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インシュアランス・バナナ・スキン 2021

保険業界が直面しているトップリスクとは?

PwCは、Centre for the Study of Financial Innovation(CSFI)と共に、今後2~3年間に世界の保険業界が直面するリスクに関する調査「インシュアランス・バナナ・スキン 2021」を実施しました。

今回で8回目となる本調査は、47地域・600名以上の保険業界の実務家や保険業に近いオブザーバーの回答から、2021年後半、世界の保険業界が直面する最も緊急性の高いリスク、またはバナナ・スキン(滑って転んでしまうリスク)を特定するものです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策には保険業界が深く関わっており、事業中断や事業継続保険において多額の保険金が支払われています。また、保険の適用をめぐる問題で批判を受けることもあり、その結果、世界各地で訴訟が発生する事態となりました。これらの問題については、回答者が調査においてコメントしていますが、全体的なレピュテーションリスクはこの1年間でほぼ一定しています。

調査から導き出された主要テーマ

今回の調査では、COVID-19や保険会社が直面しているその他の課題の影響が懸念されたものの、経済の見通しや、業界の変化への対応能力に対する楽観的な見方によりバランスがとられています。

次に挙げる3つのテーマは、いずれも関連し合い、パンデミックによりその影響や規模は増幅しているものの、保険業界は全体として、人的、資本的な面から、非常に高い回復力を持っています。このことは、回答者が、業界が直面しているリスクへの備えについて、ますます前向きな見方を示していることからもうかがえます。2019年の調査レポートで「パンデミック」は一切取り上げられていませんが、今回のレポートにおいても「パンデミック」が重大なバナナ・スキン(リスク)と見なされなかったことは、業界が持つ回復力を証明していると言えるでしょう。

今回の調査では、犯罪、特にサイバー犯罪が初めて、保険会社が考えるリスクの首位となりました。数年前から上位にランクインしていたリスクですが、バーチャルワーキングや、サイバー脅威の種類、件数、成功率の増加をうけて、保険会社の目から見たこのリスクに対する懸念は高まっています。また、保険会社には、企業がサイバー攻撃、特にランサムウェアの攻撃を受けた際に、それをカバーするために販売した保険契約によって影響を受けるという特性もあります。

企業がより長いサプライチェーンにおいて、新しいテクノロジー、クラウドコンピューティング、サードパーティーサービスを導入するにつれ、保険会社にとっての課題はこれまで以上に複雑になってきています。テクノロジーのリスクは引き続き高いものの、2019年の調査からはわずかに低下しています。この2つのリスクを結びつけて考えると、業界が新しいデジタルソリューションの導入に自信を持ち始めている一方で、企業がテクノロジーへのアクセス性や利便性を高めると(特に遠隔地において)、サイバーリスクにさらされることになるようです。

気候変動は、今回の調査で最も急速に上昇したリスクであり、初めて上位5位内に入りました。今や気候変動の影響は、これまで認識されていたよりもはるかに近い将来のリスクであることは明らかであり、多くの場合、その影響はすでに表面化しています。広範なESGアジェンダの一環として、世界的に気候変動が注目されていることは、多くの保険会社に段階的な変化をもたらしています。報告要件は増加しており、政府や規制当局は引き続き企業に対して、気候変動に関連するリスクをいかに定量化し、管理しているかをより明確に説明するよう圧力をかけています。

世界がCOVID-19から回復し始める中で、COVID-19が経済へと及ぼした影響は、回復のスピードと姿を見極める上で重要になってくるでしょう。保険業界では、金利リスクは以前よりも高いという見方が明らかでしたが、生命保険会社とその他の保険会社の見解は異なりました。生命保険会社は利回りの上昇がもたらす潜在的なメリットに注目し、損害保険会社や再保険会社は、金利の変化に伴うインフレの影響をより懸念しています。

日本の保険業界が考えるリスクとは


一方、日本においては、テクノロジーが保険業界の考えるリスクの1位となりました。

回答者からは、過剰にカスタマイズされた契約管理基盤がテクノロジーの変化に対応する際の障害となるリスクや、COVID-19により大きな影響を受けている対面販売チャネルのデジタル化やオンライン化がスムーズに進まない・定着しないリスクなどが挙げられています。COVID-19により保険会社の事業環境は急速に変化しており、これらの変化に十分に対応できないことによるリスクは増大しているものと考えられます。

2位には金利が入りました。この結果からは、グローバルとは異なる日本独自の懸念がうかがえます。低金利環境の長期化は、保険会社の商品戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。逆ザヤの解消を経て、当面のリスクはある程度ヘッジできると考えられますが、提供できる商品が限定されることに変わりはありません。また、経済価値ベースソルベンシー規制の導入を受けて、保険会社が金利リスクのリリースをさらに進める可能性もあります。

3位には、前回の5位から順位を上げて、人材・能力開発がランクインしています。抜本的なリストラを先送りにした結果、賃金水準が他業界に比べて相対的に低下し、人材流出や若手の確保に支障が生じる可能性が指摘されています。また、経験ある社員の退職により、暗黙知が失われ、オペレーショナルリスクが相対的に増加しているという見方もあります。

人材の確保は保険業界における喫緊の課題であり、コア業務の特定と人材育成の両面からの対応が求められています。

日本の 保険業界が考えるリスクとは

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主要メンバー

宇塚 公一

宇塚 公一
パートナー, PwCあらた有限責任監査法人

北川 久子
アソシエイト, PwCあらた有限責任監査法人