
デジタル時代におけるリスク管理――デジタルオペレーショナルレジリエンスの強化へ向け実践すべきポイント
デジタルオペレーショナルレジリエンスを強化するための第一歩として、企業が実践すべきポイントについて解説します。
2024年7月25日、欧州連合(以下「EU」)において、包括的な人権および環境に関するデューデリジェンスを規定するコーポレート・サステナビリティ・デューデリジェンス指令(以下「CSDDD」)が発効しました。
CSDDDは、バリューチェーン全体を対象とするデューデリジェンス規制であり、これまでの規制に比べ、大きなインパクトを企業に与えるものです。当社の調査によるとCSDDDの適用企業は、EU域内企業が5,847社、日本企業が120社にのぼります(業種別、適用年度別の詳細については、図表1および図表2を参照ください )。
図表1:業種別・適用開始時期(EU域内企業)
図表2:業種別・適用開始時期(EU域外企業である日本企業)
このCSDDDは、日本法ではないことや、規定内容が目新しいうえに、適用開始まで時間もあることから、各企業の担当者(サステナビリティ関連事業部、経営企画部または海外事業部などを想定)にとって、縁遠く感じていたり、対応方針・方法の検討に際して戸惑ったりしている方もいると考えられます。
そこで、まずは自社への影響の可能性を考えていただくため、適用対象となる日本企業の分析から始め、類似の先行事例としてのバッテリーDDにおける対応アプローチや課題を含め、極力図示も多用しつつ説明しています。CSDDDにおける義務の概要は図表3のとおりです。
図表3:CSDDDにおける義務
なお、2025年2月26日には、欧州委員会からCSDDDやCSRD(コーポレート・サステナビリティ報告指令)などの簡素化を目指したオムニバス法案が公表されていま、本文には、法案が与える影響を概説しています。
デジタルオペレーショナルレジリエンスを強化するための第一歩として、企業が実践すべきポイントについて解説します。
バリューチェーンにおける人権・環境リスクに対応するためのデューデリジェンス規制が強化されています。本レポートでは、EUのコーポレート・サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)の日本企業への影響と求められる対応につき、類似の先行するデューデリジェンス規制も踏まえ、解説します。また、2025年2月に公表されたオムニバス法案の影響にも言及しています。
CSDDD、EUタクソノミー、CSRD、CBAMなどのサステナビリティ関連規制を簡素化する包括的な提案(オムニバス法案)による、CSDDDに関する修正の提案について、主なポイントを解説します。
業界や企業の内的要因によるリスクに対してコンプライアンス研修やルール整備を行っているものの、不正や不祥事を防ぐまでには至っていない現状について、「リスクカルチャー」という視点から考察し、対策を探ります。