「補助金等の会計処理及び開示に関する研究報告」の解説

  • 2025-10-14

はじめに

2025年6月26日、日本公認会計士協会(JICPA)は、会計制度委員会研究報告第18号「補助金等の会計処理及び開示に関する研究報告」(以下、「本研究報告」)および「公開案に対するコメントの概要及び対応」を公表しました※1。近年の急激な経済環境の変化に合わせて、さまざまな補助金および助成金(以下、「補助金等」)が国または地方公共団体等(以下、「国等」)から交付される事例が数多く見られているものの、わが国には補助金等に関する会計基準は存在しないため、補助金等に係る会計処理および開示について、実務上さまざまな取扱いが行われていると考えられます。

そのため本研究報告は、補助金等に関する会計処理および開示(圧縮記帳に関する会計処理および表示を含む)について、国際的な会計基準における取扱いを参考にしながら実務上の課題等を整理し、主に収益認識の時期、総額表示・純額表示および表示区分等に関する現時点における考えを取りまとめています。

本研究報告は、補助金等に関するわが国の会計基準が存在しない現状において、実務の参考資料として意義を持つと考えられます。ただし、本研究報告は規範性のある会計基準ではなく、多様性が存在する可能性がある現状の実務に配慮して、考えられる会計処理や表示を併記しています。そのため、実務において本研究報告を参考として会計処理等を検討するにあたっては、適切な会計処理および開示を選択するに際して判断が求められる点に留意が必要です。

本稿では、本研究報告に沿って概要およびポイントを解説します。なお、本文中の意見に関わる記述は筆者の私見であり、JICPAおよびPwC Japan有限責任監査法人の見解を示すものではないことをあらかじめ申し添えます。

目次

  1. 検討の経緯
  2. 本研究報告について
  3. 収益に関する補助金等
  4. 資産に関する補助金等(圧縮記帳に関する会計処理を除く。)
  5. 資産に関する補助金等(圧縮記帳)
  6. 全体のまとめ
  7. 今後に向けて

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執筆者

PwC Japan有限責任監査法人
コーポレート・レポーティング・サービス部
シニアマネージャー 伊藤 清治