航空業界向けコンサルティング

航空業界における事業環境の大きな変化

2019年まで堅調に旅客数と売上を伸ばし続けてきた国内航空業界は、2020年以降のCOVID-19の世界的な拡大により深刻な影響を受けました。人々の移動が大幅に制限されたことで、航空需要は急激に落ち込みました。IATA(国際航空運送協会)の予測*1では、国際線を含めた航空需要全体がCOVID-19前の水準に回復するのは2024年頃とされています。しかし2022年現在でも、2019年と比較した国内航空会社の旅客数は国内線で3割、国際線で1割程度となっており、しばらくは厳しい事業環境が続く見通しです。

加えて、2021年に開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)において、日本や米英を含む18カ国が「国際航空気候野心宣言」を採択するなど、各航空会社には環境問題への対応が求められています。SDGsへの取り組みの進展とともに、人々の環境への関心は急速に高まり、CO2排出量を年々増加させ続けていた航空業界には、特に厳しい目が向けられています。

航空業界は、これらの要因によって激変した事業環境にいかに早く適応できるかが重要な鍵となります。

航空業界に必要な3つの視点とPwCのソリューション

こうした大きな環境変化を受け、航空業界には事業の活路を見出す新たな視点が求められています。

PwCは、
「変化する航空利用者のニーズに、どのように対応していくか(航空事業の視点)」
「航空事業以外で既存のアセットを有効活用し、どのように収益を上げるか(非航空事業の視点)」
「高まる環境保全やSDGsへの関心にどのように応えるか(サステナビリティの視点)」

という3点を今後の航空業界にとっての重要課題と捉え、多様な専門性を組み合わせながら、幅広いソリューションによってそれぞれの課題解決を支援します。

航空事業

COVID-19拡大は、利用者のニーズを大きく変えました。非接触・非対面が当たり前となる中、移動に対する利用者の期待やニーズの多様化といった航空利用を取り巻く環境の変化に合わせ、航空会社には適切なサービスの提供が求められます。

1. 顧客とのつながりの再構築

チケットの購入からチェックイン、搭乗まで、人と触れ合わない搭乗スタイルが定着していきます。非対面であっても、目的地までストレスのない移動を可能にすることに加え、特長のあるサービスを提供することが求められます。このためには一連のカスタマジャーニーを見直し、顧客接点および顧客サービスの再構築が必要となります。

2. 個(顧)客のニーズに合ったサービスの提供

今後比率が増大するレジャー利用では、コストパフォーマンスが重視される傾向があります。コストを抑えながら競合他社との差別化を図るために、空港施設、機材、座席間隔やシートなどの設備面に加え、従来の一律のサービス提供やおもてなしから脱却し、必要としている顧客に、必要としている場面で、必要としているサービスを、必要なだけ提供することが求められます。サービスの質や内容だけではなく、データを活用して誰がどのようなサービスを必要としているかを見極めることが肝要となります。

3. 新たな航空需要の創出

デジタル技術の浸透により、バーチャル旅行やオンライン会議の利用など行動変容が起きている一方、Go Toトラベルキャンペーンなどの政策による後押しやインバウンド回復による国際旅客の増加などを背景に、一定程度の移動需要は回復することが見込まれます。一時的な需要の回復に留まらない継続的な成長を実現するために、バーチャルとリアルの融合など、新たな需要の創出が望まれます。

PwCの関連ソリューション

非航空事業

COVID-19拡大の影響による航空需要の低迷が続く中、各航空会社には新たな収益機会の創出が急務となっています。

各航空会社は、大幅な事業環境の変化に対応すべく、これまでの本業である航空分野に偏った事業構造からの脱却に向けて、積極的な事業の多角化と新たなビジネスモデルの確立を目指した収益拡大策を模索し続けています。

その一方で、多くの航空会社においては、これまで安全を第一とする公共交通機関として本業に注力してきた背景があり、非航空事業を収益に貢献できる規模に育てるためは相応の時間を要することが懸念されます。また非航空事業のそれぞれの領域においても、収益化に向けたさまざまな個別課題が存在します。これらの課題解決に向けた取り組みにより本業を支える新たな収益源を構築し、感染症の再来やその他のイベントリスクに耐え得る事業構造への変革が重要です。

PwCが考える非航空事業における多角化の方向性と主な課題

非航空事業の多角化について、以下3つの視点に分類し、それぞれの視点における主な取り組み事例と課題を考察します。(タブを切り替えてご覧ください)

非航空事業の 多角化展開事例

1. 航空機や空港など、従来の航空事業領域を軸とした新たなサービスの展開

航空各社では、長距離国際線利用の場合のみに体験可能なファーストクラス・ビジネスクラスの食事やサービスの提供、ウェディングの実施、プラネタリウムを投影する遊覧飛行など、余剰機材を活用したさまざまな取り組みを進めています。これらの体感型サービスの提供に加え、航空の利用促進および需要喚起策として空港内施設や空港周辺施設の拡充を行うことで、より空港に人が集まるという状況を創出することが重要です。

また貨物輸送は安定的な収益源と見込まれており、空港間の輸送に留まらず、空港から先の目的地への輸送に関する取り組みなど、従来の航空事業領域を軸とした新たな領域への展開が進められています。その一方で貨物輸送は人的コストがかかるため、ビジネスを拡張していく上では自動化の推進を検討していく必要があります。

