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現在中国ECで売上を伸ばすカギは、「ライブコマース」です。中国のライブコマース市場は、「ライブコマース元年」と言われる2016年から139%のCAGR(年平均成長率)で急速に成長し、2023年に3.77兆元に到達する見込みとなっています(出典:中国産業研究院)。
2015年に大手ECプラットフォーマーが初めてライブ放送機能をローンチし、有名モデルを起用してトライアル的に実施した化粧品のライブ販売が成功を収めて以来、KOL(Key Opinion Leader)を活用したライブ放送のポテンシャルに大きな注目が集まりました。その後数年間で、年収数億円を稼いだり、毎年11月に行われるECセールW11で数十億元のGMV(流通総取引額)を達成したりといったTop KOLが誕生しています。
こうしたKOLは化粧品や3Cカテゴリー(PC、スマートフォン、家電)など、それぞれのファンの属性とマッチする領域の商品の販売に強みを持っており、各ECプラットフォーマーはその影響力を借りて売上を引き上げようとしています。ライブ販売では化粧品、スマートフォン、家電、ゲーム機器、酒などのほか、マンションなども販売され、数時間のライブ販売で売上が数億元に達することもあります。
初期のKOLのライブ販売のスタイルは、商品紹介をメインとしており、タイムセール・安い売価・数量限定などの手段を通じて、消費者の購買意欲をそそるものでした。彼らを伝統型KOLと呼ぶとすると、昨今ではさまざまなタイプのKOLが出現してきています。
まず、エンターテインメント型のKOL。若年層の消費者の興味を喚起するために、コンテンツの面白さにこだわってライブを展開しています。セールストークではなくラップや歌の形で商品を紹介するなど、バラエティー番組のようにエンターテインメントを重視しています。
また、最近では、これらの「騒々しいライブ放送」とは一線を画するコンテンツも人気です。Tier 1、2都市(大都市、地方都市)の高学歴・高収入の女性をターゲットとし、リラックスした穏やかなトークで商品を推薦するKOLも出現しています。詩的な雰囲気を演出し、価格の安さより商品の品質をアピールして、多くの消費者の心(と財布)を掴むことに成功しています。
KOLを活用したライブコマースは、多くの新規客のアテンションを集め、売上の向上につなげる施策です。KOLへの投資対効果を最大化するための考え方を2つ紹介しましょう。1つは、KOLのライブコマースの目的を、売上ではなく、新規顧客獲得に置き、その後のフォローを徹底することです。KOLのライブコマースを通じて購入する消費者は、「ブランドのファン」ではなく、「KOLのファン」が多いと言えます。そのため、自分の好きなKOLが紹介する商品であるがゆえに購入するケースが多く、そのまま放置していては、再度購入してくれる可能性は低いです。つまり、実施後に何のアクションも起こさなければ、効率の悪い投資になるのです。会員プログラムに案内する、アップセル・クロスセルを働き掛ける、ブランドのより深い世界観を体験できる店頭に誘導するなど、購入後にブランド自体のファンに転換していくための働きかけや仕組みづくりが必要となります。
2つ目は、社内でKOLのライブコマースを測定できる仕組みを構築することです。KOLのライブ放送の目的に応じて、適切なKPIを設定し、効果分析することで、KOL施策をアジャストしていく必要があります。
まず、マクロの視点では、ライブの回数、起用したKOLの平均ROIなど総合的な指標を一定の期間(月次、四半期など)で評価し、自社商品に最も適合するKOLを絞り込み、長期的な協力関係を結ぶことが重要です。
また、ミクロの視点では、各ライブ放送における消費者行動の各ステップでデータを収集・分析します。具体的には、「ライブ放送を認知する→ライブルームに入る→滞在する→購入する」という各ステップのデータを取得し、平均値や競合商品と比較することで、改善すべき点を見つけます。例えば、ライブルームに入った消費者が多かったが滞在時間が短く、購入につながらない場合は、10分おきに抽選・クーポン配布を実施することで、消費者の滞在時間を延ばすことが考えられます。
ぜひ、KOL×ライブコマースを戦略的に活用し、中国市場での売上拡大につなげていただきたいと思います。