生成AI―新たな働き方革命の波に乗る―テクノロジー最前線 生成AI(Generative AI)編(10)

テクノロジー業界における生成AIへの取り組み状況 ~ 生成AIを活用しないことがリスクとなるステージへ ~

  • 2023-12-20

活用だけではない広範な取り組みが特徴

テクノロジー業界では、生成AIを使って業務の効率化や高度化を得る「活用」に加えて、外部のAIプラットフォームを活用して新規ビジネスを「提供」、さらに、事業に適した新たなLLM(Large Language Models)をデザインし提供する「構築」と、生成AIに関するビジネス活動がより幅広いことが特徴です。また、AIサービスを実現するためのサーバー、GPUに代表される電子部品、UIデバイスなどの「実装」面でも多くの企業が関わっています。

図表 生成AIの活用範囲およびモデル特徴に見るテクノロジー企業の概況

生成AIビジネス化に向けた動き

生成AIサービスを活用したビジネスの提供としては、多くの企業が社内でさまざまなユースケースのパイロットにて社内活用の実践を進めながら検証し、外部に向けたサービス化を段階的に展開しつつあります。他の業界に比べて積極的に推進しており、AIのセキュアな環境整備や各種ルール規定の整備、全社的なガバナンス機能や組織を立ち上げなど、実運用における多くの取り組みを開始しています。

生成AIを活用し効果を上げるためには、外部のAIサービスを基盤としつつも、付加機能が必要となります。ガバナンスやセキュリティの確保、対象となる業務やデータに合わせたチューニング、ユーザーの利便性向上などのためです。また、PoC(Proof of Concept)を繰り返しながら拡充をしていく、付加機能を追加構築するなど、活用するための多くの取り組みが求められます。これらを含め、社内外(業務生成AI活用、事業生成AI活用)、サービスビジネス化などの取り組みの全体を推進するCoE(Center of Excellence)機能を組織化する企業も増えています。

提供サービスとしては、既存のAIサービスを活用しながら各社のナレッジを組み合わせ、セキュアでモデル学習にも使用されない環境を構築したものが見られます。また、日本向けに新規のLLMを構築し、生成AIを提供しようとする動きもあります。

生成AIを活用しないことがリスクに

テクノロジー業界においては、生成AIの活用リスクを見極めるというステージはすでに越えており、サービスビジネス化のステージに入りつつある状態です。生成AIを活用しないことが、リスクとなりつつあります。一方で、生成AIが業務や働き方を変えていく今の状況は、テクノロジー業界において、大きなチャンスでもあります。

テクノロジー業界は、生成AI自体を作り出す業界でもあり、生成AIを構成する要素(電子部品、UIデバイスの構築など)を供給することを考慮すると、業界に対するインパクトはさらに大きなものとなります。

PwCでは、生成AIのリスク管理、構築・社内外業務への活用だけでなく、サービスビジネス化に向けた取り組みについても、各領域における豊富な経験・ノウハウを活かし、強力に支援します。

執筆者

岡本 祥裕

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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