これまでのIPO市場

  • 2026-08-07

はじめに

IPOは、企業にとって単なる資金調達の手段ではありません。社会に対して成長の物語を提示し、資本市場からの信認を獲得するためのプロセスでもあります。上場が高く評価される局面では、成長への期待がリスクマネーを呼び込みますが、逆に信認が揺らぐ局面では、IPOは一気に難易度を増します。

この変動は個別企業の努力だけで説明できません。投資家がどの程度のリスクを取ろうとしているのか、株式市場の水準やトレンドがどのように形成されているのか、金融政策や金利環境が企業価値の評価をどのように変えるのか。さらに、企業側の資本・事業の選択肢(IPOをはじめ、事業会社との資本提携やM&A、事業譲渡といったオプション)や上場コストの受容度、そして制度・規制が求める説明責任の水準が重なり合って、その時々の「上場のしやすさ」と「上場に求められる質」を形作ってきました。

本稿では、IPOを単なる件数の増減として捉えるのではなく、どのような企業が、どのような評価軸のもとで上場してきたのかという「質の変化」に目を向けます。①資本市場・投資家サイド、②企業サイド、③制度・規制要因という3つの視点から、過去20年程度の局面変化を整理し、現在のIPO市場を読み解くための土台を確認します。

なお、文中の意見は筆者の私見であり、PwC Japan有限責任監査法人および所属部門の正式見解ではないことをお断りします。

目次

  1. IPO企業の変遷およびIPO社数の推移と主要イベント
  2. 市場区分再編と市場別の状況
  3. クロスボーダーIPOの変遷

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執筆者

PwC Japan有限責任監査法人
西日本事業部 京都事務所
パートナー 森部 賢

PwC Japan有限責任監査法人
財務報告アドバイザリー部
ディレクター 石橋 篤

PwC Japan有限責任監査法人
西日本事業部 京都事務所
ディレクター 上野 洋明

PwC Japan有限責任監査法人
財務報告アドバイザリー部
マネージャー 久保田 章敬