産官学連携による課題解決と「場」づくり

産官学連携の必要性

国際情勢の変化やアフターコロナ時代の本格化に向けて、産業政策にも変化が見られます。成長産業に対して大規模・中長期・計画的な国家予算の投入が示唆されているほか、政府が先導しつつも民間活力を活かしての座組形成や現状突破が期待されています。

社会や政策変化の兆しを見ると、今後の政策討議から社会実装までは、「官」のみでの実行は困難であり、産官学の3つのプレイヤーが独立しつつも相互に作用する「産官学連携」が必要であると言えます。

PwCのアプローチ

「産官学連携」と一言で言っても、その方法はいくつかあります。今後の社会に必要な科学振興を共に進めていく、新たなる産業を創出していく、あるいは地域課題解決などのように時間を要する課題について共に解決に取り組む人材を育成し解決に乗り出すなど、活動自体のパーパスを定義した上で、ベストな組み方を検討していくアプローチをとります。

「学」に属するアカデミアの方々は、研究テーマ・ビジョンをしっかりと定め、中長期視点での圧倒的な専門知識と、ビジョンを体現するためのアイディアを豊富に持ち合わせています。知識創出・自律性重視のアカデミアと、実践・実装・応答重視の「産」が議論を交わし、同じ方向性を向き進んでいくための「場」創りは重要です。また、より大きな社会インパクトの実現やルール形成の観点で、「官」が果たす役割も大きく、「場」を通して、社会的な課題解決に向けたエコシステム形成や、政策・ルール形成、新たなる技術振興の土台を作りあげていくことは、これからの私たちのチャレンジと考えます。

1産官学連携を支える「場」づくり

産官学連携の実現のためには、参画する多様なステークホルダーが、多様な立場の視点や新たな知識を活かし、共通化されたビジョンの達成に向けて協働する必要があります。そのためには設定された問題やテーマに対して、ステークホルダーの役割を整理し、現状の客観的な分析を基にした相互理解と協働を支えるインクルーシブな「場」づくりが重要です。

2相互連携を促す知のシステム

産官学連携による社会変革や地域課題解決をシステムとして成立させ、持続的なものとして根付かせるためには、知識創造のプロセスを築き、取り組むべきテーマの深化を促す場の構築と、協働のための行動サイクルの実現が必要です。また、知のシステムを活かし、政策形成や社会実装の検証を通じて、次の問題点の探索とその解消に向けた共創状態の構築・維持が重要です。

3一貫した実現プロセスの構築とマネジメント

戦略的な構想策定からルール形成やそれに伴う各種調整、基礎研究や応用研究の実施とその知財を活用した社会実装に至るプロセスには、一貫したビジョンと多種多様なステークホルダーの相互補完的な行動を促す協働環境が必要です。そのためには、産官学連携によるゴールイメージとプロセスを明確化し、各ステークホルダーで役割分担を行ったうえで、全体視点を持ったマネジメントを実施することが重要です。

産官学の役割と目的の明確化

産官学連携においては、それぞれの役割や目的を踏まえ、課題解決がそれぞれの目標達成に寄与することが重要です。持続的な関係性を維持するためには、相互に支え合う仕組みの構築が求められます。

官の役割と目的

戦略的な政策の基本構想のもと、政策に基づく事業立案や予算策定、法整備に加え、ルール形成や国際標準化に向けた役割を担い、産学と連携することで、政策立案能力の向上と政策目標の達成を目指す

学の役割と目的

社会からの要請や研究者の発想に基づく基礎研究・応用研究による知財開発や人材育成の役割を担い、産官と連携しながらその社会実装に向けた検証の場を提供することで、知財の確保・蓄積や活用による研究資金の獲得、次世代教育機会の獲得を目指す

産の役割と目的

学と共に技術確立や研究に関する役割を担いつつ、市場環境や社会実装に向けたビジネス的側面から、知財を活用した持続的な価値提供を実施することで、経済的な価値創出や市場獲得、市場ルールの形成を目指す

PwCが進める産官学連携の取り組み

PwCでは、各々の特徴を持つ産官学が連携する枠組みの組成に向けて、大きく4つの取り組みを進めています。

大学との共同研究・人材育成

人口動態の変化やデジタル化、テクノロジーの急速な進歩といったメガトレンドが、企業のビジネスモデルそのものを本質的に変えてしまうような動きが劇的なスピードで進んでおり、産官学で社会に柔軟に対応できる知見を磨き上げていくことが求められています。そのためには、大学との共同研究を通じた知見の獲得・共有とともに、それをビジネスに活かせる人材の育成が重要です。

PwCでは、保有するネットワークや知見を活かし、ビジネスの視点から各界の専門家を交えて、幅広い視野と高い視座を備えたイノベーティブな人材の育成を進めています。

ルール形成・マネジメント

日本社会のプレゼンス向上に向けて、国際社会の動向を踏まえた戦略的な政策形成やルール形成が求められている一方、国内においても、中央省庁、地方自治体のあり方の再定義や社会課題の解決に向けた戦略的な政策構築・見直しが必要とされています。

PwCでは、グローバルネットワークの視点を活用し、国際プレゼンスの向上や地域課題解決に向けたルール形成、それぞれのセクターの枠を超えて社会全体の視点を持った政策提言、政策マネジメントや専門性の提供を実施し、新しい社会の実現に向けた政策検討や地域実証を進めています。

大学知財の研究・社会実装

大学においては、地域のより良い未来の実現に向けて研究成果の社会実装を目指し、大学発ベンチャー企業の創出や共同研究によって地域課題の解決や産業振興につなげていくことが期待されています。

PwCでは、ネットワークや専門性を活かしたビジネスケースの提供や産官学連携のコーディネートに加え、共同研究の実施や産官学連携の発展に向けた大学の産学連携機能の高度化支援を進めています。

社会課題解決に向けたエコシステム

複雑化する社会課題の解決に向けて、より幅広いステークホルダーを巻き込んだ産官学連携が重要になるなか、持続的かつ相互補完的な仕組みを備えた地域の“知の拠点”としての機能が必要となっています。

PwCでは、地域の課題解決や事業成長に向け、新たな人材の確保や人材の再活性化、活躍機会の多様化を地域全体として構築することを目指し、コレクティブな検討の場を設け、地域でのオープンイノベーションの実現を進めています。

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主要メンバー

宮城 隆之

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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菅原 政規

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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下條 美智子

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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鐘ヶ江 靖史

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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草野 秀樹

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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篠崎 亮

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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