
Worldwide Tax Summary 2025年4月号
本稿では、海外税制(米国、EU、ベトナム、国連)の動向を解説しています。(月刊国際税務 2025年4月号 寄稿)
2020-08-05
これまで第1回から第9回までビジネスDDについて、基本的な考え方や具体的な実施内容、最近のトレンドなどを解説してきました。今回は最終回ということで、これまでの解説を念頭に、今後、ビジネスDDをどう進めていくべきなのかについて考えてみたいと思います。
第8回、第9回でも触れたように企業を取り巻く事業環境が様々な面で変わってきており、それに伴い、企業が提供する価値にも変化がもとめられてきています。M&AやビジネスDDについても例外ではありません。改めてビジネスDDにおける肝を振り返りながら、新しいビジネスDD(もしかしたら、ビジネスDDという名称すら変化するかもしれません)についてこのシリーズの総まとめとして考察をしていければと思います。
第1回から第9回の解説を踏まえると、ビジネスDDにおいて実施すべき事項は、大きく以下の5点に集約されると言えます。
① 対象企業/対象事業とのM&Aの目的を明確にする
② コマーシャルとオペレーションの両面から、対象企業/対象事業の競争力の源泉を明確にし、その競争力の持続性を確認する
③ 事業計画は現在と将来の外部環境および内部環境を踏まえ、蓋然性の高いものかを確認する
④ スタンドアローンでの事業計画の検証に加えて、M&A後に期待するシナジーを明確にする
⑤ PMIを意識し100日プランに盛り込むアクションを明確にする
この5点を事業環境変化による視点も加味した上で、ビジネスDDを実施することが必要です。そのためには、「データや情報を正しく分析するロジック力」「業界や事業に関する深い理解」「M&A後を想像する力」が必要になります。「データや情報を正しく分析するロジック力」は主に②や③について重要となります。「業界や事業に関する深い理解」は①~⑤のすべてにおいて基礎となる要素として必要となりますが、時にはニッチな事業でのビジネスDDなどで、なかなかコンサルタントやアドバイザーとして十分な理解が備わっていない場合があります。その場合は、技術系コンサルタントや業界有識者との協業/インタビューなどを積極的に行うべきでしょう。「M&A後を想像する力」は特に④や⑤について重要な意味を持ちます(もちろん①~③でも重要となります)。ともすると、現状をベースにM&Aの是非を議論しがちですが、M&Aはゴールではなくスタートです。さらにいうなれば、M&Aのコストを考えるとマイナスからのスタートとなる場合もあります。したがって、将来的にどう自社/事業の価値を高めていくかを想像する力が必要となります。不確実な事業環境が続く中、その能力は今後さらに重要になっていくでしょう。
また、ここでセカンドDDについても触れておきたいと思います。上記のような肝を押さえたDDを実施したとしても、事業環境が大きく変化した場合に、改めてDDをPMIの段階やM&A後しばらくたってから行うことがあります。これは企業価値の算定という視点よりも、事業環境の変化による影響を明確にし、どのようにしてM&Aの効果を最大化していくかという視点になります(もちろん、ビジネスDD実施時に抜け漏れがあった場合にも行うべきです)。その実施に際しては、対象企業/対象事業側の納得感を得ることが重要になります。追加でのDDの実施は、ともすると、粗さがしのように受け止められかねないためです。セカンドDD実施の必要性を明確に示し、対象企業/対象事業の主要メンバーからの協力を得られるようにすべきです。...
このコンテンツはPwCアドバイザリー合同会社のプロフェッショナルによるM&A情報・データサイトMARR Onlineへの寄稿記事です。詳細はこちらからお読みください(要登録/無料)。なお、執筆者の肩書などは執筆時のものです。
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