{{item.title}}
{{item.text}}
{{item.text}}
世界のエンタテイメント&メディア業界は、テクノロジーの進化と消費者行動の変化を背景に、新たな成長局面を迎えています。デジタル化がコンテンツの制作、配信、収益化の仕組みを変える中で、消費者の関心は、ライブイベントや没入型コンテンツなど、その場でしか得られない人間ならではの体験に向かっています。これに伴い、業界の成長を支える収益構造も大きく変化しています。
また、AIの普及は、単なる業務効率化の手段ではなく、コンテンツの制作、レコメンデーション、パーソナライズ、配信、広告など、バリューチェーン全体を通じて新たな価値を生み出す原動力となりつつあります。一方で、テクノロジーが進化するほど、創造性、専門性、判断力、人とのつながりといった人間ならではの要素や、現実世界で共有される体験の価値が、より重要になると考えられます。
本レポートでは、世界53の国・地域における12のエンタテイメント&メディアセグメントの分析を通じて、2030年までの業界の主要な動向を考察しています。日本のエンタテイメント&メディア企業にとっても、変化する消費者ニーズを捉え、テクノロジーと人間ならではの価値をどのように組み合わせ、持続的な成長や新たな収益機会につなげていくかを検討する上で、本レポートが有益な示唆となれば幸いです。
※本コンテンツは、「Global Entertainment & Media Outlook 2026–30」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
要点
世界のエンタテイメント&メディア(E&M)業界は2025年に5.3%成長し、個人消費・広告・インターネットコネクティビティからなる総収益は3.5兆米ドルに達しました。また、2026年にはさらに4.6%増加する見込みです。業界は引き続き堅調な成長軌道にあります。PwCの「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2026–30」によると、12のセグメントを53の国・地域で分析した結果(セグメントの詳細についてはメソドロジー参照)、世界のエンタテイメント&メディア市場は今後5年間にわたりCAGR 3.4%で成長し、2030年には4.2兆米ドルに達する見込みです。2030年までに新たに6,000億米ドルの収益をもたらすこの市場拡大は、その大部分がエンタテイメント&メディア業界全体に広がるデジタルエコシステムによるものです。
E&Mエコシステムの中で新たな収益を稼得し、それを成長や利益につなげていくためには、企業は迅速に対応していく必要があります。イノベーションはこれまでもエンタテイメント&メディア業界に大きな変化をもたらしてきましたが、その流れは今後さらに加速していくでしょう。AIを中心としたデジタル技術の進化は、コンテンツやサービスの創出から提供、収益化に至るまでの仕組みそのものを変えつつあります。その結果、エコシステム全体の利益構造は変化し、新たなビジネスモデルが生まれるとともに、消費者の期待も大きく変わっていくでしょう。
しかし、AIが人々のエンタテイメントやメディアに対する期待やニーズそのものを変えるわけではありません。ユーザー体験がどれほどデジタル化され、アルゴリズムにより最適化されたとしても、エンタテイメント&メディア業界は根本的には人間の技能や創造性、そして体験によって成り立つ業界です。専門性や判断力、創造性、ニュアンス、感情、ニーズ、人とのつながりといった人間ならではの要素が、人々の関心や共感、熱量を生み出しています。今後、テクノロジー、とりわけAIは、人と人とのつながりを深めるとともに、広告主と消費者を、これまで以上に効果的かつ効率的につないでいくでしょう。
エンタテイメント&メディア業界を構成する3つの主要なセクターの中でも最も急速に成長を続ける広告分野は、人々がコンテンツに触れ、関わる場所、そして購買判断を行うその場面で、消費者へリーチすることを目指しています。
今回の予測から明らかになった点は以下のとおりです。
世界のエンタテイメント&メディア業界は堅調な成長軌道に
インターネットコネクティビティの収益は依然としてトップを維持していますが、広告収入が消費者支出を上回りました。
ラスベガスにある巨大な没入型コンサート・メディア会場Sphereは、高い集客力があります。2025年には7億8,100万米ドルの収益を計上しており、オズの魔法使いの4D上映やEaglesのコンサートなどが行われました。親会社は現在、米国内の他地域およびドバイへの展開を計画しています。
