不正調査対応支援(会計不正・品質不正・競争法違反・贈収賄)

近年、企業における不正、不祥事が多く発生しており、それらの不正を未然に防ぐ体制を構築するとともに、不正が行われたとしても早期に発見し問題の拡大を防ぐ仕組みを整えておくことは、企業にとって重要な課題です。また、万が一不正が発覚した場合に、不正発覚後の対応を誤れば、企業の信用や社会的評価の失墜など大きなダメージを被る可能性があるため、不正発覚時の対応策をあらかじめ検討しておくことも重要です。

PwCのフォレンジックサービスでは、企業や組織の不正および不祥事発覚時の対応において豊富な経験を有するメンバーが、実態解明から再発防止策の策定に至るまで、個々の事案に即した最適な支援・コンサルティングサービスを提供します。

企業で起こる不正と不正調査

企業で起こる不正は、会計不正、品質不正、贈収賄、競争法違反など多岐にわたり、一部の領域では近年特にその脅威が高まっています(図表1)。

不正が発覚した場合の不正調査には、調査の実施による事実関係の実態解明だけでなく、影響額や根本原因の分析から、再発防止策の策定・実施・モニタリングまでの一連の対応や利害関係者(ステークホルダー)対応(情報開示・説明)も含まれます。不正発覚時の不正調査を含む対応策の検討においては、不正の内容や規模に応じたインシデント対応策などをあらかじめ検討しておくことが重要です。

図表1:企業で起こる不正の類型

不正調査における企業の説明責任と経営への影響

不正調査の対応においては、利害関係者(ステークホルダー)への迅速かつ詳細な情報開示・説明が求められ、不正発覚の初期段階から、調査の方法・進捗・結果の公表、再発防止策の策定・実施・モニタリング状況公表まで、一連の対応における説明責任(情報開示)は広範囲に及びます。また、説明責任を果たすべき利害関係者も株主や取引先にとどまらず、海外の機関投資家、当局や報道機関など広範囲に及び、かつ、きわめて短期間のうちに適切なタイミングでの公表が求められます(図表2)。そのため、ひとたび対応を誤れば株価の下落、規制当局からの課徴金をはじめとする処分など、結果として不正行為による直接的な経済的影響よりもはるかに大きなダメージを被る可能性があります。

また、企業のコンプライアンスに対する社会的関心が高まり、会計不正や品質データ偽装などが大きな社会問題となっている昨今、企業や組織の不正、不祥事に対してより一層厳しい目が向けられており、企業の信用や社会的評価の失墜など、企業イメージにも大きなダメージを受ける恐れがあります。

図表2:不正・不祥事において必要なステークホルダー対応例

PwCの不正調査支援サービス

PwCのフォレンジックサービスでは、不正発覚時の対応に豊富な経験を有するメンバーが、初動対応も含めた調査方針・調査範囲の決定、証拠の収集と保全、デジタルフォレンジックスの実施、根本原因の分析といった一連の調査から、ディスクロージャーの方針決定、規制当局への報告、再発防止策の策定・実行・モニタリングまで包括的に支援します(図表3)。

PwC Japanグループ内の業界別の専門チームや会計、IT分野などの各領域の専門チームと協働することにより、業種固有の状況や各領域の課題に柔軟かつ的確に対応することができます。例えば、不正調査におけるテクノロジー活用の面においても、膨大な情報を短期間で分析・整理するための最先端のテクノロジー(インフラ・ツール・手法)を内製化しており、各種ニーズに応じた対応が可能です。

