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生物多様性に関する経営支援サービス

気候変動と並ぶ重要課題として認識される生物多様性に関して、生物多様性への影響・依存の評価から、リスク・機会の分析、戦略策定、KPI設定まで包括的に支援します。

生物多様性とビジネス

――なぜ企業は生物多様性に取り組まなければならないのか

「生物多様性」と聞くと、北極のシロクマや熱帯雨林のオランウータンを守ったり、野生のトキやコウノトリの個体数を増やしたりといった、希少生物種の保護をイメージする人も多いかもしれません。しかし、生物多様性の保全は希少生物の話にとどまるものでは決してなく、あらゆる人間社会・経済活動の基盤を守ることにつながり、当然ビジネスにも大きく関係しています。

1. 多くのセクターが自然資本に依存

世界の総GDPの半分以上である年間44兆ドルの価値創造が、生物多様性に支えられた自然資本に中・高程度に依存しており、多様なビジネスセクターが生物多様性とそれがもたらす生態系サービスから価値を生み出しています。これはすなわち、生物多様性が損なわれればその価値が失われるかもしれないということを意味しています。

各業界における自然資本への直接的な依存およびサプライチェーン上の依存度

各業界における自然資本への直接的な依存およびサプライチェーン上の依存度

出典:World Economic Forum (WEF) (2020) “Nature Risk Rising: Why the Crisis Engulfing Nature Matters for Business and Economy”

2. 生物多様性の損失とビジネスリスク

ビジネスの基盤を提供する生物多様性は、現在すさまじい速度で失われています。例えば、生物多様性は1970年から2016年の間に平均68%減少しており*、陸地の75%は改変され、海洋の66%は累積的な影響下にあり、湿地の85%が消失しました**。こうした損失により、ビジネスへのリスクが拡大しています。下表はその一例です。

* World Wildlife Fund (WWF) (2020) “Living Planet Report 2020”

** Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services (IPBES) (2019) “The global assessment report on Biodiversity and ecosystem services”

また、生物多様性への対処が不十分であることは、生態系からの資材の調達などにおけるリスクのほか、規制強化によるリスクやレピュテーション上のリスクにもつながります。しかし、これらのリスクは裏を返せばビジネスチャンスにもなり得ます。例えば、いち早く生物多様性に配慮した安定的なサプライチェーンを確保することで、今後のビジネスをスムーズに展開できるうえ、生物多様性に配慮したブランドイメージを構築できれば、環境意識の高いZ世代などの客層をつかむこともできるでしょう。

生物多様性喪失に係るリスク(例)

ビジネスへのインパクト(例)

自然災害リスクの拡大

水害・土砂災害の深刻化

サンゴ礁、マングローブ、湿地などの消失、森林の荒廃等に伴う防災機能の低下による洪水・土砂災害リスクの増大

※実際に、米国における湿地開発によるハリケーン被害の拡大や、東南アジアにおけるマングローブ林伐採による津波被害の拡大等が生じています。

  • 不動産をはじめさまざまなセクターの企業が保有する資産の価値低下
  • 企業のオペレーション・サプライチェーン途絶による収益の減少
  • 支払保険金の増加による保険会社の保険収支悪化

作物・森林・その他自然資源の減少

作物の減少

作物の遺伝的多様性の喪失に伴う病気蔓延へのレジリエンス低下による収穫量の低減およびハチなどの花粉媒介者の減少による作物の生産性が低下

森林の減少

生物多様性の喪失に伴う安定的な森林資源の供給の喪失、炭素吸収源の減少による気候変動の悪化

海洋・水産資源の減少

水域の環境悪化や乱獲による生物多様性の喪失に伴う海洋・水産資源の減少

  • 一次産業(農業、林業、水産業)における収穫量の減少に伴う利益の減少
  • 自然資源に依存度の高いセクター(食品・飲料、製薬など)における原材料供給量の減少・価格の高騰による収益の減少