私生活でも仕事上でも、小さなスクリーンが人々の時間を多く占めているかもしれません。しかし2030年までに、現実世界でリアルタイムに行われるその場限りのイベントやアクティビティを中心としたコンテンツ体験への需要は、Sphere、Cosmおよびその他の「体験共有」の施設を通じて拡大し続けるでしょう。ライブ性と没入感を備えた体験共有の価値は、ますます高まっています。なぜなら、それらは社会的通貨として機能するからです。つまり、ソーシャルメディアで共有することは、自らのステータス、センス、文化的な関連性を示す手段となります。こうした価値は、特に若い消費者から重視されています。
今後5年間に成長するセグメントのいくつかは、広い意味で、ライブや対面型の体験に分類されます。これには映画興行、音楽ライブ、そしてライブスポーツやその他のイベントを中心とする急成長中のギャンブルセグメントが含まれます。B2Bの展示会やB2CのOut of Home(OOH)広告のように、人々が実際に外出し、現地で体験することを前提とする他の領域も、エンタテイメント&メディア市場全体に占める割合を高めています。
体験共有の魅力
映画市場はパンデミック後から回復を継続し、オフライン体験市場全体も成長を続けています。
当然ながら、音楽ライブやスポーツイベントに参加できる観客は、会場の収容人数によって制限されます。一方、広告主はできるだけ多くの人々にリーチできるメディアに高い価値を見出しています。ここに、スポーツとストリーミングの相乗効果が明確に表れています。ライブスポーツは、特定の時間に大規模な視聴者を集客できる数少ないフォーマットの1つです。注目度の高いスポーツイベントは、ストリーミングプラットフォームを通じて配信されるケースが増えています。米国では、Amazon Prime VideoがNFLの配信権を取得して以来、ライブスポーツの領域を着実に拡大してきました。NetflixとParamount+は、UFCの試合やWWEレスリングを含む、さまざまなライブイベントを配信しています。フランスでは、Ligue 1の試合の相当数が、D2CサービスであるLigue 1+を通じて提供されています。
ライブイベント視聴のオンライン配信への移行は、ストリーミング事業者の潤沢な資金力に加え、視聴者と広告主の双方を取り込みたいという狙いもあり、今後さらに加速する可能性があります(詳細はPwCの「スポーツ業界 アウトルック2026」をご参照ください)。
スポーツは、ストリーミング事業者が将来を見据えるうえでの一要素です。インターネットを通じて動画などを配信するサービスの総称であるOver the Top(OTT)の総収益は、従来型放送事業者が提供するテレビ番組を含め、2024年の1,990億米ドルから2025年には2,266億米ドルへ増加し、前年比13.9%の力強い伸びを示しました。しかし、この成長ペースは鈍化しています。
オーストラリア、スペイン、韓国のような成熟したストリーミング市場では、消費者が「サブスクリプション疲れ」を示し始めており、これは、複数のサブスクリプションに対する消費者の支払意欲が限界に近づいている可能性を示唆しています。2030年までに、OTT収益はCAGR 6.1%で成長し、3,040億米ドルに達すると見込まれており、これは2025年比で774億米ドルの収益増加を意味します。
注目すべきトレンドの1つは、消費者が増え続けるサブスクリプションへの支払いに抵抗を示す中で、広告がより重要な役割を担うようになることです。現在OTT収益の19.4%を占めるOTT広告は、CAGR 9.4%で成長し、2030年には収益の22.6%を占めるようになります。
ストリーミング経済を取り巻く環境変化は、業界の統合とプラットフォームの大型化を加速させると考えられます。2030年には、ストリーミング事業者はユーザーあたり収益のさらなる成長と解約率の最小化を目指す中で、サービス内容の多角化を進めていく可能性が高いでしょう。今後の大手ストリーミングプラットフォームは、テレビ、映画、ビデオゲーム、音楽、スポーツ、ソーシャルメディア、ユーザー生成コンテンツへのアクセスまでを提供することで、家庭のエンタテイメントハブになること、すなわちより幅広いコンテンツのセットを展開することを目指すと考えられます。
ストリーミングの成功を支える広告収入の重要性
OTTの総収益は、2030年までに約3,000億米ドルへ拡大する見込みです。
プラットフォームの集中化とコンテンツの分散化の相反する力は、ワールド・ワイド・ウェブの誕生以来、エンタテイメント&メディア業界を形作ってきました。そして今後も、その構図は続くと考えられます。
ストリーミング事業者が規模拡大を求める中、広告収入は少数の巨大なグローバル企業へさらに集中し、大型M&Aも増加すると見込まれます。こうした企業と、そこに広告を出稿する広告主は、可能な限り多くのユーザーへリーチすることを目指しています。
