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TNFD、ベータ版フレームワーク(v0.1)を公開―3つの主要なポイントについて解説

2022-04-18

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は、2022年3月15日にベータ版フレームワーク(v0.1)を公開しました。今後企業が自然関連の情報開示を行う際のスタンダードになりうるフレームワークの初回ベータ版であり、注目を集めています。本稿では、今回公開されたTNFDベータ版フレームワーク(v0.1)における主要なポイントを解説します。

TNFDフレームワークの初回ベータ版では、大きく以下の3つのポイントが記載されています。

  1. 自然を理解するための基本的な概念と定義の概要 
  2. 自然関連リスクと機会に対するTNFDの草稿版開示提案 
  3. 自然関連リスクと機会を評価するためのLEAPプロセス

1. 自然を理解するための基本的な概念と定義の説明

生物多様性や自然関連の主要な概念については、シリーズ:生物多様性とネイチャーポジティブ第1回でも解説しましたが、広く認知された定義がないものが多いのが現状です。そこでTNFD初回ベータ版フレームワーク(v0.1)では、いくつかの概念・用語について改めて定義・説明しています。以下はその一例です。

  • 自然(Nature):自然界を指し、特に生物(人を含む)の多様性と、それらの間および環境との相互作用を重視したもの。4つの領域(陸、海、淡水、大気)から構成される。
  • 環境資産(Environmental Assets):森林、湿地、サンゴ礁、農地など、地球に自然に存在する生物と非生物の構成要素。
  • 生態系サービス(Ecosystem Services):経済活動やその他の人間活動において利用される生態系からの恩恵。

少しわかりにくいですが、まず4つの領域からなる「自然」は、最も広義な概念であり、かつTNFDにおけるさまざまな議論の入り口でもあります。そしてその自然の構成要素として、水資源や生態系など、人々への恩恵のもととなるストックとしての「環境資産」があります。さらにそのストックが組み合わさり、人間社会に恩恵を与えるフローとしての「生態系サービス」が生み出されると整理されています。

また、生物多様性については、生態系資産の質、回復力、量を維持し、ビジネスと社会が依存する生態系サービスを提供する上で不可欠な自然に関する特性であると説明されています。これらの関係は以下の図のように整理されています。

図1:TNFDが考える自然理解のための構成要素

自然を理解するための 基本的な概念と定義の説明

The TNFD Nature-related Risk & Opportunity Management and Disclosure Framework Beta v0.1 Release(p.26)の図を基にPwC作成
https://tnfd.global/wp-content/uploads/2022/03/TNFD-beta-v0.1-full-PDF-revised.pdf(2022年4月5日閲覧)

2. 自然関連リスクと機会に対するTNFDの草稿版開示提案

TNFDでは、一貫した統合的なサステナビリティ報告を目指すためにTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)と同様の枠組み、すなわち「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの柱を採用しています。TCFDとの違いとしては、自然との依存関係と自然への影響というダブルマテリアリティの観点が採用されていること、さらに「ロケーション」が重視されていることが挙げられます。気候変動とは異なり、自然や生物多様性は地域により違いが生まれます。活動により影響を与える場所、依存している場所、それぞれの場所の特性を反映した評価が求められます。

図2:情報開示に関するTNFDの提言(草稿版)

情報開示に関するTNFDの提言 (草稿版)

出典:TNFD自然関連リスクと機会管理・情報開示フレームワーク ベータ版v0.1リリース  エグゼクティブサマリー(p.6)
https://tnfd.global/wp-content/uploads/2022/03/TNFD-Beta-launch-Ex-summary-JP.pdf(2022年4月5日閲覧)

3. 自然関連リスクと機会を評価するためのLEAPプロセス

企業の情報開示までのプロセスとして、今回新しくLEAPというフレームワークが提示されました。LEAPとは、Locate、Evaluate、Assess、Prepare(発見、診断、評価、準備)という4つの単語の頭文字を合わせた造語であり、これは自然への配慮を企業やポートフォリオのリスク管理プロセスに組み込めるようにするための実践的なガイダンスとして公表されたものです(図3)。

SBT for Natureにおいても企業対応のための5つのステップが示されていますが、そのうちの①分析評価→②理解優先順位付け→③測定・設定・開示までの内容と近い考え方です。

SBT for Natureについてはシリーズ:生物多様性とネイチャーポジティブ第2回をご参照ください。

図3:LEAP アプローチ

LEAP アプローチ

出典:TNFD自然関連リスクと機会管理・情報開示フレームワーク ベータ版v0.1リリース エグゼクティブサマリー(p.7)
https://tnfd.global/wp-content/uploads/2022/03/TNFD-Beta-launch-Ex-summary-JP.pdf(2022年4月5日閲覧)

おわりに

今回のベータ版フレームワーク(v0.1)は初回版であり、今後、これを基に広く意見を聴取しながら、改訂が進められていく予定です。

計画としては、2022年6月にv0.2、10月にv0.3、2023年2月にv0.4をリリースし、2023年9月にv1.0が正式にリリースされる予定です。今後さらなる言葉の定義(ネイチャー・ポジティブなど)やデータと指標、セクター別のガイダンスなどが追加されていく予定です。

PwCはTNFDのタスクフォースメンバーに参画しています。

執筆者

坂野 俊哉

シニア・エグゼクティブ・アドバイザー, PwC Japan合同会社

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磯貝 友紀

パートナー, PwCあらた有限責任監査法人

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服部 徹

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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舛田 陽介

シニアアソシエイト, PwCあらた有限責任監査法人

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中尾 圭志

アソシエイト, PwCあらた有限責任監査法人

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