もが働きやすいワークプレイス実現を目指す「Communication」の3チームで活動。
モデレーター
PwCコンサルティング合同会社
ディレクター
速水 桃子
PwCコンサルティング ディレクター 速水 桃子
リー:
プロフェッショナルは、自分らしい進化を目指し、短距離というよりマラソンのように挑戦を続けていくものと考えています。その過程では休息も必要だと思いますが、オンとオフはどのように切り替えているのですか。
PwCコンサルティング合同会社 シニアアソシエイト リー ヤロスラブ
木戸:
私はオフを楽しむ趣味が少なく、カフェに行ったりネイルしたり、あとはゴルフにつながりますが、少し体を動かしてトレーニングに行ったりケアを受けたりするくらいしかないですね。あとは、妹が飼っている犬と過ごす時間が楽しいです。
上田:
私もオンオフの切り替えが上手ではありません。元々ずっとオンで良く、オフはいらないと考えるタイプで、オフの時間を作ることにネガティブな印象を持っていました。ただ、海外ツアーに参加するようになり、オフの大切さを学びました。より良いオンにするためにオフがあると海外の選手から学び、以来、良いオフを作ることがゴルフにもきっとつながっているのだろうと思うようになりました。
(左から)プロゴルファー 木戸 愛 選手、上田 桃子 選手
菊池:
オン(ゴルフ)ありきのオフという考え方ですね。
PwCコンサルティング合同会社 シニアアソシエイト 菊池 初音
上田:
はい。オフも楽しみますが、それはあくまで、他の選手とのパフォーマンスの差を詰め、さらには差をつける時間であると捉えています。そのため、オフの日も早起きしてピラティスに行ったりトレーニングをしたりしています。体を動かすことで、自分がゴルフをしていないという不安な気持ちを抑えることができるのです。
木戸:
オンオフを切り替える大切さを理解していても、現実的には、頭の中からゴルフの存在を消すことが難しいですよね。本を読んでいてもテレビを見ていても、頭のどこかでは「この情報をどうすればゴルフにつなげられるだろうか」と考えてしまうわけです。なので、私も完全なオフにはなりません。これはゴルフ以外のプロにも通じることだと思います。
菊池:
頭の中が完全なオフにはならないという点はコンサルタントにも共通すると感じました。
木戸:
切り替えなければならないと考えるのではなく、完全には切り替えられないことをポジティブに受け取るのも1つの方法だと思います。私自身も、常にゴルフのことを考えてしまう自分も好きだと感じますし、それが良いところでもあると思います。
菊地:
オンにつながる良いオフの過ごし方で心がけていることはありますか。
上田:
20代の頃から意識しているのは、なるべくたくさんの人と会うこと、できる限り自分とは活動領域が異なる人と会うようにすることです。例えば、スポーツとは違う分野で活躍している人と会ったり、スポーツ関係の人なら、ゴルフ以外の人と会ったりすると、私が経験してこなかった悩みや課題を聞くことができ、視点の固定化を防げると思います。
リー:
ゴルフは他のスポーツと比べて選手人生が長いスポーツで、幅広い年齢層のプロゴルファーが活躍しています。先輩からはどのようなことを学びましたか。
木戸:
桃子さんからは、強い気持ちを持つ大切さを学びました。プロゴルファーに限らずですが、正解が見えず、「今やっていることが正しい」という絶対的な確信が持てない中で挑戦し続けるのは非常に難しいことです。そういう環境だからこそ、桃子さんの挑戦には勇気づけられます。
リー:
後輩への指導で世代間ギャップを感じることはありますか。
木戸:
ほとんどないですね。というのは、私たちの世代は良くも悪くも先輩と後輩という関係性を世代論的に意識することが多かったのですが、今の若い選手はとてもフレンドリーです。年齢やキャリアにとらわれることなく接してくれることが多いのです。そこに新鮮さを感じながらプロとしてお互い切磋琢磨できていることが素敵だなと思っています。後輩たちとの会話が勉強になることも多く、刺激にもなっています。
羽賀:
上田さんは、ご自身のキャリアや人生との向き合い方を通じて後輩に多くの影響を与えています。考え方や価値観を伝えていく際に気を付けていることはありますか。
PwCコンサルティング合同会社 マネージャー 羽賀 日向子
上田:
後輩との接し方で私が意識しているのは、私から自分の話はせず、聞かれたら答えるようにすることです。木戸さんが言うように、今の若い選手はフレンドリーでいろいろなことを話しにきてくれます。そういう時に、「私たちの時代はこうだった」「私はこう思う」といった話をしてしまうと、それが後輩たちに壁を感じさせてしまうと思います。ですので「先輩の時代はどうだったのですか」と聞かれた時には参考になれば良いなという気持ちで話をしますが、聞かれるまでは自分の話はしないように心がけています。
菊池:
多様な意見を聞くことは、I&Dの観点でも大事な姿勢ですね。
上田:
私の基本的な考え方として、今の時代を作っているのは年下の人たちであり、これからの時代を作るのも彼らや彼女たちだと思っています。よく言われることではありますが、若い人たちは合理的で、論理的に考えることに長けています。目標達成に向けた姿勢や取り組み方がとてもシンプルで、オンオフの切り替えも若い選手の方が上手です。若い選手の考え方や価値観には常に興味がありますし、ちょっとしたコミュニケーションを通じて私は多くのことを学ばせてもらっていると実感します。
羽賀:
世代による違いや時代によって変わるものがある一方、若い世代に受け継いでほしい普遍的な価値もあると思います。今後は若い人たちへのコーチングにも関わっていくと思いますが、どのようなことを伝えたいですか。
上田:
コミュニケーションはいつの時代も大切だと思います。私は熊本の郊外出身ということもあって、周りの人たちとの挨拶や助け合いなどによって温かい気持ちになったり、支えられたりしたことが何度もありました。選手とファンの関係性も同じで、血の通ったコミュニケーションが大事だと思っています。これは私が先輩たちから教わったことの1つです。私は先輩を見習ってコミュニケーションに時間をとってきました。後輩の皆さんにも人とのつながりを大切にしてほしいと思っています。
リー:
若い頃の自分にアドバイスできるとしたら、どのような声をかけたいですか。
木戸:
ゴルフに夢中になれたこと、その気持ちが大事だよ、と伝えたいですね。そこからさまざまな経験が広がり、多くのことを学びました。夢中になれるものを探し、自分を信じて挑戦し続ける価値が大事だと思います。
上田:
本当、そのとおりですね。1つでも良いので、自信を持って取り組めることを見つけることが大事です。その過程では「きついなあ」と感じることも多いのですが、自分が目指したい未来から目を逸らすことなく向き合い続ければ、自信が持てる何かが見つかり、それが自分を支えてくれると伝えたいです。
リー:
ありがとうございました。
(左から)PwCコンサルティング合同会社 シニアアソシエイト リー ヤロスラブ、マネージャー 羽賀 日向子、シニアアソシエイト 菊池 初音
イベントの様子
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