
コラムシリーズ 自治体経営の未来を考える 第五弾 持続可能な自治体DXに向けた専門人材の育成戦略とは?
自治体DXを進める上での人事方針について、専門人材の育成サイクル、部門および個人スキルの可視化、管理職の育成計画、そして自治体ならではの職場の魅力づくりについて解説します。
企業や自治体におけるダイバーシティ&インクルージョンの取り組みは年々活発化してきています。
一般的には人数の多少に関わらず、社会的影響力が低い人々を「マイノリティ」と呼び、現在の取り組みの多くはマジョリティが自分たちの領域にマイノリティを呼び込むことを目指すものです。しかし、マイノリティのみで物事を主体的に推進することは、極めて難しいのが実情です。多くの企業や自治体は包摂社会をうたっていますが、その取り組みの多くは、少数派のマイノリティが多数派のマジョリティに合わせるという考え方が主となります。
マイノリティがマイノリティである所以は、マジョリティに合わせることが困難であることにあります。このやり方はインクルージョン(包摂)というよりは、インテグレーション(結合)であり、ついていけない人々が出てきます。世の中の仕組みの多くはマジョリティを対象として成立しているため、もともと存在する社会的不平等を固定する、また拡大させている可能性があります。
テックインクルージョンの考え方は、マジョリティの市場にマイノリティを組み込んでいくのではなく、マイノリティの人々が集う「場所」のど真ん中に「市場」を作るというものです。これはテクノロジーが進化した現在だからこそできる、これまでのやり方とは大きく異なる全く新しい概念、またはソリューションと言えます。
マイノリティと一言で言っても、性別に関することや、国籍に関することなどさまざまなものがあります。身体や精神の障がいの有無に関するものもあります。また、これらの人々が生きづらいと感じる事柄にもさまざまなものがあり、社会課題として捉えられています。
そしてこれらは、本人たちにとって経済的な課題になります。特に、就労と就学に関する課題は経済的な自立を実現するにあたり、非常に重要な問題です。これらを適切なアプローチにより解決しなければ、経済的な課題に発展し、経済格差が生まれてしまいます。現代社会においてはマイノリティを適切なかたちでインクルージョンし、これ以上の経済格差を生み出さないことが求められているのです。
PwCは「テックインクルージョン」という概念を発展させ、独自のフレームワークを適用することでソリューション化し、社会実装へ向けたアクションへつなげるための支援を提供しています。
マイノリティにとっての課題を解決するには、マジョリティを巻き込んでいくことが重要になります。ステークホルダーが同じ方向性を向き、当事者だけでなく、周辺の人々もメリット得るという合意形成をコレクティブインパクトアプローチにて実装します。
これまでマイノリティが持つ特性や能力、あるいは障がいの度合いなどを管理するにあたっては、アナログで行うことが一般的でした。それらをデジタルで収集・分析することで見える化すれば、課題の解像度を向上します。これまで一括りにされがちであったマイノリティたちの強みや個性を、デジタルの力を使って浮き出たせることで、個別最適な解に導くというシナリオを描き、社会システム変革に向けた道筋をつけます。
就労支援や人材活用など、マイノリティが活躍できる場をマーケットとして発展させ、中長期視点での経済価値創出につなげていきます。テーマや切り口によってデザインの手法は異なりますが、マーケットでの取引量を上げて最適なマッチングが行えるようにすることと、できあがったマーケットを孤立させないことが重要になります。
PwCでは、さまざまな専門性を有するプロフェッショナルたちが横断的なチームを組成し、社内外のさまざまな人々と協働することで、マイノリティが生きづらさを感じる領域へのテックインクルージョンの実装を支援しています。そして、身体や精神の障がいの有無、性別や国籍の違いなどに関わらず、誰もがストレスなく快適に過ごせる社会の実現を目指しています。
障がいなど人の属性に関わらず、テクノロジーの力で多様性の包摂を実現する「テックインクルージョン」について、株式会社 キズキ 代表取締役社長 安田祐輔氏と取締役 林田絵美氏にお話を伺いました。
コレクティブインパクトが創出される世界を目指して、社会課題解決に挑む人たちの後押しとなるような考え方や事例などを、さまざまなコラムや対談を通じて紹介しています。
「テックインクルージョン」で実現するマイノリティの豊かな未来
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