感染症発生リスクの拡大

居住地・農地の拡大、森林伐採に伴うさまざまな生物種との接触可能性の向上による新規ウイルスへの感染リスクの増大

  • パンデミックの発生によるサプライチェーン・企業オペレーションの途絶
  • GDPの収縮による企業の収益の減少

水資源枯渇リスクの増大

水資源の供給を支えている森林や湿地などの自然生態系の喪失に伴う水資源枯渇リスクの上昇

  • 水資源に依存するすべての業界・プロセスにおける事業運営の不安定化

自然資本に関する企業の取り組みの推進――TNFD

生物多様性が世界的な重要課題と認識されるにつれ、ビジネス領域においても取り組みの推進が求められています。その最たるものが、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)です。TNFDは、世界で2,600社以上が賛同する気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の自然資本版です。TNFDのフレームワークは2022年公開予定であり、今後生物多様性についての情報開示のスタンダードとなる可能性が極めて高いと言えます。

開示の枠組みとしてはTCFD同様「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つを柱とし、企業から環境へのインパクトと、環境から企業へのインパクトという両面(ダブルマテリアリティ)を重視する点に特徴があります。

※TNFDの概要については、以下のコラムを参照。
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/sustainability/biodiversity-loss-risk.html

TNFDのほかに、気候変動に関する目標設定のスタンダードである「科学に基づく目標設定(SBT)」の自然資本版「SBTs for Nature」についても2022年に初期ガイダンスが発表される予定です。すでに世界の先進的な企業は、TNFDやSBT for Nature、さらに2022年のCOP15で採択予定の世界目標である「ネイチャーポジティブ」などを踏まえた目標や戦略の策定を進めており、早急な対応が望まれます。

企業の生物多様性対応を支援するPwCのサービス

では、今後企業には生物多様性についてどのような対応が求められるのでしょうか。具体的には、以下の対策を実施することが重要です。

  1. 生物多様性への影響と依存の評価(現状把握)/マテリアリティの特定
  2. ビジネス上のリスクと機会の特定
  3. 方針の策定
  4. 生物多様性への影響・依存の定量評価
  5. 目標・KPI設定・戦略(方針)策定
  6. 実行・モニタリング・情報開示
  7. 社内浸透

PwCはこれらの対策について、各社の状況にカスタマイズした包括的な支援を提供します。

1. 生物多様性への影響と依存の評価(現状把握)

まずは、生物多様性と自社の関係について現状を把握する必要があります。ポイントは、影響と依存の両側面から把握することです。この段階では、まず自社のサプライチェーンを整理し、そのうえで原材料や地域、バリューチェーンの段階ごとに生物多様性への影響・依存の関係を整理します。

PwCのサービス

影響・依存の評価については、さまざまな評価枠組みやツールが提示されています。しかし、業界レベル以上の個別企業の具体的な分析については、各企業の状況に鑑みて評価フレーム・手法の詳細を決定する必要があります。PwCは、さまざまなツールを参考にしつつ、杓子定規な評価にならないよう各社の特性を考慮した評価フレーム・評価手法を設計・適用し、生物多様性において重要なセクター、原材料、地域、バリューチェーンの段階などを定性的に評価・抽出します。

2. ビジネス上の機会とリスクの特定

現状として生物多様性への影響・依存の大きなセクター、原材料、地域などを特定したら、それが経営においてどのような意味を持つか、すなわちそれがどのようなビジネス上の機会とリスクにつながり得るのか、把握した結果を解釈し、経営戦略につなげていく必要があります。

PwCのサービス

生物多様性への影響や依存がビジネス上でどのようなリスク・機会となり得るか、原料調達や法規制などの動向、レピュテーションなどの多様な視点から分析し、経営における示唆を抽出・整理します。

3. 方針の策定

生物多様性と自社ビジネスの関係についての現状を把握し、機会とリスクを整理したうえで、企業レベルでの生物多様性に関する取り組みに対する大きな方向性を示す方針を設定することが望まれます。

PwCのサービス

各社の現状(生物多様性への影響・依存、ビジネスリスクおよび機会)に鑑み、業界の先進企業の動向や国際的なニーズなども踏まえ、方針策定を支援します。

4. 生物多様性への影響・依存の定量評価

方針を策定したら、目標やKPIを設定するために必要な生物多様性への影響・依存の定量評価・計測を実施します。その過程で、計測指標などを整理することができます。

PwCのサービス

定性評価によって特定した重点領域を中心に、各社にカスタマイズした評価モデルを設計し、影響を定量的に評価します。また、PwCの評価手法であるTotal Impact Measurement & Management(TIMM)を使った影響の金銭価値化も実施可能です。

