Fracturing World

自然関連リスクの管理:正しく把握し、適切な行動につなげるために

産業界は、ニーズの高い財やサービスの供給に当たって、自然に大きく依存しています。この依存状況を認識することが、依存に付随するリスクや機会を管理する第一歩となります。

食べ物、木材、水、ゴムといった資源は、自然によって生み出されています。私たちの経済活動の多くが自然資本に依存していると言えるのです。本稿では、世界のGDP総額の55%(約58兆米ドル相当)が、中程度または高度に自然に依存して生み出されていることを指摘しています。

他方で、人間の活動が原因で100万の種が絶滅の危機に瀕しており(※)、経済活動を支える生態系サービスは衰退し続けています。この危機的状況を踏まえ、2022年12月に開催された第15回生物多様性条約締約国会議(COP15)第2部では「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が採択されました。この枠組みでは、企業に対する目標設定や情報開示などの具体的措置の促進を締約国に求めています。

本レポートでは、各産業の自然依存度を推定するとともに、今すぐ着手すべき3つの措置として、企業が影響依存のベースラインを測定すること、ビジネス上の意思決定に自然関連データを活用すること、ネイチャーポジティブなビジネスモデルを追求するための目標を設定することについて、具体的な方法論を交えつつ紹介します。

(※)「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム」(IPBES)が発行している「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書」(2019年)

どの企業も、程度の差こそあれ、自然に依存しています。自然は、木材や水などの貴重な資源を企業にもたらします。自然がもたらす恵みは「生態系サービス」と呼ばれ、湿地による洪水緩和などの防災・減災や、森林による大気中汚染物質除去などの浄化をはじめ、多岐にわたります。また、自然は、作物栽培に適した肥沃な土壌や花粉媒介を担う昆虫を育むなど、さまざまな形で生産活動を支えています。実際、経済活動と自然生態系のつながりを調べたところ、世界のGDP総額の55%(約58兆米ドル相当)は、中程度または高度に自然に依存して生み出されていることが分かりました1

気候変動に対して大きな懸念が示されている中、次なる事態に思いを巡らせても不思議ではありません。自然への依存によって、企業はそれ相応のリスクにさらされます。実際、工場で火災が発生するリスクがあるのと同様に、森林でも火災は発生します。また、自然界に及ぼす害についても、消費者や投資家の間では懸念が高まっています。企業が自然への影響や依存を管理して、事業の脅威となる関連リスクの軽減に取り組んでいるかどうかが、今後、厳しく問われるはずです。

企業が自然関連リスクにさらされる度合いは、驚くほど大きくなる可能性があります。企業自体の事業活動から生み出される経済的価値が自然に大きく依存している産業は、5つあります(5産業の直接的な事業活動による経済的価値は、世界のGDP総額の12%相当)。こうした産業では、自然生態系に混乱が発生すれば、この経済的価値が全て吹き飛ぶ可能性もあります。その他の11産業では、企業の事業活動とサプライチェーンから生み出される経済的価値の少なくとも35%は、中程度または高度の自然依存度を示しており、生態系の混乱で経済的リターンが著しく減少する可能性があります。直接的な事業活動の自然依存度が低い産業であっても、自社のバリューチェーンが中程度〜高度の依存度である以上、ある程度のリスクにはさらされます。

このように広範囲にわたって自然への依存が見られるということは、投資家もリスクにさらされることになります。19の主要証券取引所を分析したところ、上場企業が中程度〜高度の自然依存度を示していることから、上場企業の時価総額の半分は自然関連リスクにさらされていることが分かりました。

自然の衰退を示す科学的根拠からは、自然関連リスクが現実のものとなって企業に襲いかかる可能性の高まりが見て取れます。こうした動向を踏まえれば、ビジネスリーダーとして何らかの手を打つべきだと私たちは確信しています。1つの措置としては、企業が自然への依存度や影響度の評価基準となるベースラインを測定し、それに伴うリスクと機会を定量化することが挙げられます。第2の措置は、ビジネス上の意思決定や情報開示要件への適合に役立つ自然関連データの収集・管理の仕組みを改良することです。そのためには、バリューチェーンに関わる各社の積極的な参画が求められます。第3の措置は、自然関連のリスクと影響をニュートラル化し、ネイチャーポジティブ(自然や生物多様性の損失に歯止めをかけ、環境にプラスの状態をめざすこと)なビジネスモデルを追求するために目標を設定することです。これは自然資本の強化や、生態系サービスの保全につながります。こうした措置をまとめて講じることにより、多くのステークホルダーをはじめ、世界全体にプラスの効果がもたらされるように、ビジネスリーダーが自然との関わり合いを管理しやすくなります。

