不祥事や事業不振などの企業の存続が危ぶまれる局面では、しばしばカルチャー(企業文化)※1が問題視されます。東京証券取引所が定めたコーポレートガバナンス・コードでも取締役会や経営陣が健全なカルチャーの醸成に向けてリーダーシップをとるべき旨の原則が明記されています。このことを踏まえると、取締役会や経営陣は企業の存亡がかかるような場面でなく、平時からあるべきカルチャーの醸成に向けて取り組むべきです。しかしながら、カルチャーは可視化が難しく、モニタリングや醸成の手法について、多くの企業が試行錯誤しているのも現実です。
本稿では、ガバナンスにおけるカルチャーの重要性をその定義からひもとき、事例を交えながら有効なモニタリングと醸成のアプローチについて解説します。
なお、文中の意見は筆者の私見であり、PwC Japan有限責任監査法人および所属部門の正式見解ではないことをお断りします。
※1本稿では「カルチャー」と「企業文化」を同じ意味で使用します。
PwC Japan有限責任監査法人
ガバナンス・リスク・コンプライアンス・アドバイザリー部
シニアマネージャー 大野 大
ガバナンス・リスク管理・コンプライアンスの構築、金融庁等の監督当局による規制対応など多様なサービスを提供しています。
カルチャーをめぐる各社固有の課題に的確に対応するために、①あるべきカルチャーの定義 ②マインドセットの醸成 ③組織構造・制度の変革 ④カルチャー浸透の評価 という4つのアプローチを採用し、企業価値向上に資するカルチャー醸成を支援します。
企業不祥事発生後のさまざまな第三者委員会報告書の分析を通じて、不正事案につながる可能性のある組織体制上の不備やカルチャー上の特性を自己診断できるアセスメントを開発しました。ご回答をいただいた方全員に、スコア結果の解釈および今後の改善策に関する簡易レポートをお送りします。