
COOやオペレーションリーダーが取り組むべきこと PwCパルスサーベイに基づく最新の知見
本レポートでは、世界の大企業の経営幹部673人を対象に、経営の戦略や優先順位を調査しました。COOはAIの活用拡大に強いプレッシャーを感じており、関連する人材の採用・育成に注力する一方で、業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていない状況が明らかになりました。
2022-12-23
世界のサプライチェーンにはかつてないほど厳しい監視の目が向けられており、企業はレジリエンスと効率を高め、顧客への製品提供を継続すべく努力しています。サプライチェーンは社会における重要な役割を常に担ってきましたが、これまで多くの場合は舞台裏の出来事として認識されていました。しかしそれが今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックとその後の混乱によって注目を浴びるようになり、非常に多くの人々がサプライチェーンの重要性を認識することになりました。
同時にCOVID-19のパンデミックの結果、世界中でデジタル化が着々と進み、サプライチェーンの刷新・改善を行う必要性がますます強まりました。企業はインフレの圧力、不安定な経済、高まる地政学的リスク、長引くコロナ禍を乗り越えようとしています。こうした背景のもとで実施されたPwCの「サプライチェーンのデジタルトレンド調査 2022」は、サプライチェーンを完全に最適化するにはまだ多くの課題が残されていることを浮き彫りにしました。以下に重要な所見をいくつか挙げます。
今回の調査対象であるオペレーションとITの責任者、経営幹部、そしてその他のサプライチェーン担当役員244人は、今起きている混乱への対処で明らかに手一杯です。しかし、本調査で明らかになった機会を生かすことは、企業にとって日々の戦いに勝つことと同じように必須です。これらの機会は、長期的な成功の可能性を高めることになるからです。
目先の課題が優先で、変革のためのアクションは概して後回し
今後12〜18カ月間の優先事項の中で圧倒的上位を占めたのは、サプライチェーン・オペレーションにおける効率の改善とコストの管理・削減でした。調査回答者の大半がこの2つを最優先事項として挙げました。どちらも、他のどの項目よりはるかに高い頻度で最優先事項に選ばれています。例えば、「コストを管理/削減する」は、「従業員のデジタルスキルを高める」の3.1倍、「サステナビリティと企業の社会的責任を強化する」の3.1倍、「生産のデジタル化と自動化」の3.7倍の頻度で最優先事項に挙げられています。つまり、多くの企業が短期的利益を重視し、変革をもたらす可能性のあるこれらのアクションの比重を増やすには至っていないということです。
「サプライチェーンとサプライヤーの多くの属性が、自社に中程度の、または重大なリスクをもたらす」と、調査回答者の大多数が答えていることは、現在も混乱が続いていることの証です。原材料の確保とサプライヤーのオペレーション上の問題が最大のリスクですが、それ以外の分野も懸念材料です。リスクに関する回答全般は、サプライチェーン関連の問題が優先順位に大きく影響したのとは全く対照的でした。これは、多くの企業がまだ守勢で、サプライヤーの多様性を高める、調達方法を変革するといったアクションに乗り出せていないことを示しています。
2021年11月から2022年1月にかけて実施されたPwCの「サプライチェーンのデジタルトレンド調査」では、エンタープライズテクノロジーとエマージングテクノロジーの活用を含めたサプライチェーン管理のオペレーティングモデルにどのように取り組んでいるかを分析するため、サプライチェーン業務との関わりが深い業種の企業を選び、オペレーションおよびITの責任者、経営幹部、その他のサプライチェーン担当役員244名を対象に調査を行いました。調査対象の業種は、航空宇宙、自動車、化学その他の製造業・工業製品、消費者市場・小売業、エネルギー、公益事業、鉱業、医薬品・生命科学、テクノロジー、メディア、通信などです。
本レポートでは、世界の大企業の経営幹部673人を対象に、経営の戦略や優先順位を調査しました。COOはAIの活用拡大に強いプレッシャーを感じており、関連する人材の採用・育成に注力する一方で、業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていない状況が明らかになりました。
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