
日本の保険事業者が知っておくべき「2025年の必須課題」トップ10
日本の保険会社は競争力を維持し、グローバルに成長するために、変革を続けなければなりません。本稿では、今日の課題を乗り越えながら自ら変革しようとする日本の保険会社の2025年における必須事項のトップ10について解説します。
世界金融危機とは対照的に、COVID-19の初期の影響は実体経済に波及しました。しかし、各国政府が感染者数を抑制するために行った都市封鎖(ロックダウン)やソーシャルディスタンスの確保といった施策は、金融機関がサービスを提供する全ての業界に大きなダメージを与えています。世界金融危機や、1970年代のオイルショック、また1930年代の大恐慌など過去に起きた全ての危機と比較しても、世界のGDPが1年間で6%以上も減少するなど、COVID-19が世界経済に及ぼす影響は過去最大の規模になると考えられています。金融機関は、以下に挙げる7つのマクロトレンドを踏まえ、未来に向けた計画を適切に策定することが求められます。
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金融サービスの未来
未来に目を向けるにあたり注意しなければならないのは、COVID-19は大きな課題ではあるものの、中・長期的に金融機関を大きく形作るのは、地政学的な緊張や規制の枠組みの変化といった、その他の根本的な要因であるということです。全ての課題に対する答えではありませんが、金融機関のリーダーは、組織の未来に向け計画を策定するにあたり、以下のマクロトレンドを理解しておくべきでしょう。
ビジネスの未来を考える際、組織やオペレーティングプラットフォーム、ビジネス全体を構造的に考察することが役に立つでしょう。PwCでは、「Future of Industries(業界の未来)」プロジェクトの一環として、次の時代に備えるための、4つの主要なカテゴリーと注力領域を特定しました。
COVID-19による、実体経済や、その延長線上にある金融システムへのダメージは、さまざまな形で顕在化し始めています。金融機関のバランスシートと評判の修復には、慎重な行動が求められるでしょう。
金融機関は、以下の修復活動への取り組みを優先すべきでしょう。
COVID-19以前にあった、リモートワークの有効性や、アジャイルチームの生産性といった、組織構造・人材に関する疑問の多くは払拭されています。リモートワークやアジャイル、またその関連ツールやアプローチは、現在、世界的規模で広く展開され、成功を収めています。
組織を再考する際には、以下の優先事項に注目すべきでしょう。
金融機関の多くが、修復や再考と並行して、ビジネスと業務基盤の再設定を行う必要があるでしょう。場合によっては、将来の成功を見据え、大規模な変更を行わなければならないケースも考えられます。確かに世界金融危機後には大規模な変化が起こりました。これは金融業界が増加する規制コストの対応に、事業売却や労働力の削減、オフショアの利用拡大をはじめとしたさまざまな重要な取り組みを実施したことによるものでした。コロナ危機により、それぞれのセクターにおいて進行していたトレンドは加速し、また、あとどれだけのタスクが残されているのかが明らかになりました。
再設定にかかる活動は多数ありますが、特に重要なものとして以下が挙げられます。
さまざまなステークホルダーが金融機関に対しより高い透明性と説明責任を求めるようになる中で、財務パフォーマンス、ESG、規制コンプライアンスなど、さまざまな領域に関する網羅的かつ正確な報告に注目が集まるようになるでしょう。また、将来成功する金融機関が持つ、おそらく最も重要な特徴を見逃さないことが肝要といえます。それは、その企業ならではの組織文化やストーリー、また社会にもたらす価値を明確にできているということです。
日本の保険会社は競争力を維持し、グローバルに成長するために、変革を続けなければなりません。本稿では、今日の課題を乗り越えながら自ら変革しようとする日本の保険会社の2025年における必須事項のトップ10について解説します。
金融サービス業はマクロ経済情勢や地政学的緊張による不確実性に引き続き直面しているものの、メガディールの復活とディール金額の増大に伴い、2025年にはM&Aが活発化するとの楽観的な見通しが広まっています。
PwC Japanグループは2025年2月12日(水)より、表題のオンラインセミナーを配信します。
PwCは2024年10月から11月にかけて第28回世界CEO意識調査を実施しました。世界109カ国・地域の4,701名のCEO(うち日本は148名)から、世界経済の動向や、経営上のリスクとその対策などについての認識を聞いています。