メッシュアーキテクチャが切り開く新たなデータアナリティクス~第6回 メッシュアーキテクチャを実現する組織づくり

2022-11-14

メッシュアーキテクチャ実現に向けた組織体系

これまでメッシュアーキテクチャの考え方やポイントを5回にわたり説明してきました。今一度振りかえってみますが、メッシュアーキテクチャは、データ品質に対する責任を全社横断組織のような「中央組織」と各事業部門といった「ドメイン」に分散させることで、データ利活用におけるドメインとしてのアジリティを確保しつつ、ドメインが作成したデータやアナリティクスを他ドメインがメッシュのように相互に利用できるようにするものです。そのためには、ドメインと中央組織の役割を踏まえ、企業全体でデータ利活用に対する責任を分担する文化を醸成する必要があります。

これを実現する連邦型組織体系のイメージ図を図表1に示します。

図表1:連邦型データマネジメント組織体系のイメージ図

図表1 連邦型データマネジメント組織体系のイメージ図

組織体系は大きく次の3つの要素から成り立つことになります。

①中央組織:
企業全体の全体最適化を取り仕切り、データガバナンスサービスを提供するCoE組織。企業全体のデータマネジメント・データガバナンス戦略を司るCDO(Chief Data Officer)とその配下の実行・運営組織であるデータマネジメントオフィス(DMO/Data Management Office)で構成される。

②ドメイン別データマネジメント組織:
データの管理・運用の主体組織であり、自身の領域のデータプロダクトに責任を持つ組織チーム。これまでのデータオーナー(総合責任者)とデータスチュワード(データとメタデータの品質・利用に関する実務責任者)に加え、多種多用なデータプロダクトをビジネスに連動して企画・開発していく「データプロダクトマネージャー」とデータプロダクトの開発から管理・運営していく実行者である「データプロダクトエンジニア」の設置が必要になる。

③企業全体の意思決定・調整組織:
上記2つの実行組織を取りまとめ、企業全体としての運営を担う役割を持つ組織体で、通常は会議体として実現。中央組織と各ドメイン組織が並列で意思決定・調整できる構造が連邦型の特徴となる。

これらの組織要素が連携してデータマネジメントを運営し、企業文化として自律的かつ協調連携した推進を実現していくことになります。

中央組織は、企業全体のデータマネジメント・データガバナンス戦略を司るCDO(Chief Data Officer)とその配下の実行・運営組織であるデータマネジメントオフィス(DMO/Data Management Office)で構成されます。第5回まででも言及していますが、中央組織とドメイン組織の役割分担の主要内容を改めて示すと、図表2のようになります。

図表2:中央組織とドメイン組織の役割分担

図表2 中央組織とドメイン組織の役割分担

主要メンバー

高橋 功

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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メッシュアーキテクチャは、データ品質に対する責任を分散させることで、データ利活用のアジリティを確保しつつ、他ドメインがメッシュのように相互に利用できるようにするものです。ドメインと中央組織の役割を踏まえ、企業全体でデータ利活用に対する責任を分担する文化を醸成する必要があります。

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