サーキュラーエコノミー経営支援サービス

サーキュラーエコノミーへの移行の必要性

世界人口は2050年には97億人に達し、世界の廃棄物発生量は2010年に比べ2倍以上になると予測されています※1。そのため、大量生産・大量消費・大量廃棄というリニアエコノミーから、バリューチェーンを通して再生不可能な資源の使用ゼロ、焼却および埋め立てゼロを目指すサーキュラーエコノミーへの移行を進める必要性が高まっています。

※1 2010年 環境省HP

サーキュラーエコノミーは、単に資源を循環することによる製品価値・資源価値の最大化を図るだけではなく、企業の持続的経営に必須である調達リスクを軽減するための戦略であり、サプライチェーンマネジメントおよび資源調達戦略と深く関わります。

また、サーキュラーエコノミーはCO2ネットゼロ実現のカギとも言われています。
現在多くの企業にとって脱炭素のボトルネックとなっているScope3、とりわけそのうちのカテゴリ1(購入した製品・サービス)とカテゴリ12(販売した製品の廃棄)を削減するためには、サーキュラーエコノミーが最も有効な手段と考えられるためです。

※Scope1(自社での直接排出量)・Scope2(自社での間接排出量)以外の部分「その他の間接排出量」を指す。具体的には、製品の原材料調達から製造、販売、消費、廃棄に至るまでの過程において排出されるGHGの量(自社サプライチェーン上流と下流の排出量)を指す。

企業がサーキュラーエコノミーに対応し、「サーキュラー経営」を実現するにあたっては、図表1に示す「3つの原則」および「10個の循環型戦略」を念頭に置いた検討が有効です。自社ビジネスの各プロセスにおいて重要なステークホルダーと協働することで、バリューチェーン全体を通してサーキュラービジネスを構築する必要があります。

図表1:「3つの原則」と「10個の循環型戦略」

「採取」と「拡散」のフレームワーク

サーキュラー経営というのは、廃棄物リサイクルに留まらず、バリューチェーン全体にわたって変革が求められる非常にスケールが大きい話です。そしてサーキュラーエコノミーの実現を考えるうえで参考にしていただきたいのが、「採取」と「拡散」の観点から、自社の事業を捉え直すことです。この観点に立つと、気候変動や生物多様性の喪失、水の偏在、資源枯渇も、全て同じ構造で語ることができるのです。

では、「採取」と「拡散」という観点で自然界と人間界の関係を見るとは、どういうことでしょうか。その基本となるフレームワークをご紹介します。PwCでは、この「採取」と「拡散」のフレームワークを、企業が自社のビジネスのサーキュラーエコノミー化を考えるうえでの基盤となるフレームワークと位置付けています。図表2-1~2-3でその概念を示します。

図表2-1:自然界に固定・均衡している物質

前提として、自然界にはさまざまな物質が存在しており、中でも炭素、鉱物、窒素、水は、人間にとって大変重要な物質です。それらの物質は、人間の経済活動がなければ、自然界に固定され、均衡した状態で存在しています。

図表2-2:人間の経済活動を通じた大量の採取・拡散による環境問題

しかし人間は、これらの物質を大量に採取し、経済活動を通じて大量に消費してきました。そして消費後は回収できない形で大量に廃棄、拡散しています。その結果、気候変動や環境汚染、資源枯渇や生態系の破壊といったさまざまな環境問題を引き起こしているのです。

図表2-3:採取と拡散の極小化による物質の循環

現在の人間の経済活動は、物質を大量に採取し、大量に拡散するというモデルの上に成り立っており、この経済活動モデルを続ける限りは、これまで述べたような環境問題の解決は難しいと言わざるを得ません。だからこそ、採取と拡散を極小化しつつ、すでに採取済みの資源や自然界に拡散している物質を経済活動の中に再度取り込み、循環させていくことがカギになります。

サーキュラーエコノミーを支援するPwCのサービス

サーキュラーエコノミーの推進に向けて、企業はどのような対策を講じるべきでしょうか。
企業の取り組みをサポートするために、PwC Japanグループでは以下のサービスを提供しています。