出所:ENCOREデータベース、EXIOBASE、S&P Capital iQ、PwCによる分析

価値創出のために自然に依存する企業

ほとんどの企業は、自然生態系(農場や育成林など、生産生態系を含む)がもたらす原材料やサービスに依存しています。しかし、時として依存状況がはっきりと見えてこないこともあります。依存状況を見極めるには、企業のバリューチェーン上で使われる財を精査し、こうした財の生物学的起源をたどるとともに、事業活動を支える生態系の機能を詳しく分析する必要があります。

例として、自動車と建設の2つの産業について、企業の自然依存状況の一部を紹介します(下図参照)。自動車メーカーでは、乗用車・トラックに天然ゴム製のタイヤやホース、その他のパーツを取り付けています。電気自動車の生産現場では、リチウムを含有するバッテリーを調達していますが、このリチウムは一種の鉱物で、採掘・加工には大量の水が必要になります。建設産業では、材木業者が森林を利用して製材していますが、その森林は健全な土壌なしに生い茂ることはできません。同様に、不動産デベロッパーなど、建設会社の顧客企業は、物件の価値向上や新築住宅の需要喚起を目的に、手付かずの自然景観を売りにすることがあります。

こうした例で、企業が使用する木や水、ゴムは環境財に当たり、生態系の「供給サービス」によってもたらされます。同様に重要なのが、森林を潤す水流調節などの「調整サービス」です。また、不動産プロジェクトで大きな役割を果たす自然景観は、「文化的サービス」と見なされ、森林を育む土壌形成は、一種の「基盤サービス」に位置付けられます。要するに、企業というものは、こうした環境財や生態系サービス、その他の多くの要素に依存して経営しているのです。

図 自動車産業のバリューチェーンは、さまざまな部分が自然に依存、 これが潜在的なリスクの原因に

しかし、生態系が劣化した場合、どのような事態が企業を待ち受けているのでしょうか。端的に言えば、大きな犠牲を伴う混乱状態のリスクを抱え込むことになります。しかも、そのリスクは増大しています。国連任命機関の「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学−政策プラットフォーム(IPBES)」が発行した2019年のレポートによると、生態系サービスを構成する18のカテゴリーのうち、1970年以降、14のカテゴリーが衰退傾向にあり、人間の活動が原因で100万の種が絶滅の危機に瀕しています。WWF(世界自然保護基金)が先頃実施した調査によれば、生態系の健全性の指標となる野生生物個体数は過去50年間に70%近く減少しています。実のところ、企業が依存対象である生態系を劣化させれば、物理的な自然関連リスクという形で、多くの企業に跳ね返ってくる可能性もあります。

自然関連リスクには、移行リスクと呼ばれるものもあります。これは、規制当局、標準設定機関、投資家、その他のステークホルダーから、自然への影響の責任を負い、自然に配慮した慣行を取り入れるよう企業が迫られる場合に発生するリスクです。2022年12月、200カ国近い政府の代表が「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」の採択に同意しました。これは、企業に対する開示要件の策定、自然保護の達成目標の設定、自然破壊につながる誘因の除去、保全のための資金拡充などの措置を各国に求める内容となっています。

生態系衰退と社会的反応のペースが加速しているため、自然喪失は、気候変動と同様に喫緊の課題になります。

情報開示要件と開示基準は、すでに具体化が進んでいます。例えば、自然に関する報告書作成は、欧州連合の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に定められていて、最終的には推定5万社に適用される見通しです。一方、この分野で先行する自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、産業界や多くの政府からの支援の下、自然関連の報告書作成の枠組みを構築しています。こうした動向を背景に、自然関連の課題に関する企業各社の測定・報告方法に一貫性が生まれます。

