HRテクノロジーを最大限活用するための5つのFindings

HRデジタルトランスフォーメーションサーベイ2024

HRデジタルトランスフォーメーションサーベイ2024調査結果
  • 2025-03-11

生成AIを中心に新たなテクノロジーがマーケットに展開され、かつてないほどHRテクノロジー(HR Tech)への期待が高まってきています。人材マネジメントサイクルの全領域、組織マネジメント、カルチャー醸成などさまざまな領域にテクノロジーは登場しています。PwCコンサルティング合同会社は、HRデジタルトランスフォーメーション(以下、HRDX)における企業の取り組み状況、人材マネジメントに関連する人材データの利活用に関して、2024年2~3月に日本企業50社を対象に調査を行いました。

本調査によると各企業におけるHRテクノロジーに対する投資は堅調であり、2020年時と比較して増加していることが分かりました。近年、生成AIなどのテクノロジーの発達も著しく、今後全ての業務領域でシステム化が進むと考えれば、人事施策と連動したテクノロジーの活用がより必要となってくるでしょう。

本調査および2020年に実施した2020HRテクノロジーサーベイ報告書や2022年に米国で実施されたHR Tech Survey 2022結果より、近年のHR Techトレンドについて5つのFindingsを紹介します。

5つのFindings

人的資本経営の実践が最優先課題。人材ポートフォリオ・自発的なキャリア開発・リスキリングに共通してスキル活用、DEIB領域*の可視化がカギとなる

2023年の人的資本の情報開示義務化により80%の企業が「人的資本経営」を直近注力すべき人事施策として回答。人材ポートフォリオ・自発的なキャリア開発・リスキリングの課題に共通して「スキル(=人材の質)」の定義・可視化が重要であるが、まだ「質と量」の両面での要員計画・人材ポートフォリオの策定が実現できている企業は全体の6%に留まる。またDEIB・領域のテクノロジー活用はグローバルに比べて遅れをとり、公平な評価報酬の可視化は国内では2割(19%)に満たないが、グローバルでは5割(46%)と利用が進む。

*Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)、Belonging(帰属性)の4領域の総称

育成・評価・採用領域のテクノロジー活用が進む。ユーザーインパクトのあるHRテクノロジーは従業員エクスペリエンス(EX)を向上させる手段の1つである

人材プロセスにおけるテクノロジー活用では、育成(オンライン学習プラットフォーム、研修管理システム)・評価・採用領域が進んでいる。またEXの重要性が高まる中、グローバルではHRテクノロジーの活用がEXに寄与すると82%が回答。一方で、国内では24%の回答にとどまり、EX向上にテクノロジーを活用できていないことがうかがえる。

テクノロジー特性を理解し人事業務へのユースケースを増やしていく

国内ではBIツールとRPA導入が進む一方で、グローバルと比較するとブロックチェーン、IoT、AR、VR技術はあまり活用されていない。
生成AIは人事業務での活用範囲が広がってきているものの、2020年の調査では71%の企業が活用の進展を期待していたのに対し、2024年の調査では実際に活用している企業は39%にとどまる結果となった。

利便性・機動力の高い人事情報プラットフォームのためには、データガバナンスの観点を意識したシステム構成と効率的な情報連携が必要

2020年の前回調査では利用するHRテクノロジー製品を増やしたい企業が多数だったが、2024年調査では、縮小傾向が見られた。
複数製品間のデータ連携や管理負荷の増大が課題になっていることが浮き彫りになった。

事業戦略を支える人事機能へのシフト、HRテクノロジー企画戦略を担う人材の育成が急務

今後の人事運営においては、80%超が事業部門の経営者や責任者のパートナーとして事業成長を人と組織の面からサポートするHRビジネスパートナー(HRBP)を重視していると回答。また半数以上(54%)の企業が、HRテクノロジーに関する企画戦略を担う人材が不足していると回答し、テクノロジー進化による流れを取り入れるためには、HR人材のテクノロジースキルの強化も望まれる。

ここ数年でかつてないほどにHRテクノロジーへの期待が高まっています。数ある経営資源の中でも希少性が増す人材への注目、人的資本経営の実現、テクノロジーの発達や生成AIの登場などにより、HRテクノロジーはその様相を大きく変えています。

調査結果を踏まえると、広範囲の人事運営の中でもはやテクノロジーを活用しない領域はありません。テクノロジーを活用するHRチームやビジネスにおけるデータ分析力の強化や、人材争奪戦に勝つためにさまざまなテクノロジー技術を通じたHRの近代化をどう取り入れるかといった企画が必要になっています。また、ワークスタイルの多様性やDEIB、さらには従業員にオーナーシップのあるキャリア開発の促進など、人的資本に関する課題を解決するためにHRテクノロジーに投資していくことも重要なアジェンダとなりつつあります。

今後、人的資本経営、グローバル経営といった戦略面から、人材マネジメント再構築やテクノロジー活用の土台となる人事とITの機能面、各人事プロセスでのデータドリブンの人事、従業員エクスペリエンス(EX)まで、多様な視点を含む人事領域の包括的なテクノロジー活用の推進が欠かせないでしょう。

HRテクノロジーを最大限活用するための5つのFindings

HRデジタルトランスフォーメーションサーベイ2024

主要メンバー

出崎 弘史

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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鈴木 英理子

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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森 遥香

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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細渕 真幸

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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