図表3:サーキュラーエコノミーに関するPwCのサービス全体像

Strategy/Transformation/Reporting 共通

  • Transact to Transform
    • Transform to Transact(企業価値向上のための経営戦略を実現するためにディールを活用する)やTransact to Transform(ディールを企業変革につなげる)などのアプローチを活用し企業価値向上のための経営戦略実現に向けて、企業全体でのシナジー発揮や価値の最大化の方法を検討します。サーキュラーエコノミーへの移行は変革であり、ディール(M&A)活用により、その変革を促進します。
  • ESG/サーキュラーエコノミー経営の統合(PMI)
    • PwCの経営統合支援の経験を踏まえ、買収後における速やかな統合プロセスの推進と、企業価値向上の観点によるシナジー創出および問題解決をESG(環境・社会・ガバナンス)/サーキュラーエコノミーの専門家視点を踏まえ、支援します。
  • ホリスティックアプローチを活用したサステナビリティ課題間の可視化・診断
    • 近年、世界はポリクライシス(複合危機)の時代へ突入し、国・企業ともに多様・複雑な社会・環境課題に対して対応し、さらには経済合理性のある実行と成果創出が求められる中、全体像を捉え、アジェンダ横断で最適解を導き出し、データに基づきホリスティックに考え、施策ポートフォリオの最適化に向けて意思決定を行い、複数のアプローチを同時並行で実施する必要がでてきています。
    • ホリスティックアプローチとは、多様化・複雑化する社会・環境課題に対して、気候変動、自然環境、人権・Well-beingといったアジェンダごとに切り分けて考えるのではなく、環境、社会、経済の全てを総体として捉えて包括的に考え、それを踏まえて全体最適を図るためのアプローチです。
    • 各気候変動、自然環境、人権・Well-beingは相互的に依存関係にあるため、打ち手によってはトレードオフになってしまう施策もあります。各施策のトレードオフを最小化し、シナジーを最大化するため、まずは現状を可視化することが重要です。PwCはこのアプローチに基づいたコンサルティングサービスを10年以上前から提供しており、民間企業・官公庁へのアドバイザリー実績を蓄積してきました。蓄積してきた知見やノウハウ、ネットワークだけではなく、経営の意思決定を支援するPwC独自ツールを活用しながら、その取り組みを支援します。
  • システミックアプローチを活用したSX戦略の策定・実行伴走
    • サステナブルサプライチェーンの構築、サーキュラーエコノミーの確立など、社会・環境課題の解決を経済合理性と両立させて実現するには、従来のサプライチェーン・バリューチェーンを超えたプレーヤーを巻き込み、エコシステム変革を起こすことが不可欠です。既存の産業構造や業態の制約を超えたビジネスモデルとパートナーによるエコシステム変革の構想を含む、サステナビリティ・トランスフォメーション(SX)戦略の策定を支援します。さらに、投資回収経路の立案やパートナー探索から、その実行に向けたフィージビリティ調査やパートナーとの交渉を含めた戦略の実行支援も行います。
  • システミックアプローチを活用した企業内変革
    • Scope3の温室効果ガス(GHG)削減、サーキュラーエコノミーなどSX戦略の実現には、企業内の協調が不可欠です。そのため、企業は以下の2つの機能を具備する必要があります。1つ目は「全体俯瞰機能」で、各組織が目指す北極星となるビジネスプランや、組織連携のあるべき姿を提示する機能、もう1つは「調整機能」で、全体絵図の実現に向けた各組織の活動内容やタイミングを、実態を踏まえつつ細かに調整する機能です。PwCは、この2つの機能をベースとした戦略達成に必要な組織体制の設計・変革および運用を組織のハブ役となって伴走支援します。
  • ルールメイキング/業界内・業界横断アライアンス形成
    • サーキュラーエコノミー推進においては、官民連携や企業・業界の垣根を越えた連携が重視されています。PwCが保有する知見・ネットワークを活用しながら、多様な関係者の巻き込みや合意形成、標準化、官公庁などとの関係づくり、政策提言などを支援します。
  • サーキュラーエコノミー推進体制構築
    • サーキュラーエコノミー戦略を実行するための組織として、サーキュラーエコノミー部門を設置する際の業務分掌および役割・責任の定義、また、各機能部門における担当者の業務定義やプロジェクトチームの設計・立ち上げ、課題への対応案の検討、アクションプランの策定を支援します。
  • セミナー実施・社内アップスキリング
    • PwCのナレッジや知見に基づき、実際の業務に従事する現場スタッフから企業においてサーキュラーエコノミー推進の舵を取る経営層まで、あらゆる対象者に向けて各社のニーズに合わせてカスタマイズされた内部研修を提供します。
  • 関連技術の評価と外部連携の検討
    • サーキュラービジネス構築のために必要な技術開発や外部パートナーを模索するために、独自のAIツール(Intelligent Business Analytics)を活用して、効率的かつ効果的に関連技術を分析・評価します。また、技術協創パートナーや事業協創パートナーを検索し、候補を抽出することより、外部連携戦略の構築を支援します。

Strategy(経営)