生態系衰退と社会的反応のペースが加速しているため、自然喪失は、気候変動と同様に喫緊の課題になります。自然喪失がもたらすリスクを管理するため、企業は、どのような状況でこうしたリスクが発生するのか明らかにすることが先決であり、その第一歩として、自社の自然依存度の評価作業に着手しなければなりません。

さまざまな産業や資本市場に広がる自然依存

経営幹部が自社の自然依存状況を考察する際、自社が属する業界では一般的にどこに依存が見られるのか把握しておくと、考察しやすくなります。私たちが20の産業を調査したところ、バリューチェーンのどこかで中程度または高度の自然依存が見つかっていることから、どの産業もリスクにさらされていると言えます。投資家も、潜在的なリスクを広く調査しておきたいはずです。実際、19の主要証券取引所のうち、10の取引所で上場企業の時価総額の半分以上が高度または中程度の自然依存度を示しています。

あらゆる産業でバリューチェーンに自然関連リスクあり

私たちは、「ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)」データベースの情報を基に、各産業の自然依存度を推定しました。ENCOREには、国レベルで製品の供給、使用、投入量、生産量が記録されています(詳細については、本稿のダウンロード用PDFの方法論セクションを参照)。分析の結果、ほとんどの産業で直接の事業活動が高度または中程度の自然依存度であることが分かりました。また、企業の直接の事業活動の自然依存度が最小限にとどまっている産業であっても、サプライチェーンや顧客基盤に目を転じると、高度〜中程度の依存が見られます。結果を分かりやすく整理するため、20の産業を依存度に応じて3つのカテゴリーに分けました。

自然依存度が高い産業
農業、林業を含む5つの産業では、直接的な事業活動による経済的価値の100%が高い自然依存度を示しています(下図参照)。さらに、この産業カテゴリーでは、サプライチェーンが生み出す経済的価値の少なくとも50%が高い自然依存度を示しています。このカテゴリーで最大の産業は建設で、直接的な事業活動による経済的価値は6兆5,000万米ドルに上ります。このカテゴリーの5つの産業を合わせた経済的価値は13兆米ドル超となり、世界のGDP総額の12%を占めます。

図 5つの産業で、直接的な事業活動による経済的価値全体が自然に高く依存

自然依存度が中程度の産業
自動車、小売、消費財、不動産、鉱業を含む11の産業は、サプライチェーンと直接的事業活動が生み出す経済的価値の少なくとも35%が中程度または高度の自然依存度を示しています(下図参照)。例えば、化学メーカーがプラント操業を継続できているのは、自然・半自然の生息環境、植生、土壌の質に依存することで、洪水・暴風雨に備えるとともに、排水を処理できているからです。

図 11の産業では、直接的な事業活動やサプライチェーンから生み出される経済的価値の少なくとも35%が中程度または高度自然依存

自然依存度が軽微な産業
このカテゴリーに含まれる4つの産業では、サプライチェーンや直接的事業活動が生み出す経済的価値の35%未満が高度または中程度の自然依存度を示しています(下図参照)。一例として、ヘルスケアサービス産業では医薬品製造に自然が一定の役割を果たしていることから、サプライチェーンの上流で自然依存が見られます。このカテゴリーの産業は、総じて自然依存度が大きいわけではありませんが、中には例外もあります。経営幹部としては、自社のリスクエクスポージャーについて取引先と情報交換をしたり、仕入れ先が依存する生態系の保全・回復の措置を講じたりすることにより、リスクの特定・管理を支援できます。

