経営戦略とリスク管理を一体化させて激変する環境に備える

進化するリスク管理「エンタープライズリスクマネジメント」

  • 2024-06-19

はじめに

気候問題や人権対応、新しいテクノロジーの台頭など、企業を取り巻く外部環境は刻々と変化し、その時々において企業が抱えるリスクも変化しています。こうした不確実な時代において、企業の経営者は事業環境の変化に合わせて自社のビジネスモデルや戦略を見直し、持続的に企業価値を向上させることが求められています。

そこで注目されているのが、企業全体のリスクを管理し、外部環境の変化に対応できるレジリエントな経営活動を実現するエンタープライズリスクマネジメント(ERM)です。

本稿では、不確実な時代に必要なERMの在り方とその構築・運営方法について解説します。

まとめ

本稿では、変化に対応できるレジリエントな経営活動を実現するためのERMとして、戦略の策定および見直しの意思決定に資するERMのあるべき姿について解説しました。

テクノロジーの発展による競争環境の変化や、少子高齢化による人手不足、働く環境の変化、地球環境対応や自然災害の激甚化など、企業はさまざまなリスクに晒されています。また、グローバルにビジネスを展開する企業にとっては、マクロ経済の動向、地政学的リスク、取引先の国の政治状況などが事業環境に影響を与えます。そして企業はそれらの事象を受けて、さまざまなステークホルダーに対応し、説明を行う責任を負っています。

こうしたリスクを的確に察知し、企業価値を持続的に向上させるためには、戦略の策定および見直しの意思決定に資する仕組みとしてERMを進化させ、リスクに基づいた経営戦略を立案する必要があります。

次世代のERMは、経営戦略の策定に生かすことができる大きなポテンシャルを持っています。企業は現在の企業のリスク管理体制を見直し、シナリオプランニングとデジタルのアプローチでリスク管理の粒度を高め、ERMのサイクルを速めることで、不確実な未来の機会と脅威をとらえた経営に舵を切ることができるのです。

インサイト/ニュース

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2024年7月に発効したEUのコーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)は、適用対象企業に人権および環境デューディリジェンスの実施や開示などを義務付けるものです。日本企業の人権尊重への取り組みCSDDDへの対応状況、克服すべき課題を調査しました。

サプライチェーンのレジリエンスを高めるKPI管理の重要性

現在のビジネス環境は、消費者ニーズの多様化やグローバル競争の激化に加え、気候変動や地政学的リスクなどの外部環境の急速な変化が企業の事業ポートフォリオに影響を与えており、予測の不確実性を前提にした柔軟な対応策が不可欠です。その対策として、KPI管理の高度化に向けた取り組みについて解説します。

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執筆者

神野 順一

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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