  • サーキュラー経営方針の策定
    • 各社の現状に鑑み、社会・環境や国際市場動向、政策・規制、地政学リスク、業界先進企業の動向、などをインプットとして、既存のビジョンやパーパス・長期戦略、将来市場予測を踏まえたサーキュラー経営推進の基礎となる方針の策定を支援します。サーキュラー経営において追求する対象の特定、リスクヘッジ、新規ビジネスモデルの構築、コスト面のアプローチ、実現ステップ、ビジネスモデル転換や戦略策定など、さまざまな観点を含めた方針の検討が可能です。
  • サーキュラー経営を実現するM&A戦略
    • 企業経営におけるサーキュラリティ向上に向けたM&A戦略の策定を支援します:①サーキュラーエコノミー領域の選択②「5つの切り口」でM&A意義の検討③M&Aで強化すべきサーキュラーエコノミー領域の優先付け④「4類型から」最適なM&Aスキームを選択します。
      • 5つの切り口:技術獲得、ライセンス獲得、バリューチェーン補完、地域拡大、新規事業進出
      • 4類型:マジョリティ確保型、JV型、コンソーシアム型、オープンイノベーション型
  • 外部環境調査
    • 顧客・競合・パートナーなどのバリューチェーン全体における取り組みについて、サーキュラービジネスの構築に必要な対応策の検討に必要な情報やKSF(Key Success Factor:重要成功要因)などを整理・分析するために、国内外の政策、法規制、イニシアティブ、認証、業界慣習などを調査・整理し、クライアント企業のビジネス環境を詳細に把握します。
  • 自社のパフォーマンス分析
    • 自社事業の現在のマテリアルフローをベースに、インフローとアウトフローについての状況を明確に理解することがサーキュラー経営への転換に向けた第一歩です。外部ツールを活用するなどして、どの程度サーキュラー経営へ転換ができているかを可視化し、サーキュラー経営戦略の構築に活用します。一般的なLCA測定の支援も可能です。

Transformation(事業全体)

  • サーキュラー/新規ビジネスモデルの構築
    • 過去のプロジェクトで蓄積された官・民の知見(サーキュラービジネス構築のボトルネックと、それを乗り越える打ち手の整理、政策策定等)を最大限活かし、新規ビジネスモデルの検討を行います。ビジネスモデル案の検討・深堀り・評価を行ったうえで、実現に向けた課題を整理します。さらに、課題解決のためのオプション案を検討し、アクションプランに落とし込みます。
  • JV組成・アライアンス
    • 動静脈連携による回収モデルの構築、再資源化処理、分解しやすい設計、再生材利用のすり合わせ技術など、他社とのアラインス、資本を伴うJV(ジョイントベンチャー)組成が有効となるケースも少なくありません。また、サーキュラーエコノミー技術の獲得に向けたスタートアップ投資なども含めて、候補先検討、DD(デューデリジェンス)(DD)実施、JV設計・設立準備支援を行います。
  • ESG/サーキュラーエコノミー DD
    • サーキュラーエコノミーに関するPwCの知見や非財務情報開示に関する枠組みを活用しながら、企業のESG/サーキュラーエコノミーのリスクと機会を特定し、重要性および成熟度の評価を行います。M&Aから平時におけるサーキュラーエコノミー経営の評価を行います。

Transformation(機能別)

  • R&D戦略策定/製品イノベーション・デザイン検討
    • 再生可能材の活用などの素材転換や、効率的な分解、再利用、修理、リサイクルを可能とするような製品設計の検討、クライアント企業のビジネス環境を踏まえた製品開発やサービス展開、マーケティング等全般の戦略策定を支援します。
  • 調達戦略検討
    • リサイクル材/バイオマス等を原料とするグリーン材の需給バランスを踏まえた調達実現性検証や、政策・規制・技術動向調査、調達戦略策定、調達先調査を支援します。直近の実績として、EU市場の事業者に適用されるバッテリーデューデリジェンス実施や、北米・日本等における需給バランス・コスト試算と調達戦略の方向性検討支援(サプライチェーンマネジメント、リソースサーキュレーション)があります。
  • 廃棄物削減のための製造最適化検討
    • 製品製造においてサーキュラーエコノミーの観点を組み込み、企業固有の強みや課題を考慮しながら、廃棄物の削減につながるように、企業の受注予測に基づいた生産計画の検討・立案、在庫・生産の最適化、生産リソースの効率化を支援します。
  • サステナビリティ・ブランディング検討
    • ブランド価値に繋がるサーキュラーエコノミーの取り組み・顧客層の特定や、コミュニケーション戦略・施策の検討、効果検証・戦略へのフィードバックを行います。

Reporting(開示)

  • CSRD対応
    • CSRD(企業サステナビリティ報告指令)対応が必要な企業に対し、PwCのグローバルネットワークや専門知見を活用して、ESRS(欧州サステナビリティ報告基準)に沿った開示対応の方向性および施策検討、実行計画の策定、実際のレポーティング実務を想定した課題整理や報告体制のチェックの実施などを支援します。

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主要メンバー

屋敷 信彦

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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木下 尚悟

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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中島 崇文

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

Email

東 輝彦

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

Email

森 隼人

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

Email

齊藤 三希子

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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