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2025年6月4日、公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)(以下「改正法」といい、改正法による公益通報者保護法の改正を「本改正」といいます。)が成立し、同月11日に公布されました。改正法は、公布の日から1年6か月以内の政令で定める日に施行されます。
本改正は、令和2年の公益通報者保護法の改正(以下「令和2年改正」といいます。)後における事業者の公益通報への対応状況及び公益通報者の保護を巡る国内外の動向を踏まえて、①事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上、②公益通報者の範囲拡大、③公益通報を阻害する要因への対処、④公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済を強化するための措置を講じようとするものです。
本ニュースレターでは、改正法及び今後事業者において対応が求められる事項について概説します。
令和2年改正後の公益通報者保護法1附則第5条の検討規定に基づき、近年の国内外の動向を踏まえた公益通報者保護制度の課題と対応について検討を行うため、2024年5月、消費者庁に公益通報者保護制度検討会が設置され、有識者による議論が進められてきました。その結果が、2024年12月、「公益通報者保護制度検討会報告書-制度の実効的向上による国民生活の安心と安全の確保に向けて-」2(以下「検討会報告書」といいます。)として公表されました。検討会報告書では、公益通報者保護法に関する制度を見直す必要性として、概要、以下のような事項が指摘されています。
(1)事業者の体制整備の不徹底や実効性に関する課題:事業者の体制の状況や内部通報制度の実効性に関して、以下のような課題が挙げられていました。
(2)制度を巡る国際的な動向:以下のような点に触れながら、国際的な基準と比べると、日本の通報者保護は依然として弱い状況であると指摘されています。
本改正は、このような経緯を経て、取りまとめられ、今般成立したものです。
本改正では、大きく分けて、以下の4つの視点からの改正が行われています。なお、以下では、改正法による改正後の公益通報者保護法を「法」といいます。
(1)事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上に関する規律の導入
(2)「公益通報」を行った場合に保護される主体(以下「公益通報者」という。)の範囲拡大
(3)公益通報を阻害する要因への対処に関する規律の導入
(4)公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化
それぞれの改正内容の概要は、以下のとおりです。
公益通報者保護法の適用対象となる「事業者」は、「法人その他の団体及び事業を行う個人」とされていることから(法2条1項)、一部の規制を除き、その業種及び規模にかかわらず、あらゆる事業者が改正法の影響を受けるものと考えられます。
令和2年改正以降、多くの事業者が公益通報制度の構築・運用を進めてきているにもかかわらず、本改正が行われた背景には、事業者の体制整備が十分でないことやその運用の実効性が確保されていないのではないかという問題意識があります。
事業者は、法に定められた内容を社内規程に反映する等の形式的な法令遵守にとどまらず、その実質が公益通報者の保護及び公益通報の促進に資するものであるか、改めて考え直すことが必要不可欠となります。
労働者等が利用しやすく、真に実効性の高い内部通報制度を構築・運用できるよう、専門家の助言も得ながら、継続して見直しを行うことが必要です。
1 令和2年の公益通報者保護法の改正及びその後の状況については、当法人の以下のニュースレター及び記事をご参照ください。
2 「公益通報者保護制度検討会報告書-制度の実効性向上による国民生活の安心と安全の確保に向けて-」(令和6年12月27日)
3 法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又に対しても罰金刑が科されます。
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