eコマース時代の新たなビジネスモデル

世界の消費者意識調査 2018

PwCの世界の消費者意識調査のデータで明らかになった消費者行動の変化が、新しいビジネスモデルを推進している。小売業や消費財メーカーで推進しているイノベーションの傾向の一部を示す。

  • 今回の調査では、回答者の59%がAmazonや、同様の形態の中国のオンライン小売業者であるJD.comとAlibaba TMALLで買物をしていることが明らかとなった。
  • 買物はAmazonのみで行うという消費者の割合は、10%から14%に増加している。
  • この6年間で、携帯電話で買物をするグローバル回答者の数は133%増加した。

消費者と直接つながること

eコマースの大手が効率と利便性のために市場を旋回させているのは事実ではあるが、メーカーや小売業者は差別化やパーソナライゼーションにおいてビジネスモデルを成長させる余地がある。例えば、多くのメーカーは、小売業者向けではなく、自社の直販チャネル向けに、最新の製品を確保しています。

消費者と直接つながること
あらゆる小売業者には、まだ成長の余地が残されている

あらゆる小売業者には、まだ成長の余地が残されている

世界のB2Cビジネスにおけるeコマースのシェアは15%にも満たないことから、あらゆる小売業者には、まだ成長の余地が残されている。

ニュージャージのガレージからスタートしたBoxed.comは、大型スーパーに車で買物に行くことを望まない顧客向けに大容量サイズの商品を提供し、他社にない強みを生み出している。また品ぞろえを絞り込むことで価格を抑えている。

他のビジネスモデルの成長の可能性

実店舗を週1回以上訪れる買物客の割合は、2013年の42%から2015年には36%に減少したが、それ以降は一貫して持ち直し、今年の調査では44%に達している。従って、小売業では、感性に訴える社会的体験で消費者を惹きつけ、実店舗での買物につなげることが大きな目標となる。

日本における示唆

eコマースが小売市場を席巻している傾向は日本においても同様で、Amazonユーザーは90%を超え、その40%以上の人が「買物をする際、Amazonで商品情報やコメントをリサーチ」している。Amazonをはじめとするeコマース専業社以外に勝ち目がないかと言うと、決してそうではない。グローバルの調査結果でも実店舗で週1回以上購入する人の割合は44%となっており、タブレットやPC、モバイルを引き離し、最も高い。日本においては実店舗の割合がさらに高く64%となっており、他のチャネルとの差も大きく、まだ実店舗が重要な購買チャネルとなっている様子がうかがえる。とはいえ、eコマース専業社に対する対抗策を、小売業各社が講じているのは日本でも同様である。グローバルの事例にもあるような、店舗のショールーム化や体験型店舗などの取り組みは日本でもよく見られるようになってきており、消費者の注目を集めている。

主要メンバー

矢矧 晴彦

マネージングディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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