PwC税理士法人(代表: 高島 淳)は、グローバルに事業展開する企業を中心に、デジタル経済課税対応に向けた包括的な支援を行うことを目的として、企業内オペレーション構築・運用までを含めた専門体制を拡充し、本日から本格稼働します。その支援はデジタル経済課税を巡る複雑な制度の解説に加え、制度導入に際して生じる影響検証、申告実務における必要情報の収集プロセス整備や自動化ツールの活用などによる税務業務効率化、提出書類作成に至るまでカバーします。企業の納税実務の負荷が高まる中、企業の適正な納税実務の実現に貢献するため、テクノロジーを活用し包括的にサポートします。
デジタル経済課税を巡る動向として、経済協力開発機構(OECD)より、2021年10月8日に「経済のデジタル化から生じる税務上の課題に対処するための2つの柱の解決策に関する声明」が公表されています。これはBEPS(Base Erosion and Profit Shifting: 税源浸食と利益移転)包摂的枠組みのメンバーである140の国・地域のうち136カ国・地域が、多国籍企業の事業展開先における公平な税負担の確保に向けた2つの柱の解決策に合意したことがあります。
2つの柱の解決策のうち、第1の柱(国際課税原則の見直し)の下では、多国籍企業グループ全体の世界収益が200億ユーロ(約2兆6千億円)超かつ利益率10%超の多国籍企業について、物理的な存在の有無にかかわらず事業活動を行って利益を稼得している市場国に対し、収益の10%を超える利益として定義される残余利益の25%に係る課税権が再配分されます。これに伴い、年間1,250億米ドル(約14兆円)超の利益に対する課税権が市場国に再配分されると想定されます。この第1の柱について、各国における2022年中に多国間条約の締結、2023年に施行目標であると公表されています。
第2の柱(軽課税国への利益移転への対抗)の下では、年間7億5000万ユーロ(約1千億円)超の収益を稼得している多国籍企業を対象に、15%に設定された世界共通の最低法人税率が導入されます。軽課税国の税率との差額分は、親会社等が本社を置く国の政府に納めることとなります。第2の柱については、OECD公表のモデル規則に基づき、日本を含め各国が国内法制に取り入れ、2023年からの施行が目標とされています。
2023年度の多国間条約の締結および国内法制の施行による実施を見据え、今後、新制度の導入に伴い、企業においてはグループ全体における実効税率や実務手続きへの影響を検討することが重要となります。
PwC Japanグループの一翼を担うPwC税理士法人では、デジタル経済課税の実施に際して生じる初期的な影響検証、必要情報の収集プロセスの整備や自動化ツールの活用による税務業務効率化、コンプライアンスに至るまで、企業を包括的かつ強力にサポートします。