グローバリゼーション、デジタル化、人口統計の変化:ロシアにおけるメガトレンドの管理

Boris Tarasov氏

Avgust 創業者・CFO/ロシア/殺虫剤メーカー

本格的な国際化を果たしているロシア企業は比較的珍しく、私企業ではさらにまれです。しかし、Avgustは例外です。ロシア初の殺虫剤メーカーである同社は世界中で事業を展開しており、中国にジョイントベンチャー企業、ブラジルに子会社を設けている他、東欧および南米で製品を販売しています。今後は、アジアや北米への拡大が計画されています。

創業者の一人で、CFOを務めるBoris Tarasov氏は、「この分野で世界上位20社に入ること」を大きな目標として掲げています。

「それは可能だと思います。5年前、私たちはロシアが世界最大の穀物輸出国になると予測しました。誰にも信じてもらえませんでしたが、実際にそうなりました。当時、当社の事業は劇的な成長を遂げ、SyngentaやBayerといったグローバルブランドとも戦えるようになりました。」

Boris Tarasov氏 Avgust 創業者・CFO

Boris Tarasov氏 Avgust 創業者・CFO

グローバリゼーションは明らかに同社に大きな機会をもたらしています。同社は、隣接市場での販売から、言語や商慣行の異なる市場への移行を成功させました。

「当社の歴史的な基盤は、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンにあり、それらの国々には『考え方の類似性』があるため、取引がしやすかったと考えられます。しかし現在はさらに遠くへ目を向けており、関係構築の新たな方法を見出さなければなりません。これらの市場をよく知っている専門家を雇用することでこの問題に対応したところ、コロンビアの農場と重要な共通点があることを発見しました。」

同社が活用しようとしているもう一つのメガトレンドが、デジタル化です。

「世界がこれまでとはまったく違うものになりつつあることを、認める時期が来ています。人々はスマートフォンでタクシーを呼び、必要なものは全てタブレットに入っています。もちろん農業が完全にデジタル化されることはありません。農業従事者は必ず畑に出向いて様子を確認しなければなりません。しかし、この部門でも同じようなことはたくさん起こっています。作物の遠隔モニタリングや温度と予測データを利用した収穫量の向上などです。私たちは常に、新たなアイデアに対して門戸を開いています。26年前の創業当時には、今のような世界を誰も予測できませんでした。しかし当社は、柔軟性を持ち、適応力を身に付けることで生き残り、成長を遂げてきました。」

Avgustチーム

Avgustチーム

次の26年間で明らかに予測できるものの一つが、人口統計的変化の影響です。中産階級の人口が増え、より良い品物を購入し、より良い食物を食べるための消費をするようになります。

「これは当社にとってもチャンスです。世界人口が増え続け、人々が食べる肉の量が増えていくことを考えると、この分野の長期的な見通しは明るいと言えるでしょう。そのため当社は、成長に向けた準備を整えています。新規市場への参入の他、ロシアに新工場を建設する予定です。これは、東欧最大規模となります。幸いなことに当社は、拡大に備えて十分なキャッシュを保有しています。信用格付けが高いため、必要であれば外部からも資金を調達できますが、その予定はありません。今後5年以内をめどに、新規株式公開を検討しています。それは、資金拠出のためというよりも、経営を専門化する取り組みの一環です。上場すれば、透明性を高め、会計やその他の規制に従わなければならなくなります。それは良いことです。」

Contact us

越田 勝

越田 勝
PwCあらた有限責任監査法人
パートナー
Profile


 

高田 佳和

高田 佳和
PwC京都監査法人
パートナー