環境負荷低減の挑戦を続け、社会の変革に向けた道を切り拓くフロントランナーを目指す

#2 資源循環ビジネスの創出に向けて。リソースサーキュレーションを企画で推進する

  • 2025-07-15

(左から)多賀 渉 氏、大澤 裕一 氏、伊藤 和美、細井 裕介

※本稿は日経ビジネス電子版に2025年5月に掲載された記事を転載したものです。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。

長期的目線で社会全体に向けた発信を続けることが重要

ここまでに希少資源採掘、中古車やスクラップの海外流出、静脈産業での設備投資など、Hondaのリソースサーキュレーションの取り組みにおける課題について見てきたが、課題が明確になっていても、循環ビジネスの構築そのものが道半ばという現状がある。また、先にも触れたように、これはHondaが1社で解決できることではない。

「産業間の認識すり合わせ、経済合理性の確保、ユーザーの価値観変容など多様な課題が存在する中、社会全体に発信を続け、様々なステークホルダーとの会話・交流を通して、社会システムが最適な方向に向かう動きをつくる必要があります」と細井氏はHondaと同じ課題意識を述べる。

「本当に難しい課題です。社会全体でCO₂削減に取り組むといっても、経済的に大きな負担を背負うのは産業界です。エンドユーザーの購買行動の変容にも取り組む必要があります。最近ではサーキュラーエコノミーが注目されていますが、循環を前提とした材料への置き換え、ELVを高効率に解体するための易分離設計、材料の単一化など、当面はリサイクルで経済合理性が確保できる方法を模索することになります」(多賀氏)

「先ほど鉄リサイクルで早い段階から商社との提携をしているとのお話がありましたが、こうしたフロントランナーとして挑戦する土壌があるのがHondaの強みだと感じます」(伊藤)

BCPや国家安全保障の観点からも、日本の製造業や雇用を守るという観点からも、リソースサーキュレーションの持つ意味はますます大きくなっていくことが予想される。

「サステナビリティに向けた困難な課題解決には、他業界の事情や様々な事例から知見を得る必要もあります。自動車業界の外からアドバイスをいただけるPwCはありがたい存在です」(多賀氏)

最後に細井氏は「PwCコンサルティングでは2025年2月にスマートモビリティ総合研究所を立ち上げ、このような社会課題を発信しています。また、産業全体のアーキテクチャを描いた上でプレイヤーをつなげ、課題解決を図る取り組みを始めました。Hondaのビジネス解決および社会課題解決の双方視点で、今後もご支援ができればと思います」との言葉で話を締めくくった。

(左から)多賀 渉 氏、大澤 裕一 氏、伊藤 和美、細井 裕介

主要メンバー

細井 裕介

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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伊藤 和美

マネージャー, PwCサステナビリティ合同会社

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