M&A実態調査2019

クロスボーダーM&Aにおけるシナジーの発現に向けて

       

日本企業にとって、今後の成長機会獲得に向けた海外展開を実現するための手段として、クロスボーダーM&Aはかつてないほど重要性を増しています。このような背景を踏まえ、PwCアドバイザリー合同会社では、一般社団法人日本CFO協会の協力を得て、このたび「M&A実態調査2019」と題するレポートをとりまとめました。

本レポートは、2018年9月から11月にかけて国内の上場企業1,000社以上を対象に実施した「M&A実行後のシナジーの実現に向けた現状調査」およびクロスボーダーM&Aを通じてシナジー効果を獲得していると目される企業へのインタビューから構成されています。

「M&A実行後のシナジーの実現に向けた現状調査」では、M&A経験を有する企業のうち、買収した企業の業績が当初計画を上回って推移している案件は、驚くべきことに12%に過ぎないことが明らかになりました。

また、買収後の「のれんの減損」の観点においても、買収に伴う処理を行った、あるいは行う見込みがあると回答した企業は35%にとどまり、想定どおりの結果を実現できず苦労している日本企業の現状がうかがえました。そしてそのうち約3割のケースでは、買収価格に積極的な試算に基づく最大限あるいはそれ以上のシナジー効果を織り込んでいるという、高値設定の現状も明らかになりました。

クロスボーダーM&Aの経験が豊富で、シナジー効果を享受していると目される企業へのインタビューでは、買収後に想定していたシナジーを発現させるための重要ポイントが見えてきました。本レポートでは、この重要ポイントを紹介するとともに、M&Aにおけるシナジーの実現に向け、今後日本企業が取り組むべき事業価値創造のアプローチについて解説しています。

調査概要

PwCアドバイザリー合同会社では、日本CFO協会の協力を得て、2018年9月から11月にかけて国内の上場企業1,000社以上を対象に「M&A実行後のシナジーの実現に向けた現状調査」と題する郵送調査を実施し、クロスボーダーM&Aを経験した174社から有効回答を得ました。回答企業の業種は多岐にわたり、その半数以上は売り上げ規模が約5,000億円以上となっています。また、2018年12月から2019年2月にかけて、クロスボーダーM&Aの豊富な経験と独自のノウハウを有する日本企業に対し、「M&Aによるシナジー実現に向けた取り組み」に関する個別インタビューを行いました。

M&A実態調査2019
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買収した企業の業績が買収当時の計画を上回って推移しているのは12%の企業に過ぎず、一方で36%の企業は当初の計画を下回る結果に

クロスボーダーM&Aの際、76%の企業がシナジーを見込んだ価格で買収、このうち28%の企業が積極的なシナジーを織り込んだ価格で買収しており、これによりシナジーの実現が成功の必須条件に

サントリーホールディングス株式会社
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“自主性を尊重しながらも、放任しない”

株式会社 電通
取締役執行役員 曽我 有信 氏 インタビュー

“M&Aの進捗を一つ一つトラックしていくことが、次のM&A判断そのものを磨く”

ディールの先の価値創造を見据えて

これまで日本企業は、買収した会社を買収後もそのままにしておくようなガバナンスが多く見られましたが、買収成立時に対象事業のバリュエーションが高く推移する環境下でM&Aを実行し、価値を創出していくためには、契約締結前から関係者を巻き込み、事業やオペレーションだけでなく財務や税務を含むあらゆる観点から価値を定量化することが重要です。そして、それを買収から統合に至る一連のプロセスにおける“共通のモノサシ”として用い、ディール関係者のコミットメントを得ながら価値を向上させていくというアプローチが求められています。

主要メンバー

吉田 あかね

代表執行役, PwCアドバイザリー合同会社

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鈴木 慎介

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

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