Global×Enterprise Transformation

グローバル視点で見たSAPの標準化とグローバル工場の高度化

グローバルで考える柔軟性を持った「標準化と個別化」によるITモダナイゼーション

T.S.:
「グローバルの視点」をもう少し深掘りさせてください。同じ“グローバル”でも、欧州と米国では標準の捉え方も求められる機能も異なります。日本で作られたものはグローバルでは受け入れられないこともあるとのことですが、「グローバルの視点」での標準化とはどこまでやるべきだと思われますか。

佐々木:
過去に私が関わったプロジェクトを例に説明しましょう。そのプロジェクトは日本からアジア諸国にSAPのテンプレートを展開し、次に欧州に展開し、その後に米国で展開して最後は日本に持ち帰りました。その時に痛感したのは「各リージョンでは標準化の基準が全然違う」ということでした。

アジアから欧州へ展開したときには、機能がまったく足りていませんでした。なぜなら欧州はアジアとは比較にならないほど業務が高度化していたからです。そして欧州のニーズを反映させて機能追加したものを米国に展開したら、“欧州版”では機能が足りませんでした。つまり、米国は欧州よりもさらに業務が高度化していたのです。そして最後に日本で展開する際には、ものすごい数の変更要求がありました。これは、日本の業務が全世界の業務よりも高度化していたからなのでしょうか?私は、これは日本が先に述べたような、個別に効率化した要件を断捨離できなかったことに起因しているのではないかと思っています。

「グローバルの視点をどこに置くか」は立場によって異なるでしょう。そもそも「標準化をしてグローバルで統一する必要があるのか」という議論もあると思います。

アジア、欧州、米国、日本では業務レベルや規模感、商習慣が異なるケースが多くあります。それを統一しようとすると、さまざまな部分で“痛み”が発生します。そうであるならば、例えばリージョンごとに標準化をし、最終的にSAP標準とするコア部分と、個別対応するために、疎結合化したクラウドのコンポーネントを利用することが、一つのアプローチだと考えます。つまり無理にグローバルですべてを標準化して統一するのではなく、“痛み”を最小化する形で、コア部分にSAPを使って標準化し、個別に機能を追加するためにクラウドを活用するのです。

T.S.:
グローバルの商習慣の違いをクラウドが“吸収”して個別最適化するのですね。第1回ではそのメリットを伺いました。

佐々木:
商習慣が異なれば、ERPで標準化すべき部分にも差違が出てきます。この差違を無理に標準化しようとするから“痛み”が発生してしまうのです。これまで述べたように、グローバルでの標準化はSAPをコア部分として、グローバル視点を持ってチェンジマネジメントを含めた標準化を実行し、個別のところはクラウドを活用したネイティブコンポーネントを利用してマイクロサービス化するというのが、今後の主流になってくると思います。私はこの流れが、SAPをコアとして疎結合化したクラウドコンポ―ネントを使ったITモダナイゼーションであると考えます。ET(Enterprise Transformation)は、正にSAPをコアとして、クラウドコンポーネントをオファリングとして柔軟に提供できるSAP×クラウドのエキスパートが集まった集団であり、クライアントの課題に対し「どこまでを標準化し、どの部分をクラウドで開発するか」といった判断を含め、クライアントのビジネス戦略に沿った形で支援できると考えています。

PwCコンサルティング合同会社 Enterprise Transformation/アソシエイト T.S.

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主要メンバー

佐々木 信寛

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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