非航空事業の 多角化展開事例

2. 日常的な生活シーンにおけるサービス提供範囲の拡大と利便性の向上

従来の航空ビジネスは「航空」や「旅行」といった日常から離れた特別な価値の提供を事業の中心に据えていました。今後は、従来のエアラインとしてのブランドイメージを超えて、日常的な生活シーンにおいてより身近に感じてもらえるようになることが重要です。

航空会社が保有する顧客データ資産を活かし、マイレージの会員基盤や決済機能を軸にマイル事業を拡充していくことで、顧客が各種非航空サービスの利用を通じて広くマイルを貯めることができ、日常生活でよりマイルを使いやすくなる仕組みの構築が必要です。またアプリ・決済機能の拡充やeコマース事業の促進に加え、デジタル広告やメタバースなどの活用推進を通じて、特定のエアラインユーザー層のみならず、幅広いターゲット層にアピールするための独自価値の創出を追求していくことも求められます。

非航空事業の 多角化展開事例

3. 永続的な流動の創出による地域および航空会社の収益拡大

ワーケーションなどの地域活性化施策や次世代エアモビリティの取り組みを通じて地域間や人と人をつなぎ、社会や経済の活性化を促し永続的な流動を創出することで、地域および航空会社の収益拡大が期待できます。ワーケーションについては働き方の多様化と一体的な検討が必要であり、また業種や職種によっても導入の難易度が異なるため、個人の意識変革に加え国や企業を巻き込んで喚起を促す必要があります。次世代エアモビリティについては、ドローンを使った物流サービスや、空飛ぶクルマを使った空港と観光地を結ぶ旅客輸送サービスの準備が進められています。今後は、事業としての安全性やビジネスモデルの構築、制度設計などの対応に加え、普及に向けて国を巻き込んだ安全保障や規制の枠組みの整理が求められます。

PwCの関連ソリューション

サステナビリティ

航空業界も例外なく、持続可能な経営・事業運営(サステナビリティ経営)を目指しています。とりわけカーボンニュートラルに向けた取り組みの重要性が高まっています。2019年時点で航空輸送によるCO2の排出量は世界全体の約2%*2(日本国内では5%*3)ですが、欧州をはじめ航空業界へ向けられる視線は厳しく、日本が掲げる2050年ネットゼロ達成に向けてさまざまな施策に取り組むとともに、SBT(Science Based Targets)にコミットするなど、それらの取り組みを成果として可視化することが求められています。

カーボンニュートラルの取り組み

航空輸送需要は今後20年間で2.1倍*4の増加が見込まれており、2050年にはCO2排出量が現在の2~5倍*5と予測されています。世界経済の発展に伴い、増加傾向にあるこれらの排出量の削減、気候変動への対応は航空分野における最も重要な課題の一つとなっています。

カーボンニュートラルへの対応として、以下のような取り組みが行われています。

燃費向上

  • より燃費効率の良い機材への更新、機内提供品などの軽量化や素材の見直し
  • 最良なエンジンメンテナンスの実施
  • 電動航空機の開発・導入
  • 運航の工夫(航路調整、飛行データの分析、機重管理)

SAFの導入

  • CO2削減効果の高いSAF(Sustainable Aviation Fuel)やバイオ燃料の開発、生産、消費加速へのコミット
  • 航空業界、燃料産業のバリューチェーン全体でのSAFの使用推進

その他の工夫

  • 地上走行・待機時間の削減などによるさらなる排出削減施策の推進
  • 空港や旅客サービス、グランドハンドリングでの省エネ化、電動化

カーボンオフセットの取り組み

事業活動における直接的・間接的な排出量の削減(サプライチェーン排出量 スコープ1、2)に加え、自社以外のサプライヤーなどと協働して排出量を削減(スコープ3)することも必要であり、具体的な排出削減のプロセスや施策を明確化して積極的に取り組むことが求められています。

排出量を正しく測定し回避または相殺するJクレジットを積極的に活用し、法人顧客のみならず、個人のお客様に対してもオフセット促進サービスを展開することで、サプライチェーン全体でのCO2削減を図ることや、排出量相当のCO2の吸収や回収につながる革新的な技術開発ならびに採用など、あらゆる施策を大胆かつ変革的に取り組むことが重要であると考えています。

PwCの関連ソリューション

*1 IATA, 2022.“Air Passenger Numbers to Recover in 2024”
https://www.iata.org/en/pressroom/2022-releases/2022-03-01-01/

*2 ATAG, 2020.“FACTS & FIGURES”
https://www.atag.org/facts-figures.html

*3 国土交通省, 2021.「運輸部門における二酸化炭素排出量」
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html

*4 (財)日本航空機開発協会 民間航空機に関する市場予測 2020-2040

http://www.jadc.jp/files/topics/166_ext_01_0.pdf

*5 Intergovernmental Panel on Climate Change : 気候変動に関する政府間パネル
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/index.html
https://gsdm.u-tokyo.ac.jp/file/140308s4k1_terasaki.pdf

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主要メンバー

若尾 治

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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佐藤 猛

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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和田 亮一

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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平野 克樹

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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箕部 吉格

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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佐野 淳一

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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