PwCが見据える生成AI×SAPの将来像とは?

業務・IT両部門に貢献するPwCのソリューション

Y.K.:
実際に私がお客様と接する中では、今お話にあったような生成AIによる省力化の効果については理解している方が多いものの、省力化以外の具体的な効果についても、模索している方が多いように感じています。大きく分けて業務部門・IT部門のクライアントに、どのような貢献ができると考えられるのでしょうか?

伊東:
生成AI×SAPによる将来のシステム構成は以下のような貢献ができると考えています。

業務部門への貢献

業務部門はITシステムに対して、オペレーションの高度化や分析高度化を求めています。オペレーションの高度化については、生成AIをベースとしたチャットでの「会話」でデータ入力が完結し、内容チェックの手間がなくなるため、作業時間を大きく減らすことができます。さらに、データ品質の向上も非常に大きなメリットです。たとえば、得意先マスタの名称で「株式会社」をどう表現するかという問題がありますが、移行データを整備する際にも同じ名前の得意先なのに微妙に表現が違うだけというマスタが散見されます。生成AIを活用すれば、こういったデータの泣き別れのリスクも大きく減らすことができます。

分析の高度化についても、分析に必要なグラフや表の描写も会話で完結できるようになります。業務やシステムの現状分析をすると、多くのクライアントから「表計算ソフトやデータベースソフトにダウンロードしてマクロを組み込み、グラフを作成するツールがあります」といった反応があります。しかし、活用できるデータが増えることで表やグラフの作成に時間がかかり、結果的に、分析・課題検知・改善提案に割ける時間的余裕がなくなっているのが実情です。今後は、チャットで会話すると生成AIがSAPやDWHのデータをもとに表やグラフを描写してくれるようになるため、このような状況は改善されます。

IT部門への貢献

生成AIの活用で、これまで難しかったコストと品質の両立が可能になります。ユーザーインターフェースが統一されることにより、単純にシステム数が減るので、ITコストを抑えることができます。開発も現状では保守ベンダーとそのスキルに依存する傾向がありますが、生成AIを活用することで工数を減らしつつ、品質の向上・均質化も目指すことができます。

また、機能やデータを生成AIが分析し、自然言語や図で描写することによって、IT部門に対する理解度向上も期待できます。専門知識がなくてもシステムを理解できるようになると、いつでも最新の状態を把握することが可能になります。何年にもわたって利用しているシステムの場合、設計書と実機の内容が乖離してしまうケースは珍しくありません。そのため、導入プロジェクトの企画準備フェーズでは現状の機能を把握するために、IT部門もしくは保守ベンダーが膨大な時間を消費しています。プログラムが複雑であればあるほど、重要な機能なので解析が必要なのですが、人が調査すると時間がかかる上に品質は期待できません。一方、生成AIを活用すれば現状機能の把握の時間を大きく短縮でき、同時に把握レベルの品質も担保することができます。

Y.K.:
なるほど、このように具体的なメリットについての理解が浸透すれば、生成AIの活用を「変革のためのツール」として検討する企業が増えてくるのではないでしょうか。

伊東:
そうですね。生成AI×SAPによって目指すべき姿を示すことで、クライアントの変革を促進していくことが私たちPwCの果たすべき役割だと考えています。

PwCコンサルティング合同会社 Enterprise Transformation-Enterprise Solution/シニアアソシエイト Y.K.

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主要メンバー

伊東 智

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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