
サークルエコノミー財団CEOと語る「循環経済とSX」の実現アプローチ【後編】大胆なリーダーシップと次世代の視点が、真のブレークスルーを起こす
サークルエコノミー財団CEOのイヴォンヌ・ボジョー氏とPwC Japanグループの中島崇文が、サーキュラーエコノミー(循環経済)とSX(サステナビリティトランスフォーメーション)実現に向けた具体的な道筋を語ります。
エレクトロニクス部門に関するPwCの最近の調査から、最高サステナビリティ責任者(CSO)にとって心強い財務関連データが得られました。
循環型経済(サーキュラーエコノミー)の非財務的なメリットは明らかです。「採取・製造・廃棄」の直線型モデルではなく、再生可能な原材料、再利用、製品寿命の延長を事業活動の中心に据えることで、企業は環境や社会へのマイナスの影響を大きく減らすことができます。しかし、循環型ビジネスモデルの実行は複雑で困難なものになりかねません。循環型経済への支持を表明しようとしたことがある多くのCSOならば、その点を十分に理解していることでしょう。
PwCスウェーデンの最近の調査は、そんなCSOに待望の情報を提供できそうです。この調査では、エレクトロニクス製品の幅広いライフサイクル分析に基づくシナリオモデリングを行い、3つの主な循環型ビジネスモデルについて、今後12年間の二酸化炭素排出量とコストインパクトを予測しました。その結果、エレクトロニクス業界の4つの主要セグメントにおいて、3つのモデルのどれを実行しても、二酸化炭素排出量を減らすだけでなく、事業コストも大きく削減できることが分かりました。直線型のビジネスモデルに比べて平均12%のコスト削減となります。もちろん、全ての産業の原材料需要やエネルギー使用プロファイルがエレクトロニクス部門と同じわけではありませんが、今回の調査結果は幅広い企業のCSOを勇気づける材料になるはずです。
上の図が示すように、「サービスとしての製品(PaaS)」モデルはコスト削減効果が最大ですが、実行するのも一番難しくなりがちです。というのも、製品の所有構造を変えるにはオペレーションを一新する必要があるからです。CSOは、市場の状況、環境税・インセンティブ、上下流のステークホルダー、そして何よりも自社が手がける製品の種類を考慮して、CFOと密接に協力して厳格な費用対効果分析を行う必要があります。PaaSは複雑または高価な製品を販売する企業に最も効果があります(イタリア製のハンドメイドタキシードを借りるか、既製品のブレザーを買うかを考えてみてください)。
多くのCSOは、再生可能な原材料をはじめとする循環型原材料への移行などによって、少しずつスタートを切りたいと考えるでしょう。そうした方法なら、戦略やオペレーションを大幅に変えることなく、コストや排出量を削減できます。原材料の輸入にエネルギーを費やす代わりに、地元で原材料を調達しても同じ効果が得られます。脱炭素化やネットゼロのプログラムがすでにしっかり整備されている企業のCSOは、他社に一歩先んじることができるうえ、既存のサステナビリティ戦略に符合したパイロットプロジェクトにより、進捗を加速させることも可能です。また、EUの企業サステナビリティ報告指令や炭素国境調整メカニズムなどの規制枠組みについて学ぶ必要もあります。今の循環型活動が、将来的に、そうした規制に盛り込まれたコンプライアンスやカーボンプライシングの規定に伴うコストの削減につながる可能性があります。
循環型モデルのメリットはこれだけではありません。実際、多くの業界にとって、資源の不足や価格の変動が喫緊の懸案事項になろうとするなか、そうした資源の獲得や利用、再利用のあり方を見直すことは、企業の存続に関わる必須案件となっています。
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※本コンテンツは、「A bold new case for circular business models」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
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