図 4つの産業では、直接的事業活動やサプライチェーンを見ると 自然依存度が比較的低いものの、下流では高い自然依存度

投資家も例外ではない自然関連のリスクエクスポージャー

企業が自然に依存している以上、株主も自然に依存していることになります。私たちは、19の主要証券取引所を対象に、上場企業の時価総額の自然依存度を算出し、そこから取引所ごとに株主の自然依存度を推定しました(ENCOREデータベースのセクターごとの依存度評価を使用)。こうした上場企業の自然依存度を総合すると、世界経済全体の自然依存度に近い結果になり、企業時価総額の半分強にあたる約45兆米ドルが高度または中程度の自然依存に起因する財務リスクにさらされています。証券取引所によって上場企業の構成が違うため、取引所ごとにばらつきがあります(下図参照)。特筆すべき事例を以下に挙げます。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)
NYSE上場企業の時価総額全体のうち、高度または中程度の自然依存によって生み出されている部分は平均未満(40%)であり、時価総額の大部分は、銀行や情報技術など自然依存度の低い産業から生み出されています。とはいえ、NYSE自体がとてつもない規模を持つため、19の取引所全ての時価総額合計額のうち、自然依存度が高度または中程度の時価総額は、NYSEだけで20%以上と突出した割合になっています。

ロンドン証券取引所(LSE)
LSE上場企業の時価総額のうち、高度または中程度の自然依存度によって生み出される部分が半分近く(47%)を占め、世界平均と一致しています。その時価総額の多くを生み出しているのが、食品・飲料・たばこ産業(上場企業の時価総額全体の10%)、鉱業・金属産業(同10%)の企業です。

ユーロネクスト
上場企業の時価総額ベースで世界第4位の規模を誇る証券取引所、ユーロネクストの上場企業は、高度または中程度の自然依存度が平均を上回る水準(60%)にあります。この依存度の大部分は、小売・消費財、食品・飲料・たばこを含む自然依存度の高い大規模産業で生み出されています。

台湾証券取引所(TWSE)
今回の調査対象とした19の証券取引所のうち、最も高い自然依存度を示したのが、台湾証券取引所の上場企業です。同取引所上場企業の時価総額の70%以上が高度または中程度の依存度を示しています。これは、TWSE上場企業の時価総額のうち、自然依存が中程度の産業であるエネルギー企業が40%を占めていることが主な要因です。

図 19の主要証券取引所で上場企業の時価総額の半分以上が 高度または中程度の自然依存度に起因する財務リスクあり

今すぐ着手すべき3つの措置

近い将来、自然関連の課題が企業の収支決算を左右する可能性があります。このため、経営幹部には、気候変動と同様に自然もリスク評価の対象とすることを推奨します。先見性のあるリーダーは、単にリスクを軽減するだけでなく、経済的リターンの強化と社会貢献にもつながるネイチャーポジティブなビジネスモデル構築の可能性を模索するはずです。また、気候関連の優先課題と自然関連の優先課題に同時に対処できる機会を探る可能性もあります。例えば、再植林のような気候変動に対する自然を活用した解決策(NbS: Nature-based solutions)の多くは、温室効果ガス回収の一助となるだけでなく、生物多様性の向上や開発途上国経済への資本誘導、先住民族や地域社会の支援にもつながります。

リスク軽減を優先するか、価値創造を優先するか、あるいはその両方に重点を置くかを問わず、経営幹部は、自社の自然依存を管理するうえで、次の3つの措置がプラスに働く可能性があります。

自然関連のベースラインを測定する
どの分野にも言えることですが、自然を効果的に管理するには、まず成果のベースライン(評価基準)を決定することが大切です。要するに、自然に対する自社の依存度や影響度を明らかにしておくのです。なお、さまざまな情報源を活用すれば、いろいろな詳細度で自然依存度のベースラインを設定できます。例えば、生物多様性リスク測定ツールの「IBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)」、「ENCOREデータベース」、水リスク評価ツールの「アキダクト(Aqueduct)」は、地域単位で潜在的な影響や依存度を特定できます。また、低コストの環境DNA(eDNA)サンプリングなどの新しい技術を使えば、対象となる土地に限定した生物多様性の変化を正確にモニタリングできます。この結果、経営幹部は、重大な依存度や影響度を基に、リスクと機会を導き出すことができます。リスクは、生態系の崩壊が事業活動の混乱を招くシナリオを想定することにより推定できます。あるアパレル企業では、定性的な措置と定量的な措置を組み合わせて、バリューチェーン全体で自然への依存度や影響度を測定しています。この情報を生かして、リサイクル材料の使用を増やせば、営業経費削減に加えて、自然への影響の軽減にもつながる機会を見つけやすくなります。

