スキルセントリック組織とは、社員一人ひとりの具体的な「スキル(能力や専門知識)」を中心に、人材の配置・育成・評価を設計する経営・人事のあり方です。
PwCが実施した第27回世界CEO意識調査によると、CEOの52%が「今後10年間、労働力とスキルの不足が自社の収益性に大きな影響を及ぼす」と回答しており、人材・スキルの確保は企業経営にとって不可欠な課題となっています。
PwCでは、2023年に世界経済フォーラムと共同で「Putting Skills First: A Framework for Action」を策定し、スキルファーストな人材マネジメントの実践をグローバルに推進し続けています。
PwCコンサルティングは、スキルセントリック組織への転換に向けて、スキルマスタの整備、AIなどの最新テクノロジーを活用したスキルの可視化・マッチング基盤の構築、従業員が自律的にスキルを登録・更新するためのモチベーション醸成やチェンジマネジメント支援など、構想策定から実行・定着まで一貫して支援します。
図表1:行動のためのフレームワーク
出典:Putting Skills First: A Framework for Action(2023年3月)をもとにPwC作成
https://www.weforum.org/publications/putting-skills-first-a-framework-for-action/
スキルセントリックな人材マネジメントは、企業内に蓄積されたスキル情報が「共通言語」として機能することで、企業・従業員・投資家・採用市場・キャリア教育市場をつなげることを可能にします。
企業は、必要なスキルを起点に人材ポートフォリオを設計し、将来のスキルギャップを見極めながら、採用・育成・配置・報酬を一貫したロジックでマネジメントできるようになります。
従業員は、自身のスキルを客観的に把握し、社内外でのキャリア機会にアクセスしやすくなることで、「自分でキャリアを選ぶ」というキャリアオーナーシップの実感と、キャリアウェルビーイングを高めることができます。
さらに、スキル情報が投資家や採用市場、キャリア教育市場とも共有されることで、企業の人的資本戦略の透明性が高まり、求める人材像や育成方針が社外とも整合した、持続的な人材エコシステムの形成につながります。
図表2:スキルベースの人材マネジメント
スキルセントリックな人材マネジメントにより、人材ポートフォリオ、採用・配置、育成・キャリア開発、評価・報酬までを、一貫したスキル基準で設計することができます。
必要なスキルと現状のギャップを可視化し、事業にとって重要なスキルから優先的に投資・配置・育成することで、従業員の活躍機会とキャリアオーナーシップを高め、企業の競争力向上につなげます。
図表3:スキルセントリックな人材マネジメント
スキル活用を進めるためには、まず前半のステップとして「何のために、どのようなシーンでスキル情報を活用するのか」といった目的と、それにより得られる効果を、事業戦略や人材戦略と結び付けて明らかにすることが重要です。
そのうえで、目的に沿って、市場データと連動したスキルマスタやテクノロジーの準備などを進めていくことを推奨しています。
さらに、後半のステップでは、特定領域でのスキル活用によるクイックウィン創出と、人材マネジメントの適用範囲拡大を段階的に進めることで、スキルを中心としたマネジメントを組織に根付かせていきます。同時に、従業員が自律的なキャリア開発のために必要なスキルを自ら獲得・更新しようと行動するカルチャーの醸成も支援します。
こうしたプロセス全体を通じて、PwCはチェンジマネジメントの観点からアプローチを行います。現場の従業員・管理職といった職階ごと、人事部門など部門ごとのコミュニケーション設計や、運用プロセスの定着支援、成功事例の可視化・展開などを推進。スキルセントリックな人材マネジメントが継続的に浸透・拡大するよう伴走します。
図表4:スキル活用を段階的に定着させるアプローチ
PwCコンサルティングは、2025年7月、横のつながりを強化するタレントコラボレーション・プラットフォーム「Beatrust」を提供するBeatrust株式会社と業務提携を行いました。
「Beatrust」は生成AIを活用し、社内のスキルデータベースから新プロジェクトなどの適任者を発掘できるサーチ機能「Beatrust Scout(スカウト)」および、社内のソースから従業員のスキルや経験を自動的に抽出・可視化する「Tag Extraction(タグ抽出機能)」を有しています。私たちはこれらの機能を活用することで、最適な人材を素早くレコメンドし、企業内での人的資本の最大化を支援するとともに、持続的かつ精度の高いマッチングを実現します。