コネクテッドカーのエコシステムは拡大の一途にあり、それに伴いサイバー脅威の攻撃対象も広がっています。
現在、自動車業界は激動期を迎えています。新たな運転方法と車両コネクティビティの向上は、OEMやサプライヤーに新たなビジネスモデルをもたらしています。OEMやサードパーティプロバイダーによる数々の新たなデジタル機能やサービス提供に伴い、自動車は単なる移動手段から、生活・仕事空間へと進化しつつあるのです。
こうした変化は、車両のエコシステムにも多大な影響をもたらします。このエコシステムのセキュリティと機能性を確保し、積極的に管理することが、全てのユーザーの健康・安心を守り、OEMの業績向上にもつながるのです。例えば、DoS攻撃によって自動車線維持補助装置が妨害された場合、乗員だけでなく、非コネクテッドカーや、歩行者、その他の道路利用者にも危険をもたらします。
こうした状況により、自動車業界は、レジリエントなサイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)を用いてリスクを最小化するよう強く求められています。PwCは、『2022年グローバル自動車CSMS調査』において、OEMやサプライヤーがこれらのシステムをどの程度実装しているのか、今後さらにどのような取り組みを行っていく必要があるのかについて調査しました。
調査の結果、得られた重要な知見は以下のとおりです。まず成熟度に関しては、CSMSプロジェクトごとにかなりのばらつきがあります。CSMS実装までの期間は平均30カ月に及ぶことを考えると、行動へのプレッシャーも高まっています。実装が十分に進んでいない企業は、契約上・法的義務に対応すべく、早急な行動を迫られています。CSMSは今後、デジタルエコシステムのバリューチェーン全体を保護するとともに、業務コストに大きな影響をもたらし、コンプライアンスの確保にもつながるものであるため、自動車業界にとってビジネスの命運を左右する課題として急速に浮上しつつあります。
しかし、CSMSはデジタルトランスフォーメーション(DX)の成功に向けた道のりの一里塚に過ぎないことも確かです。自動車業界の企業は、自社のサイバー取り組みをよりネットワーク化し、サイバーセキュリティを企業運営の中核に組み込み、サイバーリスクマネジメントを企業のリスクマネジメントと統合する必要があります。DX戦略は、純粋な規制対応プロジェクトにおいても指針としていかなければなりません。