地政学リスクを考慮した中国事業リスク対応支援サービス

経済安全保障、知的財産保護、デジタルデータ法規制、環境問題、人権問題など、複雑に絡み合った経営課題への対応を支援します。

技術力・経済力で台頭する中国と、世界のパワーバランスが崩れることを警戒する西側諸国との対立が顕在化する中、日本企業には中国でどのようにビジネスを展開し、同時に他の国・地域といかにバランスを取っていくのかという「リスク感覚」が求められています。米中両国と経済的な結びつきが強い日本企業にとって、これらの対立構造を正しく理解し、「経済安全保障」等のリスク要因を分析、適切な対策を講じることは最重要事項の一つです。

日本国内で人口減少・少子高齢化が進む中、日本企業が発展を続けるには、旺盛な購買力のある海外市場を狙うことが有効な選択肢となります。中国市場をターゲットとする場合、現地の政府や企業との良好な関係性構築が重要であり、領域によっては戦略的な提携を模索する必要もあるでしょう。

しかしながら、中国市場の現状や将来性を精緻に分析し、成長戦略を描いて事業を運営している日本企業はそれほど多くありません。中国は現在、AI・デジタルテクノロジーなどの最先端技術開発国として積極的な科学技術投資を行っており、デジタルデータの取り扱いに関する法律も次々と成立するなど、事業環境が大きく様変わりしています。

こうした状況下で中国事業を推進するにあたっては、自社製品の不適切な軍事転用防止、先端技術に関わる知的財産の保護、サイバー攻撃の検知・防御、データ越境規制を考慮したデータ活用やクラウド戦略、不買運動やブランドイメージ低下の防止、サプライチェーンの持続性確保など、多岐にわたる課題に対応しなければなりません。

図1 中国における日系企業の位置づけ

PwCのサービス

PwCは中国における経営課題を主な戦略リスクとして分類し、それぞれの分野における事業リスクへの対応を支援します。

1.地政学的な動向を踏まえた中国事業リスクのシナリオ分析支援

政治的なイベント、国家安全保障や人権問題に触れる事案、国家権力を後ろ盾にしたサイバー攻撃などが発生すると、それに呼応するように各国間で制裁動議や報復措置が発せられることが増えています。こうした動きは、政治や軍事の世界に留まらず経済界にも影響を及ぼし、特定企業との取引禁止、不当に高い関税の適用、特定地域での不買運動やブランドイメージの毀損などといった形で表面化します。このような事案への対応策として、マクロ的な視点で大局を見極め、先々に発生し得る事象をあらかじめ想定し、それらに対応するアプローチをできる限り準備し、さらに定期的に見直すことが重要です。

PwCは地政学的な動向を踏まえた中国事業リスクのシナリオを分析し、成長戦略の方向性の検討から具体的な施策の策定までを支援します。

外部環境分析

  • 政治・経済・社会・消費者意識・法規制などの動向を踏まえたマクロ環境分析、起こり得る事象の洗い出し
  • 各事象が自社の中国事業に与える影響のシナリオ分析
  • 過去に発生した制裁適用事例の分析
  • 業界構造の分析(既存プレイヤー、新規参入者などの勢力分析、業務提携の可能性検証)
  • デジタル技術のトレンド分析

自社ケイパビリティ分析(内部環境分析)

  • 主要顧客(法人・個人)
  • 提供価値(製品・サービス・ブランド)
  • 販売体制/チャネル
  • 収益性/費用
  • 経営資源の状況、事業パートナー
  • 管理者層・駐在員の人材モデル
  • 本社と海外拠点との役割分担(例:海外にR&D部門を置くべきか)

成長戦略の方向性の検討

  • 中国拠点の果たすべき役割および成長戦略の方向性の定義(既存市場/新規市場など)
  • M&Aおよび戦略的提携などの検討
  • 知的財産の適切な管理方法の確立
  • 戦略実現に向けた施策案の策定
  • 組織のあるべき姿・管理者層のキャリアパス定義(駐在員の削減や現地採用社員の登用を含む)

具体的な施策の策定

  • 戦略の実現に向けた各種施策案のフィージビリティスタディの実施
  • 複数シナリオにおける損益シミュレーションの実施
  • アクションプランの策定
  • リスクシナリオの定期的な見直し