しかし、これらのプラットフォームは、YouTube、Instagram、Substack、TikTokなどで独自の視聴者層を築いている何百万人ものクリエイター、インフルエンサー、配信者が生み出すコンテンツにますます依存するようになっています。2030年までに、人々は、「放送スケジュール」ではなく「フィード」から、「編成責任者」ではなく「クリエイター」を介して、「編集者による選定」ではなく「レコメンデーションシステム」によって、コンテンツを発見するようになります。
スマートフォン、プラットフォームの制作ツール、AI、低コストの制作手段によって参入障壁が低下する中、ライブストリーミングやショート形式のユーザー生成コンテンツ(UGC)動画により、メディアは、従来の中央集権的な配信構造から、より分散型で参加機会が広く開かれた環境へと移行しつつあります。
OTTおよびストリーミング領域における分散化の興味深い事例として、中国とインドの事例があります。中国では、Youku、iQIYI、Tencent Videoのような大手国内プラットフォームがけん引した約10年間の急速なOTT拡大を経て、競争環境の細分化が進んでいます。特に、DouyinやKuaishouのようなショート動画プラットフォームを中心に、より小規模で専門性の高いサービスが存在感を高めています。これに対し、インドでは、JioHotstarやSun NXTに代表される国内プラットフォームが市場をけん引しています。これらのサービスは、地域言語コンテンツ、ボリウッド作品のラインナップ、クリケットの放映権を強みとして展開しています。
集中化と分散化の相反する力により、エンタテイメント&メディア業界では、さまざまな領域で集中化が進む一方で、複数のサービスを組み合わせた新たな提供形態が生まれています。インターネット接続サービスを含むインターネットコネクティビティは、エンタテイメント&メディアの3大セクター(広告収入、インターネットコネクティビティ、消費者支出)の中で最大規模を誇ります。
ソーシャルプラットフォームの成長やコンテンツ制作の分散化などを背景に、エンタテイメント&メディア業界における最大のセクターであるインターネットコネクティビティの収益成長は、2030年に向けて鈍化すると見込まれますが、世界のインターネット接続サービスの年間売上高は、2025年の1.3兆米ドルから2030年には1.5兆米ドルへと、CAGR 2.3%で着実に増加する見通しです。この成長を主にけん引するのは、固定ブロードバンドとモバイルブロードバンドの普及拡大です。一方、有料音声サービスは、低価格または無料のIPベースの代替サービスやメッセージングアプリの普及により、さらにコモディティ化が進むとみられます(PwCの「グローバルテレコム アウトルック」では、この緩やかな成長が事業戦略へ与える影響について、さらに詳しく分析しています)。
それに対し、世界の従来型テレビの収益は、2025年に前年比2.7%減の3,605億米ドルとなり、2030年までCAGR -1.1%で減少し、3,412億米ドルにまで縮小する見通しです。こうした変化に対応するため、従来型テレビ事業者や通信事業者は、いわば原点回帰ともいえる動きを見せています。かつてケーブルテレビ業界を支えていたビジネスモデルである「バンドル販売」が、今、再び重要性を増しています。
Sky、Comcast、Rogers、Jioなどの企業は、有料テレビ、ブロードバンド回線、他社のストリーミングサービスを組み合わせ、1つのパッケージとして提供しています。「バンドル販売」は、視聴者のリニア視聴離れが続く中でも、事業者が解約率を抑え、利用者との接点を維持するうえで有効です。Amazon Prime Video、Apple TV、YouTube TVなどの配信サービスも、他社のストリーミングサービスをまとめたパッケージを提供しています。
Disney+がHuluやMaxとのセットプランを提供しているように、より高度なバンドルやサービス集約モデルは、ストリーミングサービスを利用者の日常的な視聴習慣の中にさらに深く組み込むことを目指しています。
OTTサービスがライブイベントのような主要コンテンツ領域へ進出したことで、従来型メディア業界は直接的な競争から協働的なパートナーシップへ軸足を移しつつあります。英国では、BBCが2026年にYouTubeと提携し、YouTube向けの専用コンテンツを制作することで合意しました。これは、若年層へのリーチにおいて、自社のVODサービスよりも外部プラットフォームを活用する方が効果的だと、従来型放送事業者が認識し始めていることを反映しています。
フランスでは、TF1とNetflixの提携がその好例です。既存の放送事業者はグローバルなストリーミングプラットフォームを通じてコンテンツライブラリを収益化しています。これにより、既存の放送事業者はより幅広い視聴者層へリーチできる一方、グローバルプラットフォーム側は高品質なローカルコンテンツを確保することができます。
