2020年AI予測(米国):AIを統合的かつ大規模に運用可能にする

AI活用には、アナリティクスやIoTなどの企業システムにAIを統合し、それを常に運用し続けるための役割やプロセスを整備することが必要です。

AIは、他の技術から切り離されたり、単一の部門やビジネスラインに隔離されたりすると、最大限の能力を発揮しません。まず何より、AIはデータを必要とし、より多くのソースからより質の高いデータを供給されることで強力になるのです。

次に、AIの活用が最も価値をもたらすのは、マーケティングやファイナンスなど、より幅広い運用体制の一部として、休みなく稼働させた場合です。したがって、AI活用が得意な企業は、複数の部門やビジネスユニットにまたがって、AIを幅広い自動化の取り組みやデータアナリティクス、もしくは双方と完全統合させて、業務に組み込んでいます。

このようなアプローチを踏まえると、AIデータに関する優先課題の上位3項目が、全社内から収集したデータを統合する(45%)、AIシステムとアナリティクスシステムを統合する(45%)、AIシステムをIoTやその他の技術システムと統合する(43%)というように、全て何らかの「統合」に関係しているのは意外ではありません。AIを運用可能とするにあたって、こうした課題を解決するには、AIの開発はソフトウェア開発とは全く別物であり、異なるマインドセット、アプローチ、ツールが必要だと認識することが肝要です。ソフトウェア開発はコーディング規則に基づきますが、AIのモデル開発にはアルゴリズムが継続的に学習し、データが精製されるという「試して学ぶ」アプローチが求められます。

データはAIを運用可能にする鍵ですが、残念なことに昨年同様、ラベル付けは、企業幹部の優先課題の中で低く位置づけられています。2020年の優先課題としてラベル付けを挙げた回答者は3分の1にとどまり、重要な課題と考えている回答者もわずか13%でした。たとえ現時点ではAIを単一の部門やプロセスに導入しようとしているとしても、セキュアで高品質のデータを組織全体(および組織外部)から集めて準備を整えておくことが重要です。さらに、そのデータを責任ある形で活用するには、そのためのスキルと全社的なガバナンスを構築する必要もあります。実際のところ、ユースケースの承認を得るためには、データをいかにセキュアで倫理にかなった形で利用できるか(あるいはできないか)を証明する能力が極めて重要なのです。

データのラベル付けの課題に対応する一つの方法が、「アクティブラーニング」(能動的学習)です。まずデータサイエンティストが自ら作業を行い、アルゴリズムの決定と提案を分類したり、修正したりすることによって、機械が人に代わって作業を始められるようにします。また、データセットを含むクラウドベースのサービス[English]を駆使するというアプローチもあり、その場合、企業はアナリティクスやAIを迅速に活用することができます。

AIの開発はソフトウェア開発とは全く別物であり、異なるマインドセット、アプローチ、ツールが必要です

2020年に取り組むべきこと

社内のIT全体にAIを組み込む

自動化や重要な決定に関係しているAIモデルを組み込むとともに、学習済みAIモデルをプロダクションアプリケーションと連結して活用を拡大します。このようなAIのITへの組み込みは、あらゆるアプリケーションとAIモデルとの統合を可能にする共通AIサービスレイヤーもサポートすることになります。

機械学習オペレーションを発展させる

AIを日常業務に組み入れるための鍵となるのが、MLOpsという新しい能力です。MLOpsは、データサイエンスの専門力をソフトウェアエンジニアリングやIT運用力と組み合わせたものです。MLOpsを効果的に機能させるため、今後多くの企業が人材を採用し、能力の向上を図る必要があるでしょう。

データの信頼性を高める

AIを大規模に運用可能とするには、データは正確であるだけでなく、標準化され、ラベル付けされ、完全で、偏りがなく、規制要件に適合し、セキュアであることが必要です。そのようなデータとなって初めて、データを、そしてそれに基づくAIモデルの結果を信頼[English]することができます。

2020年、AI活用における5つの優先課題

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主要メンバー

中山 裕之

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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