2.中国データ関連法規制を踏まえたガバナンス態勢の構築支援

中国拠点がサイバー攻撃を受けて社内ネットワークへの侵入を許し、最終的に本社に置かれた機密情報が漏洩するという事案が発生しています。これらは海外拠点単体の問題ではなく、グローバル全体の課題として捉え、本社が主導してガバナンスモデルを明確に定義しなければなりません。企業の機密データや顧客情報を海外拠点で取り扱う場合、そこでの管理責任について説明責任が発生します。特に取引先や外部委託先にもデータを共有する場合は、細心の注意が必要です。また、PwCの「経済犯罪実態調査2020(中国版)」によると、中国では世界全体に比べて、従業員などによる内部犯行の比率が高い傾向にあることが分かっており、その防止策も重要といえます。

図3 	中国データ関連法規制を踏まえたガバナンス態勢の構築支援

PwCは、自社のセキュリティ管理態勢の構築に加えて、中国の法規制や商習慣を考慮した対策や、取引先・委託先などの管理・監督・監査なども含めたガバナンス態勢の構築を支援します。

セキュリティ管理態勢構築支援、データ関連法規制準拠支援

  • 中国拠点におけるセキュリティ評価、対応計画作成、対策導入支援
  • 中国拠点における中国データ関連法規制への準拠状況評価、対策支援、等級保護等に関わる登録申請支援
  • グローバル全体を見据えたガバナンスモデル構築支援

中国の労働法規や商習慣を考慮した内部犯行防止対策支援

  • データの取り扱いに関する監視体制構築支援
  • 採用時・退職時などの人事的なルールの構築支援
  • 従業員に対するセキュリティ教育支援
  • 不正やその疑いが検出された際の調査代行

取引先・委託先などに対する管理・監督・監査支援

  • 取引先・委託先などに関わるバックグラウンドチェック(資本関係、経営者、実質的なステークホルダー、業績、主要取引先、当該業務の実績、過去のインシデントなど)
  • 取引先・委託先などにおける情報セキュリティ管理状況の評価プログラムの構築支援および評価業務(監査、簡易チェックなど)支援、改善指導支援
  • 監督官庁、顧客やメディアなど、対外的な説明が必要になった場合のコミュニケーション対応支援

3.多国籍企業におけるデジタルプラットフォーム活用戦略の策定支援

多くの企業は、硬直化した旧来型の事業を打破して新たな事業価値を創造するため、最新のデジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいます。グローバルに事業運営する多国籍企業では、クラウド型の世界共有デジタルプラットフォームを導入することもアプローチの一つです。

しかし、中国にはグレートファイアウォール(金盾)と呼ばれる検閲システムが存在し、日本や米国などの企業が提供するクラウドやSNSサービスの一部は規制されて接続不可となるもの、または接続できても公式にはサポートされていないものが存在します。こうした状況下でのデジタルプラットフォーム活用を支援するため、PwCは以下のようなサービスを提供します。

デジタルプラットフォームの機能評価支援

既存のITシステムや今後導入予定のクラウドサービスなどについて、中国における利用可否、ベンダーのサポート状況、接続システム(例:税務当局の電子発票など)との相性などを客観的に評価します。

デジタルプラットフォームのセキュリティ評価支援

クラウドサービスのデータセンター設置場所を考慮して、データ越境規制に抵触しないか、また等級保護レベルの評価、当局への申請プロセスなどを確認します。

クラウド活用戦略策定支援

中国事業のデジタルプラットフォームの位置づけ(世界共通の基盤もしくは中国独自の基盤)に関する方針に応じて、具体的にどのようなプラットフォームを構築するのかを詳細に検討します。

中国独自のDX推進支援

中国事業独自にDXを推進する場合、現地の製品やサービスも積極的に採用しながら、現地の消費者や取引先に支持されるビジネスを創造します。また日本や世界に還元できる技術やアイデアを抽出し、情報を発信していきます。

4.ウェブサイト/SNS分析およびレピュテーションリスク管理支援

コンシューマーブランドや小売業界では、商品の品質や社会課題(人権問題や環境問題など)に対する企業姿勢に対して消費者がSNSなどで声を上げ、それが大きなうねりとなって、企業の業績やブランドに影響を及ぼすことがあります。特に、日本や西側諸国の消費者と中国の消費者の双方が顧客である場合、これらのグループが相反する論調を展開する可能性があるため、企業は打ち出すメッセージの内容やタイミングを慎重に検討する必要があります。

PwCは、専用のツールを用いてウェブサイト/SNSおよび社内データを収集し、モニタリング・分析を通して、対応方法の検討を支援します。

図4 ウェブサイト/SNS分析およびレピュテーションリスク管理支援

PwCのサービス

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主要メンバー

山本 直樹

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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齋藤 篤史

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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