現在のM&Aサイクルは、これまでの統合の波とは異なる特徴を持っています。視聴者の細分化が進む一方、従来型事業の収益力は、配信チャネルや広告へのアクセスをめぐる企業の交渉力に、これまで以上に左右されるようになっています。広告、ケーブルテレビ、ストリーミングなどの既存事業に多額の投資を行ってきた大企業は、今後の低成長を見据え、自らの事業構造を見直す必要があります。
2025年には、OmnicomとIPGの統合により、世界最大の広告代理店持株会社グループが誕生しました。また、Canal+は、高成長市場への事業展開を目的に、2025年に南アフリカの動画配信事業者MultiChoiceを買収しました。SkydanceはParamountを買収し、その後Warner Bros. Discoveryを買収することで合意に至っています。これにより、さらに大規模なストリーミング、コンテンツ制作、配信プラットフォームの誕生が見込まれています。
OOH分野では、消費者の購買判断を行う場面により近い場所で接点を持ちたいという企業ニーズを背景に、大規模な企業再編が進んでいます。その結果、広告枠やテクノロジー基盤は、少数の有力企業に集約されつつあります。2025年には、T-MobileがプログラマティックDOOHプラットフォームのVistar Mediaを買収しました。また、Clear Channel Outdoor(CCO)は、中核となる米国事業と空港事業に注力するため、北欧事業をBauer Media Groupに、ブラジル事業をEletromidiaの関連会社に売却しました。
統合と集中化の流れは、3大セクターの中で最も急速に成長している広告分野にも見られます。世界のインターネット広告市場は2025年に前年比12.2%増加し、7,556億米ドルに達しました。インターネット広告収入は2030年までCAGR 7.2%という高い成長率で拡大し、2030年には約1.1兆米ドルに達する見通しです。
特に、米国に拠点を置くテクノロジー企業は、国内の主要企業が存在する中国市場を除けば、世界市場で主導的な地位を維持すると見られます。GoogleとMetaは依然として、世界市場の成長を牽引しており、AIを活用して消費者理解を深めることで、広告キャンペーンの運用やターゲティング、カスタマイズをより高度化しています。
2026年5月には、Publicisが変化する業界のトレンドに対応するため、顧客データ、顧客ID、自動広告枠買い付けを運用する大手企業であるLiveRampを22億米ドルで買収することで合意しました。このように広告代理店が統合することにより、プラットフォーム中心へと移行する広告エコシステムの中で、広告主はより統合された形で、計画立案から実行、説明責任までを一貫して行うことができるようになります。
エンタテイメント&メディア業界を大きく変革してきたインターネット広告市場は、現在もさまざまな側面で急速に変化しています。その一例が、従来型検索サイト内検索広告に代わる小売メディア内検索広告の台頭です。今後は、大規模言語モデル(LLM)を活用した対話型検索が従来型検索からシェアを奪うことで、さらなる変化が予想されます。そのため、ブランドは、オンライン上のどこで、どのように顧客の目に触れるべきかを改めて考え直す必要があります。それは露出形態が検索広告であっても、コンテンツ最適化やPRであっても、必要です。
広告主はオンライン上の消費者へのリーチを重視
カテゴリー別インターネット広告収入
ここで重要なのは、従来型検索サイト内検索広告と小売メディア内検索広告の違いです。従来型検索サイト内検索広告では、広告主がGoogle、Bing、Baiduなどのプラットフォームに広告費を支払い、関連性の高い消費者に広告を表示します。一方、小売メディア内検索広告では、Amazon.comやWalmart.comのようなオンラインマーケットプレイス上で、小売事業者が保有する顧客データを活用し、商品広告を表示します。この小売メディア内検索広告の狙いは、消費者が実際に購入を検討しているタイミングでリーチすることにあります。
これらに加え、第三の検索形態として、GeminiやChatGPTなどのAIツールを活用した対話型検索があります。これは、従来型検索サイト内検索広告のビジネスモデル全体にとって長期的な脅威となる可能性があります。より広い視点で見ると、ブランドがオンライン上で認知を獲得する方法そのものが変わりつつあります。従来のSEO(検索エンジン最適化)から、生成AIに対応したGEO(生成エンジン最適化)へと軸足が移り、デジタルPR戦略にも変化が生じています。また、インフルエンサーへの依存度も高まっています。
Google、Meta、Tencentのような大手企業は、自社の検索および広告モデルにAIを組み込み、効果を上げることで、こうした変化に対応しています。
