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社内における「AI人材」の育成アプローチ

2021-11-26

第4回のインサイトでは、自社課題の解決をリードできる「AI人材」を日本企業内でどのように定義し、育成していくべきか、といったアプローチ方法について取り上げます。

1.AI人材を育成すべき必然性

日本企業におけるAI・データ利活用の領域は、ビジネス適用のための調査・検討といった「準備フェーズ」から、実ビジネスに組み込んで成果の創出を目指す「実行フェーズ」へと移行しています。

AI・データ利活用の推進手法としては、「準備フェーズ」では各事業部が個別に少数テーマの調査・検討を行い、コンサルティング会社やITベンダーなどの外部人材をワンショットで利用することが一般的でした。そのため、企業のケイパビリティや経験を内部に蓄積できないことが課題となっていました。

一方「実行フェーズ」では、複数テーマを全社横断で並行実施する必要があるため、企業全体でケイパビリティや経験を自律的かつ継続的に蓄積すること、そして組織全体の変革をリードし自走できる人材を育てることが求められています。

図表1 日本企業のAI・データ利活用における潮目の変化

需要に対する人材流動性をマクロ視点からとらえると、AI人材は2030年に国内で30万人程度不足することが予測されており、日本企業においては、外部人材の採用だけでケイパビリティを強化、または補完することは非現実的な状況であると言えます。この点からも、今後企業が「実行フェーズ」へ移行するにあたっては、企業内部でAI人材を育成することが急務であることが読み取れます。

図表2 AI人材の需要と不足状況

なお、これらのトレンドはPwC Japanグループが分析した「2021年AI予測調査日本版」でも同様の結果となっており、「社員の人材育成」が、企業にAIを本格導入する際の最大の障壁となっていることが分かります。

図表3 AIを本格導入する際の課題

2.AI人材育成プログラムの限界

AI人材を企業内部で育成することが急務であるものの、一般的な人材育成プログラムを活用することには限界があります。というのも、従来型の育成プログラムでは、実際のビジネスの場面で課題となるようなケース演習やコーディング学習を行わず、座学中心のプログラムを部分的、または断続的に受講するに留まってしまうケースが多々あるためです。そのため、実ビジネスの場で育成プログラムの学習結果を発揮できず、企業全体をリードし、課題解決に寄与できるような人材を育成しづらいものとなっています。

図表4 従来型の人材育成プログラムが抱える課題

3.自走可能なAI人材を育成するポイント

(a) 人材像の定義とゴール設定

AI・データを利活用し、企業が抱えるさまざまな課題を解決できる人材に求められるケイパビリティは多岐にわたります。そのため、学ぶべき対象および内容は広範かつ膨大になることから、特定の一個人に全方位的にキャッチアップさせるのではなく、現実的には個々人に応じてフォーカスされた領域のスキルを向上させることが有用です。つまり「AI人材」を階層別および役割別に分解し、それぞれの人材目標を定義することが重要となります。

大きくは「経営層」「プロジェクト推進層(中堅社員)」「リテラシー推進層」の3層に分類し、それぞれの階層において求められる「役割」「AIスキル」「ビジネススキル」を以下のように例示します。

1. 経営層

  • 役割:AI・データ利活用の要諦を理解し、経営戦略へ組み込む
  • AIスキル:AI・データ利活用が業界や自社経営に与える影響を把握している
  • ビジネススキル:戦略の方向性を示し、適切なリソース配分や、投資の決断ができる

2. プロジェクト推進層(中堅社員)

  • 役割:AI・データ活用の方法を理解し、実際の業務上での利活用を推進する
  • AIスキル:AI・データ技術をどのように利活用すべきか理解し、AIやアナリティクスの技術面に精通している
  • ビジネススキル:ポジションごとにPoC推進ができ、実際のビジネスや業務に適用できる

3. リテラシー推進層

  • 役割:教養・リテラシーを獲得し、社内変革の牽引者として実業務へ活かす
  • AIスキル:基礎的なAI・データ利活用の教養、リテラシーを保有している
  • ビジネススキル:実務を新鮮な目でとらえ、業務変革を促せる

上記ポイントを加味した上で、それぞれの人材育成のゴールを具体的に設定し、育成を実行することが、全社的なAI・データ利活用において重要であると考えられます。

図表5 AI人材の階層別/役割別定義

(b) 自走するための伴走型育成

実際のビジネスの場において、AI・データを適切に利活用するために求められる要素は「進め方」「着眼点・考え方」「スキル・知識」の3つで構成されるため、これらについて、階層および役割に応じた内容の学習が求められます。

ただし、前述のとおり従来の育成方法では「スキル・知識」を獲得することはできても、実ビジネスの現場での実践がなければ「進め方」や「着眼点・考え方」を身に着けることは困難です。

そこでPwCコンサルティングでは、育成の初期段階から当社がサポート役となってプロジェクトを進める「伴走型」のソリューションを提供しています。ゴール設定からOJTやOff-JTを通じた実践型育成を実施することで、「進め方」と「着眼点・考え方」を習得できるアプローチを提案しています。

育成を進めていく中で、徐々に育成対象者に主体を移していき、最終的にはプロジェクトを「自走」できるレベルに成長させることをゴールとしています。

図表6 AI・データ利活用プロジェクトの伴走支援

4.終わりに

本稿では、AI人材が企業に求められる背景とその課題、あるべき育成アプローチと目指すべき姿について考察しました。

日本企業のAI・データ利活用が自走化され、実ビジネスへの実装による成果創出を実現するためには企業内部人材を「AI人材」化し、同時に組織体制および人材育成のゴールを設定し、ビジネスに応用できる環境で学びを深めていくことが肝要となります。

本稿が企業変革への一助となれば幸いです。

執筆者

藤川 琢哉

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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三善 心平

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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永盛 達也

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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