
「デジタルエコシステムの最前線」コラム 第15回 「孤独戦略」の限界と、エコシステム形成の重要性
エコシステムの持続的な成長と競争優位性の確立に直結する、戦略適合性・実現可能性・協業手法の3つの観点とその評価軸について解説します。
デジタル化の進展にともない、さまざまな業界に対してこれまでは考えられなかった異業種からの参入が可能となっています。これにより、業種・業界を横断した新たなビジネスエコシステムが次々と生まれています。競争環境がこれまでと変わっていく中で、各プレイヤーはエコシステムを形成する立場に立つか、参画する側に回るか、またその場合の勝ち筋をどのように見出すかなど、具体的な戦略を描くことがより求められるようになっています。PwC Japanグループでは豊富な知見を有する専門家が、エコシステム形成の戦略策定から実行、またはエコシステムへの参画、他社との提携など、各社の事業戦略に応じた支援をワンストップで提供します。
近年、ユーザーの価値観が多様化し、デジタル化が急激に進んだことにより、デジタルコマースやデジタルヘルスケア、モビリティエコシステムなど、業種・業界を横断した新たなビジネスエコシステムが次々と生まれています(参考:「デジタルエコシステムの最前線」コラム)。従来のビジネスエコシステムは同一業界内に留まるものでしたが、現在は業界内における差別化や顧客ニーズの充足を図ること、各製品およびサービスを顧客目線でシームレスにつなぐことの必要性が高まり、業種・業界を横断したビジネスエコシステムの形成が進んでいます。
図表1 業界別エコシステムからデジタルエコシステムへ
※「スマートロジスティクス(R)」は、株式会社日立物流の登録商標です。
コーペティション(Co-opetition)、すなわち「協調(Cooperation)しながら競争(Competition)する」との考えのもと、デジタルエコシステムは複数のプレイヤーによって形成されています。エコシステムの種類、また、各プレイヤーのデジタルエコシステムにおける立ち位置により、KSF(重要成功要因)は異なります。
図表2 デジタルエコシステムにおける5タイプのプレイヤー
エコシステムの形成により、1社のみでは実現できなかった新たな価値提供が可能になります。ただ、そのためには業種・業界を横断したプレイヤー同士の適切な提携が重要です。各プレイヤーは、自身の強みの源泉(データ、技術・プロダクト、サービス、チャネル、リレーションなど)を認識した上で、形成する、あるいは参画するエコシステムの特性を踏まえ、どの企業(群)とアライアンスを組むか、また他プレイヤーが持つ強みと自社の強みを掛け合わせて、どのような価値を創出するかなどの戦略を描いていくことが重要です。アライアンスを組む際には、当然ながら企業文化やケイパビリティの異なる企業と連携することになります。例えば、デジタルプロバイダーと伝統的な製造業とでは、仕事のスピード感やデジタルケイパビリティなどが大きく異なることが想定されます。このため、デジタルを積極的に活用し、各プレイヤーのデジタル面におけるケイパビリティギャップを小さくしておくことも必要となります。
図表3 エコシステム形成のイメージ(例)
エコシステム形成の戦略策定から実行、エコシステムへの参画、他社との提携など各社の事業戦略に応じた支援をワンストップで提供します。
エコシステムの戦略策定および形成、事業のデジタル化、アライアンス・経営統合を通じた新事業の戦略策定および実行など、多様な支援経験を有するメンバーが中心となり、PwCが保持する有力企業とのネットワークも活用してサポートします。
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