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昨今のテクノロジーの進展やデジタルトランスフォーメーション(DX)の隆盛は、社会や企業に変革をもたらすと同時に複雑な環境変化を引き起こし、リスクの予測とコントロールを困難なものにしています。このような環境下では、企業にはリスクや機会に対する機動的なガバナンスやリスクマネジメントの整備、継続的な運用がこれまで以上に求められており、そのためには小さな成功と失敗を繰り返しながら、そこから学びを得ることでガバナンスを継続的かつアジャイルに強化することが重要となっています。
日本企業は今、経営層、ミドルマネジメント、現場のそれぞれがDX推進に関する課題を抱えています。DX推進が停滞する、あるいはDX施策が実証実験にとどまってしまう背景には、技術力の低さや人材不足よりも、次のようなガバナンスの脆弱性に起因した課題があると考えられます。
経済産業省が企業のDXに関する自主的な取り組みを促すことを目的として2020年11月に公表した「デジタルガバナンス・コード」(2022年9月30日にバージョン2.0に改訂)では、次の柱立てに則してデジタルガバナンスとして整備・強化すべき事項が示されています。
それぞれの柱立てには、企業が持続的な価値向上を図っていくためのデジタルガバナンスの考え方や望ましい方向性、実践すべき事柄が取りまとめられており、DXを実現する枠組みとプロセスを整備するにあたって必読の内容となっています。
また、このデジタルガバナンス・コードに対応することで、国からDX認定が取得できます。
デジタルガバナンスとは、企業が内外環境の変化やステークホルダーとの対話による価値共創を踏まえ、デジタルテクノロジーを活用するにあたり、経営によるリーダーシップのもと、事業戦略の実現のために機動性と健全性を兼ね備えたデジタル推進・管理態勢を確保するための機能を意味します。ステークホルダーとの信頼の空白を埋め、持続的に企業価値を向上させるDXを推進するためには、柔軟性と実効性を確保した枠組みおよびプロセスの整備と強化すなわちDX推進のための仕掛けが必要となります。
押さえるべきポイント
デジタルガバナンスはコーポレートガバナンスに近い上位概念であり、事業計画(DX戦略)に対するガバナンスであることからも、全社的な組織機能と業務機能を検討する必要があります。組織体制としては、取締役会、DXを推進する執行部門、機能的な牽制・支援、内部監査といった組織総体でデジタルガバナンス態勢を構築することが重要です。
デジタルガバナンス整備のポイント
PwCはクライアントのデジタルガバナンスを整備または強化するにあたり、まず現状の事業戦略・計画やガバナンス・リスクマネジメントにおける課題を把握し、DX成熟度を客観的に評価します。その上で、その企業に適したデジタルガバナンスの方向性をクライアントとともに検討し、整備計画の策定と社内コンセンサスの形成をサポートします。また、DX委員会の組成や組織機能の検討などDX推進・管理態勢に係る整備に関しても助言を行います。そして、デジタルガバナンスの運用立ち上げや、運用状況を客観的な評価、改善事項の助言など、デジタルガバナンスの強化を一貫して支援します。
PwCは、コンサルティング業務に係る実績や、DXに関する知見、監査をはじめとした保証業務を通じて培ったコーポレートガバナンス・リスクマネジメント・内部統制に係る経験を活かし、デジタルガバナンスの整備および運用を包括的に支援します。