データ精度を上げて意思決定と透明性を強化
自然への依存度や影響度を的確に管理するには、信頼性の高いデータソース、システム、統制手段が必要になります。こうしたリソースがあれば、情報開示要件を満たすうえで役立つだけでなく、自然関連の課題に配慮することを決めた経緯を投資家らステークホルダーに説明する際にも役に立ちます。とはいえ、このようなリソースは、導入に時間がかかるものもあり、経営陣としては、こうした事情も織り込んで計画を立案することが大切です。企業のサステナビリティレポートのベンチマーク評価を手がけているCDPの推定によれば、企業が自然関連の情報開示を部分的に準備するだけで12〜18カ月を要し、完全な情報開示となると2〜3年の準備期間が必要です。自然関連のリスクと機会は、極めて局地性の高い要素である点を踏まえると、情報開示の準備プロセスでは、地域ごとの要件の説明が必要です。

リスクを管理しつつ機会を捉えるという意欲的な目標を
自社の自然に対する依存度や影響度のベースラインが明らかになれば、自然との関わりを上手に管理しながらリスク軽減と価値創出をめざす目標を立てられるようになります。企業がさまざまな成果について科学的に測定することにより、自然関連の目標を正式に掲げる場合、その枠組みとして、「自然に関する科学的根拠に基づく目標設定(SBTs for Nature)」が利用できます。この目標にもさまざまなレベルがあり、一般的な言葉で言えば、「害を減らす」といったものから、「自社の事業活動の範囲内で生物多様性の喪失をネットでゼロにする」、さらには「バリューチェーン上で、生物多様性に対するネットポジティブの効果を達成する」といったものまで幅があります。依存度の評価作業から目標設定までの進め方として、さまざまな高級ブランドを傘下に収めるケリングの事例を紹介します。ケリングが土地利用状況の評価作業を実施したところ、同社サプライチェーン内の従来型の農業慣行によって、同社の依存する生態系サービスが劣化していることが判明しました。2020年6月、ケリングは、生物多様性戦略を発表し、2025年までに生物多様性にネットポジティブの効果をもたらすと表明しました。同年までに1万平方キロメートルの農地を対象に、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)の実施に向けて基金を設立しました。


自然が急激に衰退する状況を前に、経営幹部としては、生態系の破壊や生物多様性喪失に起因するリスクから目を背けることはできませんし、自然関連の新たな規制要件やステークホルダーからの要求も、もはや無視できません。レジリエンス(強靭性)確保の取り組みは、自然に対する自社の依存度を把握することから始まります。続いて、自社が直面しそうな脅威を見極めるとともに、ネイチャーポジティブの未来に向けて取り組み、自社と社会のために生み出せる価値を明らかにします。

1. GDPのうち、自然に中程度または高度に依存することで生み出される割合は、世界経済フォーラムが2020年にPwCと共同で発行したレポート「Nature Risk Rising: Why the Crisis Engulfing Nature Matters for Business and the Economy」(邦題「自然関連リスクの増大:自然を取り巻く危機がビジネスや経済にとって重要である理由」)にも掲載されていますが、本稿の数値はこれを上回っています。この変化の原因としては、依存度が最新データに差し替えられていることに加え、世界全体の粗付加価値(GVA)で一部のセクターが占める割合が増加したことが挙げられます。

本稿にご協力いただいたLaure Boissat、Libby Daley、Thomas Engelhard、Abigail Groves、Christopher Theakerの各氏に著者からお礼申し上げます。

※本コンテンツは、Managing nature risks: From understanding to actionを翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

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ネイチャーポジティブな未来を開く

企業は、自然喪失の新たなリスクに直面しており、規制当局、消費者、投資家の反応に対処する必要があります。ビジネスリーダーとしては、ネイチャーポジティブ戦略を打ち出すことにより、誰にとってもサステナブルな結果につながる新たな機会を生かすことができます。

主要メンバー

田原 英俊

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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奥野 和弘

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

Email

屋敷 信彦

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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磯貝 友紀

パートナー, PwCサステナビリティ合同会社

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政田 敏宏

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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甲賀 大吾

ディレクター, PwCサステナビリティ合同会社

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