
シリーズ「価値創造に向けたサステナビリティデータガバナンスの取り組み」 第2回:統合管理を含めたデータガバナンス/マネジメントの要諦
多様なテーマを抱えるサステナビリティの領域におけるデータガバナンス/マネジメントを推進するにあたり、個別最適に陥りデータの全社的な利活用に至らないことが課題とされています。本コラムでは、組織横断的なデータガバナンスが必要な理由、そしてその推進の要諦を解説します。
PwC英国法人のサステナビリティ・気候変動チームが国際排出量取引協会(IETA)の依頼を受けて作成した2021年炭素市場参加者調査報告書から、次の点が明らかになりました。
調査報告書は、COP26の開催に先駆け、複数の地域のコンプライアンスおよび自主的市場に関する最近の進展と予想を対象にしています。
「今年の調査では、予想炭素価格はこれまでで最も高く、あらゆる排出量取引制度において価格の上昇が予想されています。今年に入って中国と英国はそれぞれ排出量取引制度を新設しており、国が炭素価格を野心的な排出量削減目標を達成するための要として捉えていることが明らかになってきています。民間セクターでは、企業がネットゼロ戦略を実現し、政府の打ち出す政策との整合性を図る手立てとして、インターナルカーボンプライシング(内部炭素価格)が極めて重要な手段になるでしょう」
IETAメンバー150社以上を対象にPwCが実施した調査の結果、全世界の炭素市場参加者は、世界各国いずれのコンプライアンス制度においても炭素価格が短・中期的に上昇すると予想していることが明らかになりました。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは市場センチメントにほとんど悪影響を及ぼしておらず、パンデミックからの経済回復は世界中の炭素市場をさらに後押しするものと見込まれます。
企業による自主的な気候変動対策は強化されつつあります。調査回答者のほぼ半数(49%)は、自主的炭素市場は企業からの需要の増大に十分対応する炭素クレジットを供給できると見込んでいます。供給できると思わないとした回答者は28%、分からないと答えた回答者は23%でした。全回答者の3分の1は、ネットゼロ・市場成長戦略の一環として、自然を活用した気候変動対策(NCS)と、森林再生スキーム、植林スキームの使用を検討しています。
2021年は気候変動交渉にとって正念場の年となります。と言うのも、英国グラスゴーで開催予定のCOP26では、パリ協定の実施指針(パリ・ルールブック)の最後のピースに関する合意が期待されているからです。いまだ合意に至っていない最も重要な点の1つがパリ協定第6条です。第6条は、各国が互いに協力し、国際炭素市場を通じて目標を達成する可能性を定めたものです。調査では回答者の圧倒的多数(89%)が、第6条はパリ協定の目標達成に不可欠である、もしくは重要な役割を果たすと考えていますが、締約国が第6条の規定について、実際に合意に至るとは確信していません(その後、パリ協定第6条については、COP26で合意)。
※本コンテンツは、PwC英国が2021年6月に公開した「Recovery from COVID-19 expected to provide a boost to carbon markets - the latest trends and developments in 2021」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
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