2050年 日本の都市の未来を再創造するスマートシティ

2020-02-12

日本の社会を取り巻く環境はかつてなく急激かつドラスティックに変化していくことが予想されており、地域社会の基礎となる都市もその変化の影響を直接受けています。具体的には、2015年から2045年の30年間で2,000万人の人口が失われることが予想されており、この人口減少はさまざまな分野に影響をもたらします。例えば、社会インフラは、高度成長期に人口増加を前提に整備されたものがベースとなっているため、本格的な人口減少が進んでいく環境下では、設備の更新や投資に対する一人当たりの負担が高まり、維持そのものが難しくなってきています。また、人口減少下でも経済規模を縮小させないためには、生産性の向上が必要となるとともに、同時に進む高齢化社会の到来に向けては、働き手の確保も大きな課題となります。

このような環境変化は、わが国が立ち向かわなければならない大きな社会課題であると同時に、人口減少と高齢化に対応した社会、仕組みづくりで世界をリードしていき、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献できるチャンスでもあります。こうした社会課題を解決し、持続可能な都市を構築する重要な手段の一つが、スマートシティの実現です。

そこでPwCのスマートシティチームでは、「2050年 日本の都市の未来を再創造するスマートシティ」と題したレポートを発刊しました。これは、PwCの「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というPurpose(存在意義)に基づき、わが国の社会課題にもしっかりと向き合っていくという志を形にしたものです。

同レポートでは、最初にスマートシティのゴールを「ずっと住みたいまち・行きたいまち」と設定しました。それがどのような状態かを議論した結果、魅力的なスマートシティとは、テクノロジーを活用するとともに、現在および未来の都市で想定される課題が解決される仕組みを有しているまちであると考えました。私たちは、特に解決が期待される課題領域を11個特定し、図表1の「2050年も住みたいまち・行きたいまち」として取りまとめました。具体的には、まちの「安全」を担保する基本的なサービスとして、「公益サービス」「行政」「防災・防犯」、さらにはスマートな都市で必須の「データプラットフォーム」をあげています。これに加え、「安心」な暮らしを支える要素として「金融」「モビリティ」「健康・医療」「高齢者福祉」「教育」「出産・育児」も重要であると考えました。また、「賑わい」を作るため「産業・観光」 の充実が都市の魅力増進につながると位置づけています。

「2050年も住みたいまち・行きたいまち」の実現はそう簡単ではありません。私たちは、さまざまな企業や団体、地域社会に関わる人々が協力していかなければ実現できないと考えています。

本連載コラムでは、こうしたスマートシティの実現に向けて企業や自治体、団体などが果たす役割や、海外事例を含めた具体的な取り組み、地域課題解決におけるテクノロジーの役割などを紹介するとともに、都市・地域が取り組むべき課題を提起していきます。 

2050年も住みたい・行きたいまち

※詳しくは「2050年 日本の都市の未来を再創造するスマートシティ」レポートをご覧ください。

執筆者

片山 紀生

パートナー,PwC Japanグループ エネルギー・資源・鉱業事業部 リーダー, 上席執行役員, Chief Human Resource Officer, PwCコンサルティング合同会社

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