5. 目標・KPI設定/戦略策定

定量評価(計測)の結果に基づき、改善の進捗を図るKPIと目標値(短期・中長期)を設定し、目標達成のための具体的な戦略を策定します。

PwCのサービス

各社における内部的な重要性と、レピュテーション(評判)や各種イニシアティブ、法規制などの外部的な要因・ニーズを踏まえ、適切なKPI・目標設定を支援します。また、生物多様性の観点から目標を達成するためのキーとなるアクションを検討し、戦略への統合をサポートします。

6. 実行・モニタリング・情報開示

目標やKPIを設定し、戦略を策定したのちに、その実行状況をモニタリングし、結果を開示していく必要があります。

PwCのサービス

戦略策定後も、実行状況のモニタリングや情報開示を伴走支援します。

7. 社内浸透

生物多様性は比較的新しいトピックであるため、社内での理解が低いことが少なくありません。生物多様性の取り組みを効果的に進めていくには、現場だけでなく、経営層の理解の促進も重要となります。

PwCのサービス

社内研修や、経営層への生物多様性に取り組む意義の説明など、社内浸透においてもクライアントニーズに合わせて多様な支援を行います。また、生物多様性への取り組みがどのように経営上の価値をもたらすかを整理し、可視化する(バリュービジュアライゼーション)ことで、説得力の高いコミュニケーションを実現します。

PwCの強み

PwCは以下のような強みを発揮して企業の生物多様性対応を支援します。

(1) 生物多様性支援に関する支援実績

1. 生物多様性支援に関する支援実績

PwCは、金融機関における生物多様性に関するインパクト評価の実施や、生物多様性方針の策定支援、バリューチェーン上における生物多様性への影響と依存の分析、経営上の生物多様性に関するリスクと機会の分析など、生物多様性対応支援における豊富な実績があります。

(2) 強固なグローバルネットワークにおいて蓄積された知見

2. 強固なグローバルネットワークにおいて蓄積された知見

PwCは、国際的な生物多様性評価手法の開発や自然資本会計研究に従事するメンバーファームとの連携など、PwCのグローバルネットワークを活用した支援が可能です。また、TNFDにもタスクフォースメンバーとして参画しています。

(3) 生物多様性そのものに関する知見

3. 生物多様性そのものに関する知見

PwCには、生態学をバックグラウンドに持つメンバーが所属しており、経営的視点だけでなく、実質的な生物多様性保全の視点を踏まえたうえでの支援が可能です。

(4) サステナビリティ経営全般

4. サステナビリティ経営全般

PwCでは、気候変動対応(TCFDなど)やその他のサステナビリティ領域において、多様な業界で多数の実績を有しています。

生物多様性に経営課題として取り組む

生物多様性は気候変動に次ぐ世界の重要な課題として認知が高まっており、対応を迫る企業への圧力はさらに高まっていくでしょう。重要なことは、植林ボランティアなどの本業以外の取り組みだけではなく、生物多様性に伴う経営上のリスクと機会を把握し、本業における活動の一部として生物多様性に取り組んでいくことです。PwCは世界経済フォーラムとの協働による自然資本のリスクに関するレポートの作成や、生態系サービスの金銭価値化手法の開発など、この領域において従来よりさまざまな取り組みを行ってきました。これらの知見を活かし、PwCは今後主流化する生物多様性への対応を全力で支援します。

関連インサイト紹介

シリーズ:生物多様性とネイチャーポジティブ

本連載では、生物多様性の保全とネイチャーポジティブに関する動向や、企業がとるべき戦略について考察します。

シリーズ詳細はこちら

主要メンバー

坂野 俊哉

シニア・エグゼクティブ・アドバイザー, PwC Japan合同会社

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磯貝 友紀

パートナー, PwCサステナビリティ合同会社

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服部 徹

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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小峯 慎司

マネージャー, PwCサステナビリティ合同会社

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舛田 陽介

シニアアソシエイト, PwCサステナビリティ合同会社

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中尾 圭志

シニアアソシエイト, PwCサステナビリティ合同会社

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