eコマース、ストリーミング、ソーシャルメディアの規模拡大と高度化に伴い、これらのプラットフォームは、幅広いユーザーへのリーチに加え、より豊富な顧客データと、測定可能な広告効果を組み合わせることができるようになっています。
検索広告市場はCAGR 6.1%で拡大し、2030年には4,027億米ドルに達する見通しですが、このうち従来型検索サイト内検索広告の領域はCAGR 3.8%にとどまり、2030年に2,145億米ドルとなる見込みです。一方、小売メディア内検索広告市場は、CAGR 9.3%というはるかに高い成長率で拡大し、2030年には1,882億米ドルに達すると予測されています。その時点で、世界の検索広告収入全体に占める割合は46.7%に至り、現在の40.4%から大きく上昇する見込みです。
ディスプレイ広告市場でも、変化が続くと予想されています。Amazonの広告収入は2024年に500億米ドルを超え、2025年には680億米ドルへ増加しました。また、他の大手小売事業者も小売メディア事業の成長に積極的に取り組んでいます。例えばWalmartの小売メディア内広告収入は2024年に40億米ドルを超え、2025年には64億米ドルに達しました。
ストリーミング企業は、サブスクリプション収入の成長が鈍化する中で、広告収入の拡大に注力しています。Amazon Prime Video、Disney+、Spotify、Netflixのいずれもが広告事業を着実に成長させていることからも分かるように、今後はデジタル広告が、プラットフォームの収入源としてさらに組み込まれていくと見られます。Netflixは、2025年に広告収入が前年の2倍以上となり、15億米ドルを上回ったと報告しています。2030年までに、動画広告は世界のインターネット広告収入の27%を占めるようになり、2021年の約19%から大きく上昇する見込みです。
AIはすでに、エンタテイメント&メディア業界における制作からレコメンデーション、発見、パーソナライズ、配信、消費、さらには広告に至るまで、コンテンツのバリューチェーン全体に変革をもたらしています。しかし、業界におけるAI導入の理由は変わりつつあります。当初は業務効率化を実現する手段として捉えられていたAIは、いまや価値創出の原動力として活用されています。特に大きな影響が見込まれるのは、広告収入の拡大と、本レポートで取り上げた他のトレンド、とりわけ体験共有の強化との相互作用です。
一見すると逆説的に思われますが、AIは、意思決定から人間的な要素を一部排除しようとする一方、2つの重要な面において、より深いつながりを生み出す可能性を広げています。1つはブランドと広告主との間、もう1つはブランドと個々の消費者との間におけるつながりです。広告主は、より正確に効果を測定でき、より精緻なターゲティング、そして売上などの成果とのより強い結び付きが期待できる広告フォーマットをますます重視するようになっています。今後は、コネクテッドTVやショッパブル動画といった、デジタルによる幅広いリーチに加え、効果をより正確に測定でき、実際の購買にも結び付きやすい新しい広告フォーマットが、成長の原動力となるでしょう。
ユーザーの行動を直接観察し、ユーザーの反応パターンを理解し、広告接触と成果を結び付ける能力は、収益化においてますます重要になっています。大規模なログインユーザー基盤と、顧客との強固な直接的関係を有する企業は、ターゲティングの高度化、レコメンデーションの改善、さらには広告主に対する価値の実証において有利な立場にあります。言い換えれば、AIは大手への集中化を後押しするもう1つの力でもあります。なぜなら、AIモデルが広く普及するにつれて、独自に保有する大量の貴重なユーザーデータが、競争優位性を守る重要な参入障壁となるためです。
2030年には、AIはエンタテイメント&メディア業界におけるさまざまな業務のあり方に影響を与えると考えられます。音楽家や映画制作者などのコンテンツクリエイターは、AIツールを活用してストーリーを練り上げ、作品の完成度を高めていくでしょう。なお、AIにより、人々が屋外で広告看板やサイネージを見ることがなくなるわけではありません。むしろ、人々がそれらの広告を目にした際に、AIのおかげで広告主がより適切なタイミングで、状況に応じたコンテンツや提案を彼らに届けることが可能になるでしょう。プラットフォーム事業者は、AIを活用して顧客の嗜好をより深く理解するようになると考えられます。さらに、広告代理店は、従来型の工数や経費に基づく料金体系から、ターゲットを絞った広告キャンペーンを通じた成果型の料金体系へと移行していくでしょう。
これら全てのケースにおいて、AIがいかに重要なツールであったとしても、最終的に価値を生み出すのは、サービス提供者が有する専門的な技術、経験、そして実行力です。
{{item.text}}
{{item.text}}