また、PwCのグローバルネットワークとの連携により多国間にまたがる複雑な案件にも対応することが可能です。

図表3:不正調査の流れとPwCのサポート例

  • 初動対応
    • 発覚事項の精査、証拠収集および保全、各種対応(被害拡大防止措置、実態調査)における方針および計画策定支援
  • 実態調査
    • 各種調査項目(メールデータレビュー、書類査閲、データ分析、インタビュー、従業員アンケート)の実施支援
  • 調査報告書作成・公表
    • 報告書の作成および報告書に係る各種検討項目(発覚事項による財務諸表等への影響範囲および影響額の検討、根本原因の分析、再発防止策の立案など)の検討支援
  • 再発防止・不正予防
    • 再発防止策の導入・運用(導入計画、運用および運用状況のモニタリング)支援および不正リスクの検出や定期的なリスク評価実施支援
  • 利害関係者対応
    • 初動対応から実態調査・報告、再発防止策の策定・導入・運用における一連の流れにおいて重要であるステークホルダーへの報告、対話に係る継続的な支援

PwCの支援例

不正分類

支援例概要

会計不正

  • 架空循環取引
  • 原価付け替え
  • 架空発注
  • 原価付け替

など    

 

  • 社内調査における実態解明支援
    • 各種データ(会計データ、受発注データ、工事などの作業実績データ)の分析および証憑類の閲覧
    • 弁護士と協働で従業員および協力業者に対するインタビューの実施
    • 調査対象者メール、その他データの保全収集およびレビュー実施
    • 協力業者に対する確認書及び照会書の送付および回収
    • 全従業員に対するアンケート調査の実施
  • 外部調査委員会への資料作成・報告支援などの対応支援
  • 当局対応支援
    • 提出資料の作成・報告支援
    • 有価証券報告書等の提出期限延長申請支援
  • 証券取引所への改善報告書作成・提出支援などの対応支援
  • 財務諸表等への影響額検討
  • 再発防止策の策定、実行、モニタリング支援

横領

  • 銀行・会計関係証憑の突合調査などの実態解明支援
  • 他者の関与の確認などの追加調査支援
  • 類似案件調査支援
  • 調査対象者メール、その他データの保全収集およびレビュー実施
  • 調査対象者に対するインタビューの実施

品質不正

  • 顧客と合意した製造方法・検査方法からの逸脱
  • 製品検査データの改ざん・ねつ造

など

  • 社内調査などにおける実態解明支援
    • 調査対象の製造拠点における検査業務のプロセスマップの作成、当該プロセスマップに基づくリスク評価の実施
    • 検査データの分析によるデータの改ざん有無の検証
    • 全従業員に対するアンケート調査の実施、または、実施済みアンケート結果の第三者的な観点での再分析および再検証
    • 製造部門、品管/品証部門を対象とした、製造方法・検査の基準逸脱に関する会社調査の支援
    • 調査対象者メール、チャット、その他データの保全収集およびレビュー実施
  • 外部調査委員会の調査補助者として実態解明支援
  • 外部調査委員会への資料作成・報告支援などの対応支援
  • 提出資料の作成支援ならびに報告支援などの当局対応支援
  • 再発防止策の策定、実行、モニタリング支援

入札談合

  • 調査対象者メール、その他データの保全収集およびレビュー実施
  • 入札データのデータ分析を活用した、談合リスクが高い案件および担当者の抽出
  • 上記で抽出した担当者の案件の詳細調査とインタビューの実施
  • 提出資料の作成支援ならびにリニエンシー申請支援などの当局対応支援
  • 再発防止策として競争法コンプライアンス監査の導入支援
  • 新たに導入した施策の運用状況などを確認するためのコンプライアンス監査のプログラム設計および監査実施の支援

カルテル

  • 社内調査における実態解明支援
    • 調査対象者メール、その他データの保全収集およびレビュー実施(クロスボーダー案件の場合は、対象データが数十万件におよぶ場合もあり
    • 弁護士と協働で従業員及び協力業者に対するインタビューの実施
    • 帳簿や資料、契約書等の閲覧
  • 海外におけるクラスアクション(集合代表訴訟)の対応支援
    • 調査対象者メール、その他データの保全収集およびレビュー実施
    • 日本および海外弁護士事務所と協働で法廷に提出するデータリストなどを作成
  • 再発防止策およびコンプライアンスプログラム強化支援
    • 再発防止策としての競争法コンプライアンス監査の導入支援
    • 本社事業部および国内・海外子会社のリスク評価と、その結果に基づいた全世界の拠点に対するコンプライアンス実地監査の実施支援
    • 実地監査結果、全社的に取り組むべき課題およびその改善策を記載したレポートの作成支援

