米財務省、支払利子の損金算入制限(内国歳入法163条(j))に関するガイダンスを公表

2018-04-03

2018年4月2日(米国時間)、米国財務省は、税制改正に関する2つのガイダンスを公表しました。まず、Notice 2018-26は、既存の海外留保利益に対する強制みなし配当課税(いわゆるトールチャージ)に関する計算・申告の細則に関するものであり、Notice 2018-07、Notice 2018-13に続く3番目のガイダンスとなります。

他方、Notice 2018-28は、支払利子の損金算入制限の適用に関するはじめてのガイダンスで、従前より不明確であると指摘されていた複数の重要な論点について、以下のような明確化が行われました。

 

  • 改正法における損金算入制限額(EBITDA/EBIT相当額の30%)の計算は、従前の制度と同様、米国連結納税グループベースで行われます。従って、連結納税グループ内の借入金にかかる支払利子は、改正法における制限の対象となりません。
  • 改正法適用前の事業年度(2017年12月31日以前開始事業年度)において従前の制度により損金算入制限の対象となっ​ていた​支払利子額は、改正法のもとでも無期限に繰越が認められます。従って、繰越した先の改正法適用年度(2018年1月1日以降開始事業年度)において計算された損金算入制限額の範囲内であれば、損金算入が認められます。
    •  なお、改正法適用以前の年度において発生した国外関連者への支払利子が、上記の繰越により改正法適用年度において損金算入が認められた場合には、BEATの対象となる税源浸食的支払として扱われます。
  • 改正法適用前の事業年度において従前の制度により生じていた損金算入限度余裕額は、改正法のもとで繰越すことができません。
    •  従前の制度における損金算入限度余裕額は翌年以降に繰り越すことが可能でした。改正法は当該余裕額の繰越を廃止しましたが、従前の制度における繰越余裕額の扱いについて不明確であると指摘されていました。今回のガイダンスにより、当該余裕額は改正法適用年度では使用することができないことが明確になりました。
  • その他
    •  改正法によって支払利子の損金算入が制限された場合でも、当該米国法人の税務上の留保利益(E&P)の計算(減算)には影響しません。
    •  改正法条文は、個人への適用時を念頭に、「事業に関する利子」を適用対象とし、「投資に関する利子」を適用対象外と定めていますが、米国で法人課税をうける法人(C法人)においては、その活動の性質にかかわらず全ての利子が「事業に関する利子」として扱われ、損金算入制限の適用対象となることが確認されました。
    •  例外規定の対象となる一定の借入(Floor plan financing)をパートナーシップが行った場合の制限額計算方法について明確化されました。

  

上記のガイダンスは、今後、パブリックコメント期間を経て、正式な規則案として公表される予定です。