ご挨拶

日本経済は、いわゆるアベノミクスによる金融緩和、経済対策の効果もあって、景気が持続的な拡大に転じ、企業収益も回復しました。今後は、雇用者所得の改善、そしてデフレからの脱却につながっていくことが期待されています。

PwCは、世界のCEOのビジョンおよびビジネス判断についての分析・考察を「世界CEO意識調査」として毎年ダボスにて公表してきました。
PwC Japanでは昨年に引き続き、日本企業のCEOの皆さまの回答について他地域の回答との比較分析を行い、本冊子にまとめました。皆さまの日頃の業務における一助となれば幸いです。

PwCグローバルの発表によれば、世界のCEOの自信は回復しており、今後は「技術進歩」、「人口構造の変化」、「世界的な経済力のシフト」の3点を業績に影響を与える大きなトレンドとして捉え、ビジネスチャンスを最大化すべく、組織変更を実施し、IT投資を行い、必要な人材の確保に注力するといった動きが見てとれます。

日本のCEO127名の回答によると、前回調査を大きく上回る8割以上のCEOが今後の業績について自信を示しています。また、日本のCEOは成長要因として、アジアを中心とする新たな地域の市場開拓を重視していることも確認できました。一方で、欧米企業に比べると、IT投資、人材確保についての取り組みが弱い印象も受けました。

PwC Japan 日本代表
鈴木 洋之

今回の調査を振り返り感じることは、リーマンショックから5年を経て、世界のCEOが再び攻勢を強めていることです。日本は、成長市場であるアジアの新興国市場が近くにあるというメリットを享受できますが、それに甘んずることなく、イノベーションを継続し、新たな市場の創造をリードしていくことが期待されます。

また、成長軌道に戻り始めた日本について、世界が再び注目していることにも目を向ける必要があると思います。少子高齢化を背景に、外への動きが活発ですが、今一度、国内市場の厚みを再認識し、活性化を図っていくことが望まれます。2020年に東京でオリンピックが開催されることで、いろいろな意味での目標設定が可能になります。痛みを伴う構造改革も必要ですが、官民が一体となって新陳代謝を促し、成長分野への投資や人材の移動を加速することができれば、雇用の拡大、所得の増加につながり、ひいては経済の好循環につなげていくことができると思います。

PwCは世界155カ国にネットワークがあり、世界のさまざまな地域でグローバル企業へのアドバイスの経験を有しています。私たちがもつ幅広い知見を活用することで、皆さまのお役に立てるものと考えております。

なお、今回多くのCEOの皆さまに、郵送による調査へのご協力を賜りました。また対面にるインタビュー調査として、富士フイルムホールディングス株式会社 代表取締役会長・CEO 古森重隆氏、日本電信電話株式会社 代表取締役社長 鵜浦博夫氏に、ご多忙中にもかかわらず、グローバル企業として示唆あるコメントをいただきました。あらためまして心よりお礼申し上げます。

PwC Japan 日本代表 鈴木 洋之

PwC Japan 日本代表
鈴木 洋之

PwC Japanは、日本におけるPwCグローバルネットワークのメンバーファームおよびそれらの関連会社の総称であり、 各メンバーファームは、PwC Japan日本代表が調整的な役割を果たすそれぞれ独立した別法人として業務を行っています。