贈収賄

  • 社内調査における実態解明支援
    • 調査対象者メール、その他データの保全収集およびレビュー実施
    • 帳簿など会計記録の分析、突合確認
    • 関係者へのインタビュー
    • 特別調査委員会や第三者委員会による調査への支援
    • 多岐にわたるステークホルダーへの対応支援
  • 海外当局対応支援
    • 税務申告の修正対応支援
    • 米国など海外規制当局対応支援(規制対象該非、訴求期間の検討など)
    • 影響範囲および影響金額の検討(損害賠償請求金額、追徴課税金額、不正に獲得した契約の停止による影響および補償金額)
    • 当局によるコンプライアンスプログラム評価受入に向けた準備
  • 再発防止策実行支援およびコンプライアンスプログラム強化支援
    • 当局のコンプライアンスプログラム評価に基づくプログラム改善策の策定
    • 世界中の子会社を対象としたリスク評価の支援
    • リスクの高い子会社に対する実地監査のサポートおよび研修の実施
    • サードパーティ管理に関する規程の更新・デューデリジェンスの一環としてのサードパーティのリスク評価プログラムの構築の支援
    • サードパーティ管理ツールの導入支援
    • 法務・コンプライアンス・内部監査部門に対する反贈収賄研修の実施

不正調査にかかわる主なサービス

不正会計・粉飾決算に関する調査

売上の水増し、収益・費用の計上時期の意図的な調整といった決算操作、架空売上、循環取引、金融スキームを利用した不正な簿外取引など、不正会計の手法は多岐にわたります。その手法は年々巧妙かつ複雑化しており、証憑書類の形式的な確認だけでは発見が困難です。また近年は、海外子会社において不正会計が発覚するケースが増えています。

私たちは、不正会計や粉飾決算の疑いが生じた際に、書類調査、フォレンジックデータ分析、取引先を含む関係者へのインタビュー調査、電子メールレビューなどのデジタルフォレンジックスを組み合わせることにより、これまで数々の不正会計の実態を解明してきました。

調査例

  • 売上計上基準からの意図的な逸脱
  • 売上の前倒し計上または費用の繰り延べの調査
  • 工事進行基準の不適切な適用による売上・売上原価の操作の解明
  • 循環取引の実態解明
  • 製造原価の意図的な操作による利益のかさ上げの解明
  • 偽装在庫・在庫数量改ざんに関する調査
  • 簿外資産・簿外取引に関する調査
  • 関連当事者取引に関する不適切な開示に関する調査
  • 海外子会社における資産の流用・不適切な財務報告に関する調査

重大な不正会計が発覚した場合には、第三者による調査委員会が組成されることが多く、効率的かつ効果的に調査を実施し、調査結果に透明性、客観性を与えるために、弁護士、会計士、学識者などをメンバーに加え、必要に応じて膨大な情報を収集の検討を行う補助者を選定するのが一般的です。

PwCのフォレンジックサービスでは、不正会計発覚時の対応に豊富な経験を有するメンバーが、調査方針・調査範囲の決定、証拠の収集と保全、デジタルフォレンジックスの実施、根本原因の分析といった一連の調査から、ディスクロージャーの方針決定、監督官庁への報告、再発防止策の策定まで包括的に支援します。

会計不正発覚時の対応

図 会計不正発覚時の対応

インサイト/ニュース

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フォレンジック通信

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主要メンバー

山上 眞人

執行役常務, PwC Japan有限責任監査法人

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那須 美帆子

パートナー, PwCリスクアドバイザリー合同会社

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平尾 明子

ディレクター, PwCリスクアドバイザリー合同会社

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上野 俊介

ディレクター, PwCリスクアドバイザリー合同会社

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奈良 隆佑

パートナー, PwCリスクアドバイザリー合同会社

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